実験その2。これも1つのテーマにつき1スレッドで。
374302 journal YOUPohwaの日記: よくある議論集030823 5 日記 by YOUPohwa 2003年08月23日 0時55分 実験その2。これも1つのテーマにつき1スレッドで。
オープンソースソフトウェアの普及とビジネス (スコア:1)
オープンソースソフトウェア(以下OSS)の開発について、「ユーザーを意識した開発をしないとだめ」とか「"開発したいから開発する"だけでは商品として使えるものができない」とか「営利面での展望を持たないとだめ」というコメントを目にすることがけっこうある。
これはこれで必ずしも間違った指摘ではないが、だからといって「開発したいから開発しているだけの人」に対してまで「お前が作るものは商品として云々」という注文をつけてしまうのはお門違いで、それはOSSを利用して商品を作っている企業(以下OSS企業)に向けるべき注文と言える。
OSSのボランティア開発者(という用語が適切かどうかはわからないが、他に適当な用語がないのでとりあえずこう呼ぶ)はOSS企業の「無給社員」ではない。
一方、OSS企業自体は普通の営利企業なので、当然「商品価値」だとか「ユーザーの利便性」だとかを優先して開発に協力することになる。OSS企業は「慈善事業」としてOSS開発を行っているわけではない(もちろん、少なくとも建て前上は、社会貢献の一環としての性格も持っているだろうが)。
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どんな立場の人でも自由に、開発に貢献したり成果物を利用したりできる(=開発したいから開発しているだけの人も、商売に使いたいから開発に参加している企業も、それぞれが自由に参加できる)ことが、OSSの一番の特徴なのだだから、当然の帰結として、開発に参加する人や団体の立場や事情は、非常に多様なものになるはず。
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これらの「事情の違い」を無視して「OSSの開発は」という言い方をしてしまうと、見当はずれな指摘になってしまう危険性が高い。
yp
ソフトウェアのプロテクトについて (スコア:1)
ソフトウェア製品のプロテクト(主にコピーガード)について議論する際に注意が必要だと思われる事柄:
1. 製品にプロテクトをかけると利用者の自由を制限する場合があるが、法律や商習慣と矛盾せず、かつ適切に情報が提供されている限り、それは不当な制限ではない。ただし、この情報を適切に提供するということには、(法的にではなく常識的に考えて)
・プロテクトとして何を行うのか、それはどのような影響を引き起こしうるのか
・プロテクトのために利用者が要求される手間はどの程度と予想されるか
・プロテクトが、通常許可されるべき利用を妨げた/予期せぬ悪影響を引き起こした場合の処理
などを含んでいる必要があるだろう。
2. 利用者の合法的な権利の行使までをも制限するような「仕様」を採用することは違法ではないし、その仕様を採用した製品を制限のない仕様の製品と同水準の価格で販売するのも企業の自由(それで採算が取れるかどうかを利用者が心配してやる必要はない)。
3. 正規版の製品に「通常の利用を妨げる/利用者に負担をかけるようなプロテクト」が施してあった場合、(プロテクトを解除した)海賊版の利用価値が相対的に上がる。場合によっては正規版を所有している人までもが海賊版を欲しがるという事態も考えられる。
4. データの種類によっては、デジタルコピーを防止してもアナログコピーは可能なことが多い。たとえば絶対にコピーできない音楽CDを作ったとしても、これをDATにアナログ録音したり、コンピュータでアナログ録音してwavファイルにすることは可能。
yp
追記 (スコア:1)
まず、ツール自体が違法であるか否かということが問題になるが、これは州最高裁判所:DeCSSは言論の自由で守られず [srad.jp]でも話題になっているし、「合法的な利用もありえるが、違法な利用もありえるツール」という意味では、ファイル交換サービスは合法 [srad.jp]というトピックも参考になる(アメリカと日本では法解釈が違うことには注意が必要)。
また、ソフトウェアバンドルの EULA は無効との判決 [srad.jp]によると、「販売の形態をとるソフトウェアの頒布は「販売」であって、EULAによるライセンスの制約は適用されない」つまり「ソフトウェアを「買う」とそれは購入者にライセンスされるのではなく、購入者の所有物になる」という判断が既にある模様(これもアメリカの判例)。よってここではEULAによる縛りは無視して考える。
結局プロテクトを解除するツール自体は違法なのかどうかというと、最終的には「それを取り締まる法律があるか否か」ということが決め手になる(現在の日本にはない・・・と思うが、アメリカの場合DMCAがあるのでなんとも言えない)。
ここで、金属バット、出刃包丁、猟銃の3つを例として考えてみる。この3つはいずれも、本来は合法的な用途(それぞれ野球、料理、狩猟)に用いられるが、暴力事件などで凶器として使われることもある。凶器としての危険度はおおむねバット<包丁<銃であり、包丁は生活に必須の道具で、バットも日常生活で普通に利用する道具だが、猟銃は日常生活には必須ではない道具である。
で、バットの購入や所持を規制する法律は(多分)ないので、バットを作って売るのも購入するのも所持するのも自由である。包丁も自由に購入ができるが、所持には注意が必要で、むき出しの刃物を持ったまま公道を歩くと犯罪になる(はず)。猟銃は購入も所持も自由ではなく、免許や届け出が必要になる。
これは当然、凶器として使われた際の危険度の大きさと、利用を制限した場合の生活への影響を鑑みた結果といえる。
で、仮にバットで殴られた人が「バットは凶器として利用されるのでバットの製造を差し止めろ」と騒いだところで、バットの製造差し止めの根拠となる法律がない(多分)ので、これは実現しないだろう(被害を被っている人がいるかどうかではなく、取り締まる法律があるか否かがポイント)。
yp
追記2 (スコア:1)
これは、国によって方針などもあるだろうが、たとえば未成年によるバットの購入を禁止したり、購入の際に身分証明書を義務付けるなどである。
一方インターネットでのツールの配布を考えると、上記のような制限を設けるのは非常に困難、というよりは実質上不可能である。ならばどうすればいいのか、という問いに対して現在有力な案というのは
1. そのようなツール自体を法で規制しよう(実行が困難な場合がある)
2. ツールを違法な用途に使う人を強く取り締まればよい(これも実行が困難な場合がある)
3. 取り締まりに限界があることを認め、そのような行為があることを前提として対策を考える(被害の種類や程度によっては、このような対策は許容されないことがある)
の3つに大別されると思う。これらにはいずれも一長一短があるが、それぞれ併用可能な対策なので、結局はどこに重点を置くかという問題になってくる。
1を強く推し進めた場合、従来は認められるべきであった権利までもが制限されることになる。そのため、権利の制限が許容されるほどの被害が実際にあるということを国民に納得させる必要があるし、「規制は強化したけれど成果は上がりませんでした」という結果になると最悪である。
2は1よりは穏健な対策と言えるが、1よりもさらに取り締まりの実施が難しいため、実効性に疑問が残る。また、取り締まりの効率化のために通常の利用が制限されたり、見せしめ効果を狙って微罪に重い処罰を下すといった弊害も考えられる。ただし「とりあえずの」対策として1よりは無難であろうことは間違いない。
3は、先に挙げたバットの例などでは通用しにくい(夜間外出禁止令を出すとか、そういう対策になるだろうが、これは最終手段としてしか用いるべきでない)し、国としてこういう立場を強く支持した場合、対外的な問題も起こり得るだろう。なにより実際に被害を被っている立場の人には受け入れがたい。が、(特に被害者自身がこの対策を行う場合)実効性としては3つのうちで一番高そうに思える。
ということで、国としては2の対策を弊害に注意しつつ行い、ソフトウェアにプロテクトを施す企業の側としては3の対策(プロテクトは破られるものという前提で、仮に破られた場合に収益の減少を最小限にとどめる対策)を行う、というのが、現状では穏当な対処なのではないか。
1の対策については、メリットよりも弊害の方が多そうだと予想している。
yp
訂正 (スコア:1)
ということで、ソフトウェアを「使用」もしくは「利用」する場合にEULAが法的に有効かどうかに関しては、この判決はあまり関係ない模様。
yp