bghtyu67の日記: 相変化材料を用いた高空間分解能イメージング技術 17
日記 by
bghtyu67
イギリスのオックスフォード大学とエクセター大学のグループが,相変化材料の薄膜
を用いた高空間分解能イメージング技術を2014年7月のNatureに発表した.(Optics & Photonics News の記事※記事中
の原文リンク先は間違っているので注意!, Nature原文)
この論文で用いられているのはGe2Sb2Te5 (GST) という相変化材料で,パルス電流を流すとアモルファスになり,一定時間の電流を流 すと結晶構造をつくるという性質を持つ.このような性質からGSTはフラッシュメモ リに代わる不揮発性記憶媒体の材料として注目されていた(PCwatch 2007年2月の記事).
研究者らはアモルファスと結晶質の光学特性の違いに着目.ミラー上の半透明電極間に厚さ数100nm以下のGST薄膜を作成し,電流の流し方によって結晶,アモルファスをコントロールすることによって色の切り替えに成功した. GST下方の電極の厚さによって色のバリエーションを作ることもでき,赤,青,紫,橙,白を表現している.
Optics & Photonics News の記事によると,本手法ではon/offの状態が画像を変更したいその時まで保存される点で,継続的にリフレッシュが必要な液晶ディスプレイとは異なるという. 私の個人的な感想としては,自ら光を発せずに色の違いを表現する点で,どちらかというと高分解能ディスプレイというより高分解能お絵かきと言う方が近いように感じる. また,実用化における課題は電流のかけ方をナノスケールでコントロールする手法ではないかと考える.論文では原子間力顕微鏡(AFM)の電極プローブを用いているが,この手法では切り替えに時間がかかるだろう.しかし1ピクセルあたりのon/off切り替えに必要な時間は非常に短いので,原理上の高速化のポテンシャルは高いと言える.
この論文で用いられているのはGe2Sb2Te5 (GST) という相変化材料で,パルス電流を流すとアモルファスになり,一定時間の電流を流 すと結晶構造をつくるという性質を持つ.このような性質からGSTはフラッシュメモ リに代わる不揮発性記憶媒体の材料として注目されていた(PCwatch 2007年2月の記事).
研究者らはアモルファスと結晶質の光学特性の違いに着目.ミラー上の半透明電極間に厚さ数100nm以下のGST薄膜を作成し,電流の流し方によって結晶,アモルファスをコントロールすることによって色の切り替えに成功した. GST下方の電極の厚さによって色のバリエーションを作ることもでき,赤,青,紫,橙,白を表現している.
Optics & Photonics News の記事によると,本手法ではon/offの状態が画像を変更したいその時まで保存される点で,継続的にリフレッシュが必要な液晶ディスプレイとは異なるという. 私の個人的な感想としては,自ら光を発せずに色の違いを表現する点で,どちらかというと高分解能ディスプレイというより高分解能お絵かきと言う方が近いように感じる. また,実用化における課題は電流のかけ方をナノスケールでコントロールする手法ではないかと考える.論文では原子間力顕微鏡(AFM)の電極プローブを用いているが,この手法では切り替えに時間がかかるだろう.しかし1ピクセルあたりのon/off切り替えに必要な時間は非常に短いので,原理上の高速化のポテンシャルは高いと言える.
製造法 (スコア:2)
面分布したナノ構造を造らなきゃならないってのは今までの製造技術じゃ無理だねー
自己組織化学反応でも見つけなきゃ。
the.ACount
Re: (スコア:0)
じゃ半導体製造業者がシリコンウェハー上でやっていることはいったい何?
Re:製造法 (スコア:1)
ミクロンサイズで四苦八苦してるのが何だって?
紫外露光フォトレジストがX線になったら同じ技術でナノに出来るかもね。
X線でどうやってやれるんか知らんけど。
the.ACount
Re: (スコア:0)
とっくにナノメータオーダーの世界だよ。
インテルが語る14nmと10nmの展望 [ascii.jp]
Re: (スコア:0)
なんでこう自信たっぷりに口からでまかせを吐けるんだろう。
知らないことは黙っていればいいのに。
光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:1)
液晶だって自発光はしないし、反射型の液晶ディスプレイだってありふれたTNタイプから、コレステリック液晶、
ポリマーネットワーク液晶などいろいろあるし、
E-inkなどの電子ペーパーの類とか、QualcommのMirasolとかのMEMS系とか、LiquavistaのElectrowettingディスプレイとか、
世の中自発光しないで色の違いを表現できて「ディスプレイ」と呼ばれているものなんて山ほどあるが。
Re:光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:2)
光らないディスプレイがあることを知りませんでした。
文中にありませんが、AFMプローブでなぞるように描画している点も、お絵かきと表現した理由です。
Re:光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:1)
目の前に答えがあるのに、何故かアタマからスカポーンと抜けてしまうこと、ヨクアリマス。
自発的に発光するほうというと、ブラウン管、真空管の中に数字とか型どった針金を光らせるネオン菅、マジックアイ、蛍光表示器、LED、プラズマ、えーと、光ればいいんだから白熱灯を並べたものとか。
Re:光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:1)
光るのはたいていバックライトだしね。
たいがいのLCDで液晶の役割って透過光か反射光のシャッターで、光に色をつけてるのは表に貼り付けてるカラーフィルターでしょうし。
この場合相転移された結晶の薄膜層の厚みをコントロールして色出すんすかね。
酸化とかで金属表面の薄膜の厚みを変えて微妙な色出せるけどあんな感じで動的なカラーフィルターができてるイメージかな。
ファッション業界なんかも注目しそう。
#表面をアモルファス化させたチタンナイフは割と好き。
Re: (スコア:0)
動的に色を変えるのではなく、各画素ごとに固定の色をつける(色の付け方が電極の厚さでコントロール)ように読みましたけど、違うのかな?
#それだったらカラーフィルタでいいやん・・・とも思ったけど(汗)
Re:光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:2, 参考になる)
カラーフィルターは光の利用効率が悪く、特に反射式ディスプレイで使った場合(入射と反射でフィルターを二回通り)二乗で悪くなるので、
暗くてコントラストの低い画面になってしまう。
今回の相変化ディスプレイや、MEMSディスプレイのMirasolなどのように構造色で色を出す場合は、概してカラーフィルター方式より明るい絵が得られるが、
光が入射・反射する角度によって色の決定に関与する光路の長さが異なるので、
見る角度で色が変化する虹色っぽいディスプレイになってしまうという本質的な欠点がある。
それに基本的にj鏡面反射なので、光源とディスプレイと目の位置関係に、コントラストや明るさが非常に依存する。
紙のようにどの方向から見ても大体同じように見えるというわけには行かない。
左右の目で微妙に明るさや色が違って見えたり、ディスプレイを持つ角度でコントラストや色が大きく変化したりで、
要はギラギラしたディスプレイになり、見難いし疲れる。
Re:光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:2, 参考になる)
とかえらそうに書いて、Natureのほうの文を見たら、このディスプレイは色の視野角依存性があまりない [nature.com]とか書いてあったw
失礼しました。
でもなんでだろ?
Re:光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:3)
Re:光らなきゃディスプレイって呼びたくないの? (スコア:1)
動的に色が変わります。
ただ、任意の色にできるわけではありません。
ある膜厚の時はこの色からこの色へ変わる、という感じです。
話がかみ合っているような、いないような (スコア:0)
ちょっと良くわからなくなってきたので整理させて。
#2646052 [science.srad.jp]は、
GST薄膜の"相転移された層の厚みをコントロール"して、一つの画素の上で赤青黄など違った色を出せるのかな?という話をしていて、
それに対し
#2646059 [science.srad.jp]は、
色はGSTを挟む透明電極の厚みで決まる(Optics & Photonics Newsの記述 "the size of the bottom electrode layer determines color")ようなので
(GSTは下の鏡に光が到達する透過率をコントロールするシャッター/フィルターの役目だけ)、一つの画素で出せる色は決まっている
("動的に色を変えるのではなく、各画素ごとに固定の色をつける")んじゃない?と答えている。
記事を読むかぎり、この考えで正しいと思うけど。Natureの論文
Re:話がかみ合っているような、いないような (スコア:3)
要は光路長を変えることで干渉色を変えているということです。 ただし①は膜の作成時に固定されるパラメータで、動的に色を変化させるのは②です。
論文を見た感じでは、結晶/アモルファスの割合はそう自由に変えられるものではなく、
ほぼon/offのモノクロ画像になるのだと思います。モノクロ画像の色を赤−白にするか、青−白にするかを変えるのを、電極の厚さによって実現できるということでしょう。
ただ1枚の膜に3色表現されている画像も論文中に掲載されていまして、それがどうなっているかは私にも読み取れませんでした。
イメージング (スコア:1)
表示する方の技術にイメージングの語を使うのはなんとなく違和感が。