akiraaniの日記: エンタメ構造論の話 2
関連:FEARゲーの話、なろう異世界ものの特徴は投稿システムに最適化した結果、という説、俺は陸奥、に見えたなろう異世界転生ものの勘所
最近、エンタメ構造についてちょくちょく考えることがある。
きっかけはなろうで作品あさり始めたことだろうか。特に大きいのがニコニコ静画の新着マンガからのなろう原作チェックの時間泥棒コンボである。
なろう原作がコミックス化された時点で物語の展開やらもろもろがざっくり変わっていることがよくある。まあ、メディアが変わると改変されること自体はそんなに珍しい話ではないのだけど、それをここまで短期間に大量に目にすることはさすがになかった。
たくさん目にしたことでちょっと見えてきたかな、と思う部分がエンタメ構造の類型整理で、改変内容がだいたい説明できるんじゃないのか、ということだったりする。
エンタメ小説の面白ポイントがどう構築されているのかジャンル分けして、それを最大限生かすためには読者にどこまでの情報を描写して提供してやる必要があるのか、そのために最も効率的なキャラクターの役割分担方法は、といったところを考えてから、なろう原作と別メディアの比較すると、いろいろ見えてくる気がするのだ。
ここでいうジャンル分けというのは個人的かつ勝手定義な代物で、一般的なジャンル論とは直交する概念。簡単に言えば、読者に面白く思わせるためのエンタメポイントの類型である。
例えば、異世界転生でチートで無双する話で考えてみる。無双ものの多くは主人公が周囲の予想を裏切って破天荒な活躍をすることがジャンルの分類上重要なポイントになっている。異世界であることもファンタジーであることも、相性の良し悪しはあれどジャンルとの直接の関係はない。
この論点でいうと、いわゆるテンプレ展開というのはジャンルを構成するのに都合がよいため多用されている物語の流れ、ということになる。いわゆるフラグと呼ばれているものも、ジャンルに対して相性の良いエピソードの描写手法と考えるとしっくりくる。
とまあ、こういうところを掘り下げて研究していくと、このジャンルでこのテンプレを使う場合に描写しないといけない情報、適したキャラクターの配役だとかいった部分が技術的に導けるようになる……
のではないかと思うわけなのである。
この考え方はTRPGのシナリオ作りに似ている部分がある。TRPGの場合は、プレイヤーがカタルシスを感じるためのギミックがシステムとして用意されていて、そのための専用データを作るだけでエンタメ構造が整う。
ゲームのルールに従って解決すべき問題を設定し、プレイヤーに提供しないといけない情報を整理してシーンを構成し、適正レベルに合わせて障害の強度を調整して、理詰めで詳細を詰めていくだけで物語が完成する。
FEARゲーなんかは特に顕著で、特定のエンタメ構造類型再現のためにルールが設計されていると言っても過言ではない。実に効率的な物語作成ツールだと言える。
突き詰めていけば、プロットを組んだ段階でこのシーンにはどんな役割を持ったキャラクターが必要か、何に重点を置いて描写しないといけないのか、といったことがある程度整理できるようになるのではないかと思う。
まあ、エンタメ構造の類型整理ができさえすれば、なので、要研究なのであるが。
これらの技術の多くは、編集さんが経験則やノウハウとして持っているものではないかと思う。
もちろん作家でこのあたり研究してる人もいるだろうと思う。個人的に理屈でそのへん研究してそうだと思うのは小説家だと榊一郎さん、漫画家でいえば赤松健さんとかかな。
直子の代筆 (スコア:0)
対話的に設定を詰めていったら自動生成してくれる、とかどうでしょう。
テンプレ展開 (スコア:0)
ハリウッド映画における「ビートシートメソッド」のようなものですかね
https://kenkyu-labo.com/02/savethecat_3.html [kenkyu-labo.com]