パスワードを忘れた? アカウント作成
15789803 journal
日記

Takahiro_Chouの日記: 映画感想2022年7月&8月

日記 by Takahiro_Chou

「PLAN75」
ディストピアもののお手本になるかも。
思ってたほど悪くなさそうにも見える社会を淡々と描きながら、端々にゾッとするモノ(この架空の日本社会では年金制度が廃止されてんじゃないか?とか)が……。
あと、話を節分の頃にしてるのも秀逸。
高齢者が「外」に追い遣るべき「鬼」扱いされており……そして、節分とは立春の前日。
しかし、この物語が終った後に始まる「春」は一体全体如何なる代物なのか?

「ニューオーダー」
あまりに杜撰な悪事をやった悪人が罰せられないとしたら……。
そして「あまりに杜撰な悪事をやった悪人」が権力者だったとしたら……。
そうなった時、権力の側に居ると思った者も無事では済まないのだ。

「マイスモールワールド」
埼玉県に暮すクルド人一家。
父親の難民申請が却下された事から全ては暗転し……もう何も言えん。
言葉にすると、この映画で描かれている何かを取り逃がしてしまいそうな気がする。

「モガディシュ 脱出までの14日間」
長きに渡るソマリアの内乱。
その始まりに巻き込まれた在ソマリア韓国大使館・北朝鮮大使館。
普段は敵対している両者が脱出の為に手を組む事になるが……。
またしても、韓国映画から新しいカーチェイス表現が生まれた。
そして、ラスト。何げない仕草から生死を共にした両者の絆が断たれた事を示す描写は秀逸。

「トップガン:マーヴェリック」
ひょっとしたら、主人公は、ずっと心の時間が止まっていたのかも知れない。
才能も有る、実績も有る、しかし、人間的には何の成長もしてこなかった男の心の時間が、他人に何かを教える事で動き出す話なのかも。

「犬王」
表現者が「いずれ失なわれる表現者としての才能」を描くと言うのは……どうやって、こんなネタ思い付いた?
果たして、自分が表現者だったら、「自分の表現者としての才能は表現をすればするほど失なわれていく」ような事になった場合、果たして、それでも表現を続けていけるだろうか?
でも、この作品の主人公達は、表現したいモノがいつか失なわれると知りながら、何かを表現したいと云う想いの方が遥かに強かったのだろう。
そして、表現する事そのもののせいで、表現への情熱と才能を失なった結果が……「犬王は名前のみ知られているが、作品は1つも現在まで伝わっていない」。

「ソー:ラブ&サンダー」
ソー&ジェーンとゴアは合わせ鏡のように一対になっている。
「MARVELは童話で、DCは神話」なんて言われるが、この映画はギャグだらけなのに、極めて神話的な物語だ。
ゴアは信じていた神がクソ野郎だと知り、ソーは憧れていたゼウスがクソ野郎だと知る。
ゴアはネクロソードにより力を得たが、ネクロソードを手放せば死に、ジェーンはムジョルニアにより力を得たが、ムジョルニアを使えば使うほど、末期癌の進行が早まっていく。
破片となったムジョルニアは再生し、破片となったネクロソードは再生しようとするが……ムジョルニアに破片を取り込まれ再生に失敗する。
更に、危機に陥ったソーにゴアが投げ掛ける言葉と、自分の願いを叶える寸前まで行きながら、生命が尽きようとしているゴアにソーが投げ掛かる言葉は同じでありながら、意味は正反対。
そして、最後に、ジェーンとゴアの命と引き換えになるように、1つの命が取り戻され……新なるソーの誕生を予感させつつ「ラブ&サンダー」の真の意味が明らかになる。

「ベイビーブローカー」
是枝裕和作品としてみればそこそこ、韓国映画としてみれば「ごめんなさい、俺にとっては日本映画なら許せたかも的な古臭さが鼻につく」って感じの何とも評価に困るビミョ〜な作品でした。
俺にとっての「韓国映画のここが好き」と、是枝裕和作品で良く出て来る「家族とは何か?」の噛み合わせが巧くいってない気はする。

「女神の継承」
この映画の公式twitterアカウントがやった「犬は死にません」twを信用してはいけません。死にます。
フリーアナウンサーの宇垣美里氏が「あの犬の持ち方は、犬を飼ってる人間として許せない。おかしくなってる人を犬と同じ家に置いとくな」と言ってましたが……心霊現象が起きてる家からは、最低でも子供とペットは避難させましょう、と云う内容の非常に教育的な内容の映画でした。ついでに、あの犬の持ち上げ方を思い付いた時点で最低かつ最高。
あと、最後の最後で話が引っくり返ります。
ただ、これ邦題に問題が有って(他の国だと英語タイトルと「The Medium」と同じような意味)、この邦題だと複数可能な解釈を1つに固定させてしまうかも。

「X」
70年代あたりを舞台にしてるのに……誰が生き残り、誰が死ぬかは昔のホラー映画のパターンでは読めません。
いや、しかし、劇中のポルノ映画監督の「付き合ってる純情そうな彼女が化粧した途端に複雑な表情に……」って、厄介なオタクそのものの思考パターン。
ヘテロ男性の皆さん、「化粧なんかしないような女の子の方が好みです」って場合、単に、御自分が「自分の思い通りになる女しか彼女や配偶者に出来ない」ような人格破綻者である可能性も、頭の片隅に置いとくべきかも知れません。

「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」
アメコミ映画愛に溢れる珍作だが傑作。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」と「JOKER」のパロを1つのシーンでやろうなんて、誰が考え付く?
あと、不謹慎ギャグに関しては、フランス人の方がイギリス人よりセンス上じゃね? 自分の国の感動モノ系名作映画を、「一見、万事めでたしにしたせいで、万事が台無し」風のパロにするか?

「キャメラを止めるな!」
日本映画「カメラを止めるな!」のフランス・リメイク版。
「フランス映画なのに、劇中劇の登場人物の名前が日本名」「劇中劇で何故かフランス国内に旧日本軍の秘密研究所が有る」のにも、一応の理由が……あまりに馬鹿馬鹿しい理由だけど。
まぁ、オチは判ってるので、どうフランス版に翻案したかが見所。

「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」
私は、何分、時々「人類が滅びて恐竜が支配する世界になればいいのに」とか妄想してる狂人なので、期待外れは期待外れなのは確かですが、一般的な「期待外れだった」と云う意見がイマイチ良く理解出来ません。
とりあえず、人間さん達が一下等生物に零落れて、恐竜さん達に地球の支配権を明け渡す所をこそ、観せてもらいたかったです。

「バズ・ライトイヤー」
良くも悪くも英雄譚のお手本のような話。
だからこそ、基本をしっかりやれるピクサーは凄いと言えるけど……。

「L.A.コールドケース」
期待してたほどの出来では無かったけど……アフリカ系の警官と白人のチンピラを装った潜入捜査官が殺し合いになるシーンに関しては、普通に巧いとは思う。殺し合い級の喧嘩になる理由・経緯が「音楽をテーマにした映画」ならでは。

「NOPE」
まぁ、知識が無くても楽しめるけど、知識が有ればより楽しめ、1回だけ観ても楽しめるが、複数回観ればより楽しめると云う映画なので、あっちこっちで色んな人がワイワイ言ってる訳ですが……。
ちょっと驚いたのは、韓国系のテーマパーク経営者。
NHKがアジアの監督に村上春樹の作品を映像化させるプロジェクトの1つである「バーニング」で「判り易いイケメン完璧超人過ぎて、逆にサイコっぽさを感じる」ような役を演じ、アメリカ映画なのに台詞のほとんどが韓国語の映画「ミナリ」で自分では一家の大黒柱のつもりなのに、その想いが悉く空回りする駄目男を演じてた役者が、今回は、お調子者の3枚目、影は有るが親しみ易さも有る役を演じている。
しかし、「影は有るが親しみ易さも有る」キャラクターは、おそらくは、「誰かに見られる事」「何かを演じる事」を意識して生き続けてきたから「親しみ易さを感じる人間」になったらしいので……冗談抜きで「役者に演じさせる」には危険な役かも知れない。
あと……手回し式のIMAXフィルムカメラなんて無茶苦茶な小道具、どうやって考え付いた?

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

読み込み中...