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22045 journal

YuiTadの日記: クラーク宇宙に名をのこさず 1

日記 by YuiTad

 mixi日記より転載
 静止軌道のことを「クラーク軌道」と呼ぶのは俗称であり、あまり好ましくない。
 クラークは、静止軌道が存在することを初めて指摘したわけではないし、また、そこに人工天体を置くことを提案したの最初の人物でもない。
 も少し詳しい事情は以前の日記を読んでいただくとして、では、クラークの名は宇宙航行学の用語として、それとは別に存在しているだろうか?
 用語としては存在していないことは、Wikipediaの英語版やGoogleなどで確認できる。
 では、宇宙の天体やその表面の地名としてはどうだろうか?

 月面には、「クラーク」という名のクレーターが実在する。
 だが、この地名のつづりは「Clark」。
 アーサー・C・クラークの英語表記は「Arthur Charles Clarke」。
 「e」一文字だけだが違っている。
 クラーク・クレーターは月の裏側、ヴァン・デア・ヴァールス平野の北方にあり、親子で天文学者のアヴァロン・クラークならびにアヴァロン・G・クラークの二人の名にちなんでいる。
 二人にちなんだ名のクレーターは火星にもある。
 また、月面にはもう一つ、「Clerke」とつづるクラーク・クレーターが実在する。晴れの海に位置する小さなクレーターで、もとはリトロフBと呼ばれていたものが改名された。
 改名の時期は調べがつかなかったが、1982年のNASAの資料には、すでに正式な名称として記載されている。
 名前のもととなったのは、英国の女性天文学者のアグネス・メリー・クラーク。

 自然天体やその表面の地形への命名を担当する国際天文学連合(IAU)のサイトでは、こうした名前を検索できるが、「Clarke」とつづる名は存在しない。

 ただし……、こと小惑星となると事情は異なる。
 火星と金星の間の小惑星帯(アステロイド・ベルト)などに存在する小惑星は、命名されたものだけでおよそ1万3千。
 アーサー・C・クラークの名にちなんだ小惑星もちゃんとある。
 小惑星番号をつけて、正式には「4923クラーク」と呼ばれるこの小惑星は1981年に発見されたが、ごく小型で、大きさはおろか軌道要素さえ、いまだに確定されていない。
 同じ天体観測家によって、同じ日に発見された小惑星は「アシモフ」と命名されている。

 では、クラークの名前は今後も、このちっぽっけな岩のかたまりにのみ遺こされることになるのだろうか?
 木星とか土星などの外惑星には、いまだに未発見なものもあるはずだが、4923小惑星と同様ちっぽけにすぎず、クラークの名を遺こすものとしては役不足。その上、近年新発見されている衛星には、おおむね、神の名がつけられている。
 ただし、惑星や冥王星のような矮惑星、大衛星の表面の地名には、まだ、新たな名前をつける余地が残されている。
 ならば……。
 ならば、小説版『2001年宇宙の旅』で、恒星への通廊を内包していたモノリスの置き場所、イァペトゥスはいかがだろうか。
 イァペトゥスは、発見当時から、軌道の位置によって明るさが極端に異なることで知られていた。
 クラークはそこで、イァペトゥスが純白と漆黒と二つの半球に塗り分けられており、その白の半球の中央に、巨大なモノリスが横たわっているとした。
 昨年9月、イァペトゥスに接近した宇宙観測機カッシーニは、ある意味ではもっと異様なイァペトゥス表面の様子を撮影した。
 ならば、この衛星の白い半球の中心近くにある目だった地形を、「クラーク×××」と命名してはどうだろうか?
 「クラーク軌道」といった、多分に誤解を含んだ俗称よりは、こちらのほうがずっと、SF作家クラークの偉業をたたえるにはふさわしいと思うのだが。

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