Tellur52の日記: 初音ミクと特異点
業務多忙で書くのが遅くなったけど、ミクも五周年を迎えてしまったということなので。
技術的な特異点まで行くかどうかは不明だけど、初音ミクを文化上の特異点に擬えることはできると思います。それも岡部倫太郎や暁美ほむらのような能動的改変者ではなく、桂木桂や涼宮ハルヒ、どこかの妖精さんのような、なんだかよく分からないうちに周りを巻き込む存在として。
技術的な話から入るのですが、VOCALOID2は、音声合成の漸進的な発展の途上にあり、何ら革命的な要素はありませんでした。MIDIとのデータ交換や音素の入力など外部I/F的な面も、前世代のVOCALOID(LOLA・KAITO・MEIKOなど)で実現されていたものです。
しかし、漸進的な進化でも、積み重ねが何らかの桁違いな変化に至ると、突然革命的な変化が勃発します。例えばネットワークの速度向上がインターネットを実用化させ、人類の情報伝達に革命をもたらしたように。
推測ですが、VOCALOID2の場合は、内部ライブラリの表現を含めた作り込みに影響をあたえる技術的進化があったのでしょう。
そして、初音ミクは、ありえないことに、
「初期設定だと下手っぽく歌う子」
として、出荷されてしまったのです。
デモの時点で、機械的な物だろうという期待を裏切る人間くささを披露していたのですが、初期設定周りのささいなトラブルにより、
「普通に歌うのを期待して買ったら、音痴がきた」
というのは、あまりにも革命的でした。
それは、パッケージを購入しにわかに「P」となった人々に、「こいつなんとかしないと」と変なやる気を起こさせる元になったのです。
そして、音声合成技術の漸進的発展は、もう一つ、とんでもないブレイクスルーを生み出したのです。それは、
「人間ではありえない早口でうたう」
「人間では無理っぽい高音でうたう」
というもので、それは「人間は無理でもボカロなら可能かもしれない」無茶ぶりの作曲を可能にし、また、カラオケ文化に馴染んだ人々に「歌ってみろ」タグを突きつけるものとなり、
さらには男女の音域の違いを超えて楽曲を普及させるきっかけとなったのです。
このように、人類は
「最初は下手だけど、鍛えれば人間の壁を越える、育成系バーチャルアイドル」
を、「みんな」が入手でき、
「今まで作っても歌手に歌ってもらえない曲だって、歌つきで発表でき、気に入ってもらえれば別のすごい人に歌ってもらえる」
様になってしまったのです。
それは、動画サイトの発展と相乗し、音楽文化的な「宇宙の晴れ上がり」を迎えるにいたったのでした。
以上、音楽面で初音ミクという事象を語ってみました・・・
が、ビジュアルと萌えの面でもミクはかなり特異的な存在で、
「なんだその暴力的なまでに巨大なツインテールは」とか、
「おまえ擬人化っていっても、元がただの音で実体がないだろ」とか、
「いつのまにネギふってるんだよ」とか、
ツッコミどころが多すぎるため(いや、ツッコミがさらにツッコミどころを誘爆させたため)に、なおのこと広く人々に存在を認知され、技術部・MMDなども含めて色々な分野も巻き込む次第となった、とも言えると思います。
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