aruto250の日記: 鷹見一幸「銀河乞食軍団 黎明編3 激戦!蒼橋跳躍点」
国産SFにおいてカリスマ的存在であった野田'宇宙大元帥'昌宏さんによる金字塔的作品、とされる「銀河乞食軍団」の、別作者による前日談という微妙な作品の第3巻。
自分でも以前から銀河乞食軍団が気になっていたものの、絶版で手に入らなかったところへ持ってきて、文庫の形で関連書籍が出たので試しに読んでみたら、案外悪くないんじゃない?という感想でした。まあ、俺は表面的な破綻がなければ駄目なところに全然気付かず満足してしまう頭脳の持ち主なので、欠点が目に付かなかっただけかもしれないが。
そして案の定というかこういう作品の常で、オリジナルの銀河乞食軍団のファンからはボロクソに言われていたようだ。そうなのかー、やっぱり違いの分かる本物のSFファンには駄作であることが分かるのだな。俺にはわからんけど。信者乙。
・・・というのが、2巻まで読んだ時点の感想でした。
でまあ、思ったより悪くないSF作品を書いているこの作者は、他に何を書いているんだろう、と思って検索したら…うーむ、立ち読みしてキャラクター(特に戦争における敵の幹部)の薄っぺらさにげんなりしたことのある「でたまか」の作者さんだったのか。
不安を覚えつつも、他の作品だったらもっとマシなのかもしれないと、とりあえず近所の書店にあった「小さな国の救世主」に手を出して、さらにある程度読み進めなければ判断もできまいと2巻まで読み進めてみたんだが…やっぱきついっすコレ。
いや金返せとは思わないけど、よくこれで「銀河乞食軍団」の公式スピンアウトなんて重大な作品を任されたなというレベル。
もっとも、生前の野田昌宏さんと面識があって、そこで気に入られた人だという話だから、本当はすごく実力のある作家さんで、子供向けレーベルでは割り切った作品作りをしていただけかもしれないし、現に「銀河乞食軍団 黎明編」の2巻までの仕事を見る限りでは、別人かと思うほどちゃんとした作品を書いている(ように思える)。なんだか力量の読めない作家さんだなぁ。
・・・というのが、3巻を読む以前の感想でした。
で、9月発売の2巻からちょっと間をおいて、11月末に3巻が発売されたので読んでみた。
あれ?なんか、レベル下がってる?
これは2巻までは何かしらのメッキが施されていて、それが剥がれて地が出てきてしまったのか、それとも2巻までにもあった粗に自分が気付かなかっただけなのか。わからないけれども、ともかく紅天艦隊に対して帰らぬ覚悟で戦いを挑む、キッチナー中将以下のメンタリティというか決心に至る葛藤というか、そこらへんの描写が実に薄っぺらくてものすごく違和感があった。他には、状況をひっくり返すためのアイテムが、何の伏線もなく、さらにその伏線のなさについての上手な説明もなく、脱力するほど安直な言い訳でポロッと投入されたり(「小さな国の救世主」と「でたまか」を見る限りでは、この手の粗はこの作者の悪癖に思える)。
もしかして、2巻まではオリジナルの作者によるプロットが遺されていたりしたのだろうか。乗りかかった船だし、つまらなくはないので完結までは買うけども、これからの展開がちょっと不安になってくる。
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