Takahiro_Chouの日記: 完結したんで、よしながふみの「大奥」一気読みした
日記 by
Takahiro_Chou
全体的な感想
- 「男性が極端に減ってしまった場合に『家』を如何にして存続させるか??」から始まった話だからこそ、繰り返し出て来るテーマが「夫婦や男女とは、血を次代に繋げ、一門・一族を存続させるだけの存在の筈が無いだろ」。
家光時代
- 平和の為なら次々と人を殺していく春日局。後の方では「春日局のせいで、また、死体が出来上る」が完全にギャグ。
- もう、この時代から既に「パラメーターや要素を変えてもシステムや構造を変えなけりゃ同じ事が起きるだけ」状態。
綱吉時代
- 「男女逆転江戸時代の破滅フラグしかない女将軍に転生してしまった…」状態。綱吉の周囲にロクなヤツが居ない。
- あのですね、公方様、その状況でそんな表情した時点で柳沢吉保がアカン奴だと気付いて下さい。
- 忠臣蔵の謎は全て解けた。この辺りから「実は、こっちが真実の江戸時代の歴史じゃね??」感が……。
- 現代の男もやらかしそうな「女性の事を知ってるつもりで実は何も知らない」が原因で、生類憐れみの令を発布させてしまった桂昌院。
そして「自分の父親は狂ってなどいなかった。ただ、あまりに無知なだけ」と知って笑いつつ泣くしかない綱吉。
吉宗〜家重時代
- 吉宗「昔みたいな男女同数の社会だったら、力仕事は男に、家長は女にやらせるのが『家』制度の存続方法としては合理的じゃね?? だって、男が家長だったら、跡継ぎがホンマに家長の子供なのかの疑問が付き纏うだろ」
- 吉宗が家重に「お前が馬鹿じゃないって事は知ってた。次の将軍はお前だ」と云う感動のシーンでミもフタもないナレーション。周囲から軽んじられ続けた事による「呪い」は、これ位では解けない。
- 一見、知的障害者に見えて、実は並以上の頭の持ち主。だが、下手に頭が良かったせいで「政治に出来る事の限界」を早い内に知ってしまった為に、結局は暗君として歴史に名を残す家重。
家重〜家斉時代
- この時代に男女再逆転が起きるのに、将軍・家斉の母親である治済公が強烈過ぎて治済公の事しか印象に残らない。(敬称付なのはアミバ様・ジャギ様みたいな感じで)
- 自分の都合で疫病の予防方法を研究してる者達を自分の勝手な都合で殺したり社会的生命を奪ったりする、描かれた時はそうでも無いが、新型コロナ以後には一気にマズいキャラと化した治済公。
- 「あんた馬鹿ぁ? 国民全員に予防接種出来る金なんて有る訳無いだろ。死ぬヤツは死なせろ。政治は遊びじゃないぞボケ」と、やっぱり、描かれた時はそうでも無いが、新型コロナ以後には一気にマズいキャラと化した治済公。
- 「何で、女将軍が何代も続いてるのに男性を将軍にしたんですか?」
「だって、将軍の子供が何人か疫病で死ぬのが、ほぼ確実なら、予備をガンガン作ればいいでしょ。なら、出産と死が隣合わせで、一生の内に限られた数の子供しか産めない女より男を将軍にして子供をガンガン作らせた方が将軍家が存続する確率が上がるでしょ」
「でも、将軍の子供が増え過ぎると幕府の財政が……」
「なら、結果的に要らなくなった子を間引けばいいじゃん」
治済公、非常に合理的です。出発点やゴールがトチ狂ってると、合理的に振る舞えば振る舞うほど陰惨な事になるだけで。 - 公方様そっちのけの、御台様と御側室の「共通の敵を持つ者同士の凄まじい百合」。
- 晩年は自業自得な事になったのに、傍からは「ここまでの目に遭っても、どうせ、あんたは反省どころか、自分が悪い事をやったとすら判ってないんだろ」と思われてる治済公。
- 55人も子供作ったのに、晩年は、すっかり女性不信になった家斉。
家慶時代
- 文句なしの鬼畜野郎なのに、強烈過ぎる祖母・治済に比べるとイチイチ小物感が漂う家慶 。
幕末
- 「太平の世を護る為」に始まった男女逆転時代が、戦争回避の為に完全な終焉を迎える。
- 各時代の大奥で重要な役割を果たしたキャラが着用してきた「流水紋の裃」と、大奥の歴史を書き綴ってきた「没日録」が焼かれる事で大奥の歴史も終る。
- 「意志に反して男を装う事になった女」から始まった物語が「自分の意志で男を装った女」によって閉じられる。
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