chuukaiの日記: 福井弁護士インタビュー『「スキャン代行」はなぜいけない?』を読んで思うこと
自炊代行サービスに対する訴訟に関与されている福井弁護士へのインタビュー記事『「スキャン代行」はなぜいけない?』が掲載されたので、だらだらと引用しながら思い浮かぶことを書きます。なお、地の文にもあるとおり、インタビューが実際に行われた時期が2011年1月初旬であるため、状況が変わり考え方が今とは異なっているだろうと思います。
1ページ目は飛ばして、2ページ目より
―― 企業のお話も出たので、その辺りもう少しうかがいたいと思います。日本複写権センターや出版者著作権管理機構(JCOPY)では、企業内の複写行為を包括契約などで許可する業務を請け負っていますが、スキャン後のデータをサーバで共有するといった範囲は扱っていません。また、これらの団体に許諾を委託していない出版社も数多くあります。
福井 新聞記事などのクリッピングなどが、よく問題になりますね。企業内での複製ですから、これは恐らく「私的複製」には当たりません。したがって、これらの団体と包括契約を結ぶか、それ以外の権利者の著作物の複製については、個別に許可を取るべきことになりますが、おっしゃる通りスキャンやサーバ共有は現在、これらの団体が取り扱っていない。
新聞記事のスキャンはどこの職場でも行われていることだと思います。それが個人の控えでも結構グレーだと思いますが、少人数の係内はおろか、課内、社内、はてはインターネットで公開されているウエブサイトにまで「資料」という名の下に閲覧できる状態におかれている状況があります。
私がウエブサイトのコンテンツ管理を任されていたとき、議事録とともに会議資料として新聞記事をスクラップしたものの掲載申請がありました。著作権者の許諾の有無を担当者に確認したら、「許諾が必要だというのがあなたの課の意見か」という反問がありました。常識で考えろという内容を丁寧な言葉でお返しし、申請課で検討することになりましたが、結局同じ内容で再申請がありました。
団体や企業での知的財産に関する違法行為については、こういう細かいものはたとえ通報窓口があって通報されても対処されにくいようです。結局は知的財産権について教育が必要だということなんだけど、著作権者の側から教育されたくはないなという個人的な思いがあります(そういえば私も著作権者だったような気もする:-)
つまり、スキャン代行が適法になってしまうと、早晩こんなサービスが生まれそうです。
「うちではスキャン代行と裁断本の販売を行っています。Webページでお好きな裁断本を選んでクリックしてください。そのボタンはスキャン代行の依頼ボタンでもあります。これはあなたに所有権が移った裁断本で、私たちはそのスキャン代行を行っているだけなので適法です。終わったらデータをお送りします。スキャンが終わった『あなたの』裁断本がご不要であれば、私どもが買い取ります。裁断本の販売価格は500円、買い取り価格は200円となりますので、差し引きで300円だけ課金します。要するに、ワンクリックして300円払えば、あなたには本の電子データが届きます」転々流通のサイクルが始まるわけです。
例えがうまくて、とっても納得してしまいそうです。でも、事例にあるような形式的な売買と実際の複製行為を規範的に考えたら、これは業者のただの複製行為であって、現行法でも完全にアウトな事例ではないですか? 事例がちょっと不適切なきらいがあると思います。