etsavの日記: [公開推敲中] うそじゃないわ ほんとよ 06
01 - 02 - 03 - 04 - 05 - の続き。 実はまだ書き終ってない――と言うか、 なんだかこのシーンだけどんどん伸びてるので分割。 まぁ後で削るかもしれないけど『公開推敲中』だし~
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■ ――あのころがフフフン
いずれ機至れば、[代表戦士\チャンピオン]として『[実効等価偽装会戦\エミュレーションキャンペーン]』に参戦する事、それは生まれた時から決まっていた――否、その為の存在として人工的に産み落とされた。青灰どちらの軍に配属されるかは、訓練期間に入ってから知ったのだが。
曾て無制限に使用された NBC 兵器による環境悪化は回復には未だ遠く、身体全てが生身の人間など、地表には既に存在していない――存在し得ない。生命維持の為、何等かの形で生後直ぐ、場合によっては胎内で、[人工組織\cyborg]化処置を受けていた。これを[強化組織\cybaug]化するのに、何の抵抗があろう。
骨格・筋肉の強化やその高精度制御を実現する拡張運動神経系は勿論、呼吸系の大容量[緩衝\バッファー]、あらゆる状況で身体各部の機能を維持する分散型の[調整機構\レギュレーター]を備えた高靭性循環系、[主観\ベルグソン]時間圧縮率にして数億分の一に及ぶ思考加速をもたらす[皮質加速剤\コーテクスアクセラレーター]分泌腺の下垂体への移植、寄生型[神経情報処理系\NSP]による感覚情報処理の増強、一次視覚野の多重化により通信・索敵・兵装管制系と連動する第二の視覚[疑似視覚重畳表示\QVSID]――[代表戦士\チャンピオン]候補にはありとあらゆる身体強化策がなされていた。
結果として――[代表戦士\チャンピオン]及びその候補、当人達の主観では、『人類からの逸脱感』が拭えないでいるのだが。殊に、既に代表戦士として[実効等価偽装会戦\エミュレーションキャンペーン]に参戦、恐るべき戦闘能力を実際に最大限に発揮しながらも、その合間の『日常』においては、こうして『一般人』の生徒と机を並べて、授業など受けて居ると。
戦う為だけに造られたのだから、その為だけに生かし使役すればよかろうものを、[代表戦士\チャンピオン]及びその候補は、限られた時間とは言えその『日常』においては、むしろ『一般人』よりも『人間的』に扱われていた。
生みの親こそ存在しないが、幼時教導官は慈愛に満ちた人格者が厳選され、親代わりとして理想的だった。もっともその年頃の記憶は、自身も教導官達も記憶想起抑制処置を受けていて、最早朧げにしか思い出せないのだが。
[代表戦士\チャンピオン]候補時代、高度に洗練された訓練過程は、強化された心身には苛酷と言う程のものではなく、その合間には『一般人』同様の『日常』があった。普通に初等教育も受け、今なお共に遊ぶ友人もできた。時として疎外感を感じない事も無かったが、彼等が自分の正体を知らぬ以上、それは自己内面のみの問題だろう。
正式に配属された青軍内では、まるで軍神を崇めるかのような、敬意と、畏れと。創り出したのは[人類\じぶんたち]でしょうに――過分に思うことはあっても、悪い気はしない。自律兵器の一種として扱われる事に比べたら。
創り出してしまった者への人道的な責任を果たしているつもりなのか、それとも、あまりに強力な『意志と感情を持つ兵器』の造反を恐れた懐柔策か――いずれであったにせよ、『人ならざる者』の立場に自分を置いて見ると、そんな人類が何故だか可愛いとさえ思う。
概ね、境遇に不満は無いのだ。それすらも幼少時からの心理操作の結果かもしれないと、捨て切れぬ疑いがあることも勘定に入れてさえ。新生児平均余命が四十年に満たないこの時代、十七年の生涯が特に短か過ぎるとも思わない。年毎に数回は『一般人』の同級生の死を見て育って来ている。そのほぼ全ては、[代表戦士\チャンピオン]を支援する医療技術ならば、恐らく救えた事だろう。だが、現在の地球の人口可載量を考えれば、それは許されない。去って行く者としてただ見送るしかなかった。
初めての男も既に鬼籍に入った。死期を悟った下級生に、今生の思い出にと請われて。珍しくもない話。想いを打ち明けられる以前から、生命力が急激に衰えているのは、体表電界分布を観れば疑いようも無かった。可愛がっていた子だったので、さして躊躇うでもなく承ける。だが、性感も性欲も極端に薄いという事を自覚させられただけだった。生殖能力を持たない事が原因かもしれない。感覚器信号ゲインをいじってもみたが、痛いかくすぐったいかにしかならなかった。それではと痛覚減衰を使えば、何も感じなくなってしまう。戦闘情報処理支援システムに期待したのがそもそも間違っているのだろうけれど。せめて演技の一つもしてあげられなかったのが悔やまれる。残念ながら最後までどうすればいいのか解らなかった……
終鈴。
物思いに耽っている間に午前中の授業が終わっていた。人格表層を受け持たせておいた分離思考から記憶を回収、そつなく振る舞っていた事を一応確認。この分離思考というのは、戦闘支援ならともかく対人関係を受け持たせると、ごく稀に頓珍漢をやらかして、後で取り繕わねばならないことがある。授業に集中しているふり、活発に発言するふりをさせるくらいなら、まず襤褸は出すまいが。
昼休み。する事は決まってる――何げなさを装い窓際に寄った。
地球の総人口は十億に届くかどうかというほど激減したが、居住可能な土地の面積の減少率はそれをはるかに上回った。
今次『[実効等価偽装会戦\エミュレーションキャンペーン]』の戦場となったキンシャサなど、対岸ブラザビルとの間の目視距離での文字通りの戦術核の投げ合い――緒戦で互いの目標となった弾道ミサイル等の[運搬手段\デリバリーシステム]を失い、倒壊した建物の鉄骨で造った即席[投石機\カタパルト]で、無事だった核弾頭を投げ合ったらしい――の結果、有名な放射能井戸の一つとなっている。もっともそのお陰で、こそこそと、しかし衛星軌道には見せびらかしながら、命懸けで『全面戦争ごっこ』する戦場には事欠かないのだが。
限られた居住区に人々は寄り集る。街の人口密度は高く、勢い高層化が進む。窓の外は、二層十四階下の校庭までの吹き抜け。
一次視覚野を走査モードへ。光学索敵開始。[視覚的敵味方識別機構\V-IFF]に反応する相手なら、何階層もの校舎内を駆け回って捜すよりも、これが手っ取り早い。少なくとも、対面の校舎別棟の窓から見える範囲と、各教室へ陽光を配分するヘリオスタットの反射像内、真下の校庭は瞬時に走査できる。
[目標視認\ターゲットインサイト]。
灰軍[代表戦士\チャンピオン]は、校庭に出ていた。
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しかしこのシーンって、 長いくせに歌詞の要素がほとんど出てこないんだよなぁ…… でも今後の展開の要になるもんだから、 さてどう削ったものやら……〔悩〕
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