cooperの日記: 靖国問題
日記 by
cooper
読了。
いろいろと物議を醸してる著作なので、こちらもガードを固めて読み進めた。
著者は、靖国神社を「哀しみを喜びへと変換させ、国民を戦争へ参加させるための政治装置」であることを明らかにする。また、新たな追悼施設を作ったとしても、それを利用する政治次第では、第二、第三の靖国神社になっていく可能性を鋭く指摘し、軍事力の放棄が不可欠であると説く。
非常に説得力がある考察だと思う。だがここでは、遺族感情が意図的に軽く論じられているように感じた。これだけ巨大な問題を扱う以上、個々の扱いが小さくなるのは仕方がないとは言え、いささか不満が残る。
「靖国の妻」に代表されるように、いつまでも「感情の奴隷」であり続けることは無益だ。だがこれは、靖国によって強制的に「哀しみを喜びに変換」させられた結果、自分の感情とキチンと向き合い、哀しみを哀しみとして受け止める時期を過ごせなかったことに起因しているのかも知れない。その結果、その後の恢復を通じて、哀しみを乗り越える強さの獲得がなされなかったのではないだろうか。
どこかにきっと、ただひたすらに遺族の感情を丸ごと受け止める「場」が必要なのだ。それが靖国である必要はさらさらない。だがしかし、積み重ねてきた歴史の中で、格のようなものを靖国に認める人がいる限り、信仰が止むこともないのだろう。
悩ましい。
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