akiraaniの日記: エルマークの存在意義
久々にタレコミをして、そちらにも軽くコメントしたが、エルマークについて分析してみようと思う。
1.エルマークで何が保証されるのか?
結論から言ってしまえば、何も保証されない。
何がまずいかって、詐称を防ぐ仕組みがまともに用意されていないのが決定的に痛い。登録商標なので、詐称しているサイトには差し止め請求ができるとあるが、それじゃあレスポンス悪すぎる。さらに、海外サイトで詐称されたらどうするのか……。
さらに、認定方法も謎が多い。RIAJによるQ&Aによれば
4:エルマークの発行機関は?
社団法人日本レコード協会(RIAJ)が発行機関となり、エルマークの使用許諾条件を満たしたレコード音源等の配信サイト運営事業者に発行します。
とある。この「エルマークの使用許諾条件」とやらがどこにも情報がない。もちろん、審査方法についても説明はない。
つまるところ
Q どのようなサイトにマークが表示されているのですか?
A レコード会社との契約によってレコード(CD)音源や音楽ビデオなどをダウンロード配信するパソコン向けサイトまたは携帯電話向けサイトで表示されます。また、レコード会社の配信サイトでも表示されます。
とあるように、レコード会社との契約を行ったサイトであることを示すマークでしかない。RIAJ参加のレコード会社提供でない楽曲はもちろん、おそらく契約楽曲ですらRIAJはチェックしていない(※1)。チェックしていないコンテンツが合法かどうか保証できるわけがない。
2.エルマークのないサイトは違法なのか?
この問題に関しては、実はQ&Aに同じ内容の問いがある。
Q マークがないサイトは全て違法配信サイトですか?
A このマークは、レコード会社との契約によって配信されているレコード(CD)音源や音楽ビデオなどに表示されるマークですので、それ以外のコンテンツは原則として対象となっておりません。また、レコード(CD)音源や音楽ビデオなどの配信サイトでもまだこれから対応するサイトがありますので、日本レコード協会では、このマークの利用範囲が広がるように関係者に働きかけを行なっていきます。
いろいろごまかそうと文章をこねくり回したあとが見られるが、簡潔に言ってしまえば「わかりません」だ。
マークの普及以前の問題で、非商用サイト、商用サイトであってもストリーム配信は対象外である時点で「わかりません」と答えるしかない。さらに、RIAJに参加していないレコード会社の楽曲も事実上対象外。当たり前の話だが、自作楽曲の公開している個人サイト(※2)も対象外となる。
つまるところ、カバーしている範囲が狭すぎて話にならない。
3.エルマークで何がしたいんだろう?
会見でRIAJが述べているようことからもわかるが、まずは携帯向けコンテンツから無料着うたを排除したい(※3)のではないだろうか。
日本における音楽配信事業の要である携帯向けの着うた産業は、他に類を見ない強力な囲い込みで成立している。
MIDI音源を使用していた頃は当たり前のようにできた着信メロディの自作が、ほとんどすべての機種で音声ファイルではできなくなっているのに加え、携帯向けコンテンツ事業自体がガラパゴスと揶揄されるほど閉鎖的なサービス形態をとっている。
そこで問題になるのが無料着うたである。オリジナルの楽曲、JASRACと契約してレコーディングしなおしたりした着うたを広告モデルなどで無料で配信する事業形態だと、苦労して維持している囲い込みをあっさり抜けられてしまう。
パソコン向けの配信事業では、何年も前に先行してサービスインしていながら後発のiTunesStoreにあっさりトップシェアを奪われてしまったという不名誉な実績がある。自由競争では勝てないという危機感が過剰なまでの囲い込み強化を駆り立てているのではないかと予測する。
ダウンロード違法化についてはものすごい勢いで反発を受けて結論を先送りせざるを得ず、来年度に検討されることとなった。その場でこれらの穴が指摘されるであろうことは想像に難くない。できることなら具体像は見せずに検討中のまま議論に入りたかったと思われるが、携帯コンテンツ業界の保護をより重要と見たということか……。
※1 無料で発行されるエルマークでは、審査にかかるコストはいっさい回収できない。社団法人に過ぎないRIAJが費用負担できる額を考えると、掲載サイトの楽曲チェックしていないと考えるのが妥当だろう。
※2 #1301170で指摘されているように、アーチスト本人が公開している場合でも対象外。
※3 「違法着うた・着うたフル」は正式配信数を上回る──日本レコード協会調査(ITmedia)では、著作者許諾有無にかかわらず無料着うたの配信サイトを違法サイトと定義していることからも、無料着うたを認めない方針が見て取れる。
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