bluedwarfの日記: 野依良次先生の講演会+パネルディスカッションの感想 2
今日は野依良次先生の講演会を聞きに東京まで行ってきました。
# それより、東京駅広すぎ。八重州口からでるところを、間違えて八重洲南口方面に行ってしまいました。:(
まず講演会の主旨は、第一に未来をになう高校生に講演を聞いていただこうということで、高校生+高校教員+αの方限定で、さらに無料で講演を聞かせていただきました。演題は「憧れと感動、そして志」。
ちなみに、プログラムは野依先生の講演の後に、金澤一郎先生が司会のもと、
- ノーベル化学賞受賞者・野依良次先生
- 宇宙物理学の権威・佐藤勝彦先生
- ロボット工学の最先端を研究する・川人光男先生
- 遺伝子を研究している?・堀田凱樹先生
の4方がパネルディスカッションをすることになっていました。そして、その後に講演に参加した方々からこの4方それぞれへの質問を紙に書いて、いくつかを選んで質疑応答にするプログラムが組まれていました。
講演の前置きに三菱財団のお偉がたからお話がありましたが、なんと三菱財団は助成金ということで、多くの自然科学部門に助成をしてきたとのこと。もちろんいろんなところから助成してくれというお願いがあるそうですが、それらのうち独創的で古来の考えに捕われない研究を選考して助成するそうです。
野依先生も三菱財団に助成金をいただいているそうで、その関係で今回の三菱財団主催の高校生のための講演会が開かれたのではないかと思います。ちなみに、ノーベル賞を受賞した小柴さんも白河さんも三菱財団の助成を受けているとのこと。
でも、ここでまず感じるのはやっぱり金なんだなということ。そういった助成を受けるためにも、自分の研究を訴えていくアピールと言いましょうか、そういうものが必要なんだなと思いました。
そして、早速野依先生の講演。不斉合成の話は、講演の前にいくらか調べてしまった(サイドマイドの話とか光学異性体のこととか)ので、しかも調べたところは分かるのですが、そうでないもっと難しい話は全く分からなくてあまりおもしろくありませんでした。
ただ、受容体(レセプター)の話は分かりやすくて、しかも調べていなかったので興味深くきかせていただきました。
その他には、高校生のためのお話ということで、野依先生がいかにしてノーベル賞を得るに至ったのかと、化学そのものに対する考えがお話にあがりました。こちらはすごくおもしろかったです。
まず第一に、「化学は美しく、面白く、そして人類社会に貢献する」ということです。「化学は面白く、そして人類社会に貢献する」というのは分かるのですが、いまいち「化学は美しい」ということが理解できませんでした。なんだかごちゃごちゃした分子モデルを持ちながら、先生は、美人を見る感覚が人それぞれなように、私にはこの複雑な分子モデルが美しく見える、というようなことをおっしゃってました。うーん。なるほど。
ただ、それだけでは納得いかなかったので、質問用紙に「『化学は美しい』とは具体的にどういうことですか?」と書いて渡しました。会場の500人あまりの質問の中から10個ぐらい選ばれて、後の質疑応答の際にネタにされるわけですが、私の質問は選ばれませんでした( T T)
また、野依先生が京都大学に行こうと思ったのは、京都大学のある先生(名前忘れました)のところで学びたいというお考えがあったからのようです。そこで、大学は偏差値で決めるのではなく、いい/師事してもらいたい先生/教授のいる大学を選ぶべきだとおっしゃいました。私は、行きたい学科が国立では○○大学にあるということで、今の第一志望の学校を考えています。しかし、いい先生/教授がいる大学に行くべきだというのはもっともなのですが、そういったいい先生の情報やお話が普段から耳にはいってこないのはどういうことでしょうか?自分で調べなければいけないものなのかもしれませんが、そういったきっかけがあまり与えられないのでそういう大学の選び方ができないというのが私の本音です。
それと、日本人最初のノーベル賞授賞者である湯川秀樹先生がノーベル賞を知るきっかけとなり、憧れていたからこそ化学の道を進むことができたそうです。
私は...Linusに少し憧れていますが、逆にそういう権威がある道には進もうとは思いません。むしろ、この後にの川人先生のお話ある、「人とは違ったことをする」。こういうことを私はやりたいです。自然科学にしろ情報学にしろまだまだ未開の分野はあると思います。ここで問題提起、つまり分野の開拓をしながらなにかできればそれに越したことはないでしょう。
そして、「serendipity」について、偶然の幸運をつかむことは科学者の能力の一つで、理論の積み重ねでは困難であるとのことです。野依先生が尊敬するバスツール曰く、「幸運の神は用意された人の心にのみ訪れる」。
さて、私はOpenOffice.org日本語プロジェクトで偶然にもコミッターという地位を得たわけですが、野依先生がいうことはこういう能力をさしているのだなぁと少し誇らしげに思います。最近はコミッターであるということと、もう受験生であるということと両方のプレッシャーから寝不足+疲れ(オーバーワーク)気味なのですが、まぁ明日/明後日はしっかりと休むことにします。
さらに、「自然科学の研究 = 問題 + 解答」というお話をされました。日本人はこのうち「問題」を作る能力に欠けるとおっしゃいました。逆に欧米ではこういった、問題設定/問題提起がしっかりできているとのこと。(自然科学部門の)ノーベル賞授賞者が日本人にはあまり多くないのは、こういったことに起因しているのかもしれません。
といったところで、最後に「研究は瑞々しく、単純明快に」と「機能は美なり」として講演は締めくくられました。
私のようなプログラマ(の端くれ)が「動くソースはみんな美しい」というのと同じように、「機能は美なり」ということが良く分かります。先ほどは、「化学は美しい」ということがいまいち理解できなかったと書きましたが、私が「動くソースはみんな美しい」と思うのと同じように野依さんも思っているのかもしれません。と、一人で頷いています。
ちなみに、講演を聞く前にいろんな方から「野依先生は恐いよぅ」とか「野依さんは鬼です」という話を聞いていました。ちょっと初はビクビクしながら話を聞いていたのですが、予想していたよりは全然優しそうで面白い方だったので良かったです。
(ここで休憩。さっき言った、質問用紙を出しました。で、パネルディスカッション開始。)
佐藤先生、川人先生、堀田先生とそれぞれ20分づつしか時間がありませんでしたが、それぞれの分野での成果の発表や紹介をしていただきました。
まずは、佐藤勝彦先生のお話から。
佐藤先生は、かの有名なスティーブン・ホーキングの本の翻訳者で私は初めて知ったのですが、かなり優しい印象を受けた方でした。佐藤先生も野依先生と同じく、湯川秀樹先生に憧れていたそうです。
佐藤先生が宇宙に興味を持ち始めたのは、G.ガモフの「不思議の国のトムキンス(現在は改訂版で『不思議宇宙のトムキンス』というのが検索できました)」という本で相対性理論の面白さを見たことがきっかけだそうです。先生が理論物理学を選んだのは、お金がなくても紙と鉛筆だけでできるという理由だそうです。それと、「理論は美しい」ということでした。特に相対性理論については、複雑だけど、その根本となる原理が単純なことであるため、特に美しいとのことでした。
理論家も理論家で、一つの道ではないかなぁと私は思いました。私は理学部で理論を徹底的にやるよりは、工学部系統で理論を実用的なものに結びつけるということをやりたいと思っています。しかし、お金が無くても「理論は美しい」といえるようになるのであれば、これほど素晴らしいことはないと思います。
さらに、後の金澤先生のお話には野依先生と佐藤先生との共通点として、1.どちらも湯川先生に憧れていた 2.美しいと感じている という点を挙げました。
また、後の川人先生のお話では同じくG.ガモフの本を読んでいたそうで、これも佐藤先生と川人先生との共通点として挙げられていました。これらの共通点は以下のように演題の要素に置き換えられると私は思います。
- 湯川先生への憧れ,G.ガモフの本 -> 憧れ
- 美しい,G.ガモフの本 -> 感動
- 湯川先生への憧れ -> 志
今日参加したこの4方に共通する点として、非常にこれは大切なことではないでしょうか。私も、ぜひ「不思議の国のトムキンス」を読んでみたいと思っています(受験や趣味との時間を調節して、できるなら)。
ちなみに、今日の4方の先生の中で一番期待していたのが佐藤先生でした。しかし、20分という時間制限のせいでしょうか。随分と早口で、しかも宇宙理論に関してインフレーションの話だとか暗黒物質などの話をしていただいたのですが、あまり優しく解説していただけ無かったので話が難しかったです。でも一番興味のある話だけに、こんな理論/考え方があるのかぁということぐらいは頭に留めることはできました。「不思議の国のトムキンス」とあわせて、これも暇があったら自分で調べてみたいです。特に暗黒物質がいかなるものなのか、暗黒エネルギーの正体が分かっていないということですので、これをあれこれ考えてみるのも面白いかもしれません。とりあえず、将来の私への研究テーマにしておきます。
あと、佐藤先生のお話の後に金澤先生の一言、「世の中はデフレだと言われていますが、実はインフレだったのですね。」にはかなり笑いました。
この後、川人先生と堀田先生のお話があったのですが、あまり私を刺激するようなお話は無かったので省略。ついでに、パネルディスカッションもディスカッションになっていなかったので省略。
そして、質疑応答なんですが、特に気になるのが佐藤先生に対する質問とそのお答え。「ビックバンの前には"無"があるとおっしゃいまたが、"無"の前にはなにがあったのか?」(ごめんなさい。質問は定かでないですm(..)m)
そこで、佐藤先生は「ここでaということがあったとすると、君は『じゃぁaの前には何があったの?』と質問してくるだろう。さらにbがあったとすると...と続いて行くだろうから、"無"としか答えられない」とのこと。これはまた、時間の始まり(あるいは極限)の話と絡んでくるので非常に気になります。私もこういうことはたまに思うのですが、こういうように思うのは佐藤先生みたいな理論物理をやっていたら誰でも常日頃思うことで、しかし、今のところ"無"としか答えられないのだそうです。
ただ、このあとに世界を作った神様のお話がありました。キリスト教では神が全ての創造主ですが、「じゃぁ神様は世界を作る前は何をしていたの?」という問い掛けに、「そんなことを考える人を地獄に落していたんだ」というのだそうです。会場のみなさんは笑い事にしていましたが、私は少しまじめに考えるべき問題なのかな?という気がします。"無"と答えを誤魔化すようなことをするならば、「ビックバンの前に何があったのかを知った者は全て死んでしまうから、ビックバンの前になにがあったのかは知り得ないのだ。」とすることはできないのでしょうか?と思います。
そして、最後金澤先生特撰質問として、「高校時代の化学の成績はどうでしたか?」という野依先生への質問に対して、先生は「高校のときは、化学だけは良かったですよ」と...違うんだって!今、会場にいる化学の成績が悪くてもノーベル賞狙っている人を勇気づけるために、ウソでも悪かったと言うんですよ(笑)
創造性がないとか (スコア:1)
学問の世界ではおそらく「名前が出る」「引用される」がほとんど全てだと思いますが、日本人の名前は意図的に消されているような場合があります。
物性で 南部-Goldstone boson というのがあるのですが、教科書によっては Goldstone しか書いてなかったりしてます。
実際にうちの教授の仕事とかも、ひどい扱いをされたりすることもあります。創造性ということでは僕の論文もアメリカ人にぱくられたことがあります。内容は僕のぱくりですし、僕のことを意図的に無視したひどい論文でした。
日本人は謙虚すぎるのか自己アピールが足りないとは思います。欧米人の研究者と話すと * しゃべりまくり * ます。自己主張激しいです。けんかしてるのかとか思いました。
イタリア人と話すと、シャウトというかんじで、これまた面白いのですが、向こうから言わせると、「こいつら本当に俺の話をきいてるのか? 議論に参加しないってバカにしてるのか?」らしいです。文化が違うんだなぁと実感させられます。
分化の違いか、それとも日本人が台頭しないのがいけな (スコア:1)
うーん。私は「和」が好きなんだけどなぁ。
ここは踊る大走査線の室井警視ことイバちゃんのようにエリートになって、しかも国際的な人になって「和」を広めるしかないかな?
# まずは和服の着る方法を教えてもらって(違
# 次に和ジラを宣伝すると(もっと違
同世代のみなさん。がんばりましょう。
ついでに、二つ程上の世代ですがmahoさんもがんばりましょう;-)
// Give me chocolates!