パスワードを忘れた? アカウント作成
426153 journal

cooperの日記: からまわり

日記 by cooper

一年ほど前から母は、経理アウトソーシング会社のアルバイトをしている。

契約している企業の売り上げ金をひたすら数え上げるのが仕事である。その日に決められた売り上げは全て処理する必要があるので、おのずと時間に追われることになる。休憩時間を削り、必死で作業した対価は月に 10 万。しかし、母の年齢でこの金額を稼げる仕事はそうそうない。

きっかけは、父の自営業が傾きはじめたことだった。

収入減をカバーするために母が仕事を探し、二人暮らしの家計を支えるようになった。それ以来父はどこか自信をなくしてしまい、何をするにも中途半端な、投げ遣りな態度を取るようになってしまったと思う。

そんな折、久しぶりに実家に帰った。

駅まで車で迎えに来てくれた父によると、最近は母の帰りが遅くなり、夜中の 1:00 をまわることもあるのだと言う。もともと 16:00 ~ 22:00 という変則的な勤務時間だったが、劣悪な労働環境に嫌気が差して人が定着しないことと、最近の好景気から仕事が増えており、サービス残業を強要されているらしい。

この日も母は 24:00 に帰宅した。あきらかに疲労の色が見えたが、これから食事の用意をするという。正直言って食べる気などなかったのだが、実家ではこれが毎日の夕食の時間帯だと聞いて、絶句してしまう。週に四日、父がこうして母の帰りを待っていることを思うと胸が詰まった。

翌朝、遅い朝食を済ませた後、父の PC の調子を見る。アンチウィルスソフトは最新の定義ファイルに更新されており、Windows Update も全て適用済みだった。仕事の減った父は、一日中 PC にへばりついていることも多いらしい。そして、いつものように父の質問攻めが始まる。

メールが行方不明になったこと、圧縮ファイルの扱いについて、画面の解像度について、巷のノート PC について、セキュリティについて、etc etc...

わかりにくい質問に一つ一つ答えながら、父の自己中心的なコミュニケーション能力は今も昔も一貫して改善されていないことに苛立ち、つい、父の人格を否定するようなキツイ言葉を吐いてしまう。最初は笑っていた父もやがて顔が強張りはじめ、不機嫌さを全開にする。

やってしまった。

ただでさえ傷ついている父のプライドを、さらにズタズタにするような言動をした自分に落胆した。なぜ優しくできないのだろう。いつもこうだ。もう何度も繰り返しているのに。学習できていない。情けない。

その場の空気に耐えきれず、シャワーを浴びに逃げた。怒った父と困惑した母の顔が浮かんできて、無性に泣けた。父の腑甲斐なさに泣けた。母の優しさに泣けた。自分の親不孝ぶりに泣けた。シャワーを浴びながら、涙を流した。なんと情けないことか。いや違う、こんな反応は違うんだ。こんな反応をしたいんじゃない。涙なんか流したくない。そうじゃない。もっと主体性を発揮して、父に優しくすればいいんだ。非礼を詫びて、笑顔で接することだ。それが望ましい選択だ。泣くなんて反応はずるいじゃないか。もっと他にできることがあるはずだ。涙なんか流してる場合じゃない。止まれ涙、止まれ涙、止まれ涙。

だけど、涙は止まらない。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」、科学者「えっ」、プログラマ「えっ」

読み込み中...