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TarZの日記: 「システム開発を楽しく」? 問題はそれだけじゃないのです

日記 by TarZ

 先日のストーリー「プログラマのやる気を上げよ」について、Matz氏も反応されている。

Matzにっき システム開発は楽しい NTTデータ 浜口友一社長に聞く|産業|経済

「今さら」という印象もないではないが、まったく認めないよりは、今からでも認められた方が良いに決まっている。

 プログラマ(開発者)の視点としてはその通りで、もちろん今からだって改善されれば大変良いことだし、私も歓迎したい。

 ただ、浜口氏は経営者の立場としてコレを言っていることには注意すべきだと思う。今いるプログラマの処遇ももちろんだが、あくまで(魅力ある職業とすることで)「人材を集めたい/将来の人材確保を確実にしたい」という観点がメイン。
 そういう観点であれば、手遅れの感がある。待遇が改善されれば現場の技術者にとってそれはすぐにメリットになるけど、だからといって世間(学生)の「IT産業は3K職場」というイメージをホイホイ覆せるとは思えない。

 NTTデータの試みには大いに注目したいが、私には今の状況をひっくり返せるとはどうしても思えない。

… … … …

 話は変わるが、浜口氏の改善論ではカバーされていない分野があると思うので、ちょっとそれについて触れたい。

 「余裕のない開発期間」「安い給料」「筋肉脳だけを要求する単純労働作業」を改善していこうというのは、確かに開発であれば大きなメリットになる。「十分余裕のある開発期間」「(優秀な技術者には)魅力的なサラリー」「技術者に知的刺激を与え続ける職場環境」はもちろん嬉しい。
 しかし、開発だけでなく運用まで視野に入れると、それだけでは足りない。

 ヒトを労働から解放するために情報システムは発展してきたわけで、ソフトウェアは人間に代わって24時間世の中を動かしてくれている。もはや情報システムなしでは現代社会は機能しない。
 だが、それは、「ソフトウェアそのもののメンテナンスをする」立場の技術者を、医療・消防・警察のような立場に変えてしまった。
 「(人間を24時間労働から解放するための)24時間動いているべきシステム」でトラブルが発生したら? 運用技術者と開発技術者が分離されているようなオイシイ職場もあるのかもしれないが、まあ普通は開発者の携帯電話が鳴ることになる。

# でもって、昼は2次開発をしながら、夜は運用中の1次システムのメンテに奔走したりするわけだ。
## 翌日、顧客との打ち合わせがスケジュールされていたりするともうね、涙で前が見えません…。

 救急医療の現場で医者離れが深刻化しており、現在盛んに議論されているが、同じ問題は(一部の)情報システムの技術者も抱えている

 こういった分野では、業務体制の構造そのものを変えていかないといけない。しかし、この観点での改善議論は見たことがない。今回の浜口氏の件もそうだが、もっぱら、妥当な開発期間や優秀な技術者の優遇という(当たり前の)観点のものばかり。これでは、3K改善の十分条件にはならない。
 これは例えば、「単純に、医者への報酬を上げるだけで救急医療の問題が解決するか?」と置き換えれば理解しやすい。サラリーや業務の楽しさ、職務に対する高い志・熱意だけで解決する問題ではないのだ。

 根はとても深い。

関連過去メモ

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あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall

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