chuukaiの日記: 門外漢からはノバルティスファーマ社の問題は構造的なもののように見える
私は医薬の業界は全く知らなくて、ノバルティスファーマ社と東大病院の話は報道を通じてしか知りません。
だから、私が以下に書いていることは的を思いっきり外している、それを覚悟して書いています。
東大病院から患者の個人情報が漏洩したことは重大な事案だと思われたので、東京大学「SIGN 研究特別調査 予備調査委員会中間報告書」を読みました。そこから引用します。
講師らがN社社員によるアンケートの運搬の事実に気づいていたにも関わらず、適切な対応がなされていなかったことは問題である。(引用者による略)臨床研究開始当初はN社社員によるアンケートの運搬の事実を認識していなかった。運搬を認識した時期は2012年末であったが、当時は問題意識を持っていなかったとのことである。そのためN社社員に対し被験者データの運搬について注意がなされなかった。この点においては、臨床研究倫理に関する理解が不足していたと判断せざるを得ない。
引用文の中でも、特に「臨床研究倫理に関する理解が不足していた」というところに最も疑問を感じました。
東大病院のお医者さんなら、自分の専門領域の規範をたやすく理解できるはずなのに「理解不足」で簡単に片付けられてしまっているのではないでしょうか。「なあ君、理解が不足していました、だからわからなかったんですと言えばいい、それが原因だろう?なあ?」みたいな分析の押し付けがましさを感じます。
この分析から「今回の問題は臨床研究、特に研究者(医師)主導臨床研究に関する知識の不足と心構えの甘さが根底にある。」として以降、再発防止策を練っているのですが、最初の分析が甘くて精神論になってしまい、無駄な再発防止策になっているように思われました。
精神論ではなく、より根源的な問題があってそれを解決しなければならないんじゃないでしょうか。
根源的な問題はどこかという点で、N社社員のポジションが示唆的なように思われました。
東大病院担当N社社員によると、他施設担当社員も含めてアンケートの運搬に関与していたとのことである。初めからそのように運営されていたのではなく、他施設でのアンケートをその施設の担当社員が預かったことが契機となり、N社社員によるアンケートの運搬が始まった。
このN社社員がなにをする人なのか、私のような門外漢にはわかりません。運搬業務の委託を受けているわけではない、でもエクセルでの入力作業でも使われていて、手足のように使われているような、不思議なポジションにあります。
この「N社社員」はなにか、報告書ではヒアリング対象者のところで説明が加えられていて、「N社の東大病院担当社員(MR=医薬情報担当者)」と記載されています。MRって言葉は就職活動をした時に見たけれど、なんでそれで高収入なのかがわからないような説明がついていたなあ。
MRで検索してみると、MRは個人情報か、それには当たらないかもしれないけれどセンシティブ情報やプライバシーに関する情報を扱っているようです。
例えば、症例報告書(調査票)(CRF)の授受について、高崎総合医療センターのページでは「臨床研究部より担当MRに報告書を提出」としています。余談ですが、このページでは「症例報告書(調査票)における個人情報の取扱について」として、「個人情報がマジック等で消されていることを確認下さい」とありますが、コピーにマジックで上書きしても下の写真や文字は透けて見えますので止めたほうがいいです。正しくは、隠したい部分の上にカバーアップテープなどを貼って、隠していることを示すために枠囲みなどをして、それをコピーしたものを渡しましょう。
病院や医師がMRにセンシティブ情報を扱わせることに慣れてしまい、さらに御用聞き的な使われ方で病院の書類を渡していたら、MRに情報が集中することになります。この情報の集中が情報を扱う上でのセキュリティにとって重大なリスク要因となることは、このスラドにいらっしゃる方々には自明なことと思われますが、私が想定する被害を例示しますと、「一方の書類にある情報それ自体では個人を特定できなくても、他の書類と照合すれば容易に個人が特定できてしまう」とか「データベース化」とかになります。
MRはその誘惑に駆られなくて信頼できると言われるかもしれませんが、私は最初に述べたように精神論ではなく、根源的に問題を解決したいです。その解決方法としては「MRに情報を集中させない体制づくり」なんかがいいんじゃないかと思います。
それでも、MRという職業があることにはきっと歴史的な意味合いがある(製薬会社にとっての利益とか合理性とか)と思うので、製薬会社自身では手をつけにくいかもしれません。が、病院側から強く働きかけたら何とかなりそうな気がします。
結論に至って振り返ってみると、全然ノバルティスファーマ社と東大病院固有の話が出ていませんね。
つまり、今回の問題はどこの病院や製薬会社との間でも起こりうる構造的なもののようだ、そんなふうに門外漢の私は思ったのでした。
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