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etsavの日記: [公開推敲中] うそじゃないわ ほんとよ 08

日記 by etsav

01 - 02 - 03 - 04 - 05 - 06 - 07 - の続き。 まぁそんなわけで、 03 で出てきた 1E-2C って16進数だったのです。

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■ ナナフシなら しぼったあとに 塩漬けするレシピよ
■ 標準戦術――対装脚機動砲台 1E-2C

――[1E-2C\ナナフシ]が前に出てる……

[浸透貫入機\ペネトレーター]による突入後、標準戦術通り索敵のために上昇し、戦況を確認した青軍[代表戦士\チャンピオン]は、灰軍の布陣が前回と異なっている事に気付く。初回交戦では大きく後退、逃げ回っていた装脚機動砲台 1E-2C が、今回は前衛に張り付いている。灰軍無人兵器の虎の子――対 MAMAF 標準戦術が 1E-2C を中心に組み立てられているであろう事は、青軍でも確実視されていた。

――馬鹿にして……!

あらためての標準戦術の採用は、初戦のあの惨敗を見て、灰軍戦術管制は彼女を凡庸な戦闘力の代表戦士と評価した事を意味する。

――でも、彼は……

初回交戦のデブリーフィング時の解析では、灰軍[代表戦士\チャンピオン]は彼女の戦闘力を相応に評価していたと推測されていた。なればこその標準戦術からの逸脱、1E-2C の後退だった。今回の彼も、一見、管制の指令通り標準戦術に従っているように見えるが、微妙にその位置が前進している。1E-2C がごく短時間で撃破されるであろう事を予測し、急行出来る位置に。しかし、決して撃破前の援護には間に合わぬであろう位置に。

お前を見くびった灰軍司令部に目にもの見せてやれ――そう言っているのだ、彼は。

――期待には応えなきゃね!

[反重力場防盾\AGS]による[全反射鏡環\ミラーヘイロウ]の中に、どろどろとぬめった小波を表面に立てる強塩基流体装甲の機体、六本脚を十六車線道路いっぱいに拡げた、反重力凹レンズ効果で実物よりも小さく見えているはずの 1E-2C の巨体を見下ろしながら、 MAMAF-8F に K-87a [遅延慣性穿孔砲\DIP]を主体とする中距離砲撃戦兵装セットを装備させ、無人護衛編隊から対 1E-2C 攻略専用の支援機二機を呼び寄せる。

標準戦術・対装脚機動型誘導弾砲台 1E-2C ――[反重力場防盾\AGS]発散機の支援にて突入口を確保の後、対象主兵装群の[最短射程\ミニマムレンジ]圏内へ侵入、強塩基流体装甲に対し強制中和弾を使用。

シミュレーション上では最適とされるのが各種標準戦術なのだが、言うは易し――これまで、1E-2C の強力な対空火力に阻まれ、支援機の接近が難しく、成功率が低かった。1E-2C に[代表戦士\チャンピオン]が直接斃された事は無かったが、攻撃するにせよ回避するにせよ戦術選択の幅が狭くなり、加えて[遊離導爆弦\PDS]による極めて自由度の高い精密誘導攻撃に曝される――これが、現在十四[会戦\キャンペーン]に渡って青軍が連敗を喫している主因だった。

だが、超越性能機 MAMAF-8F の遣い手ならば――

対 1E-2C 攻略支援用の反重力場防盾発散機は、高精細センサー群と小出力の精密射撃[粒子束砲\ビームガン]、そしてそれらを制御する極めて強力な量子計算機の組み合わせからなる。[可載重量\ペイロード]のほとんどを計算機が占める、機動力も防御力も大きく犠牲にするその偏った構成は、1E-2C の纏う頑強な反重力場防盾を剥ぐこと、ただそれだけの為にある。

当然、単独では大きくて動きの鈍い割に脆弱な、ただの当て易く墜ち易い的。これをいかに護り、その短い射程内で、強大な火力を誇る 1E-2C に相対させるか。これまでさまざまな接近パターンが試されてきている。その多くは、複雑な経路で最終的な接近方向を隠しながら、1E-2C の対空射界の死角を突こうとするものだった。

しかし彼女は、何も考えていないかのように、支援機を最短距離を真っ直ぐに突入させた。

どのような韜晦機動をとろうとも結局のところ、対 1E-2C 攻略専用の支援機が 攻略対象である 1E-2C への接近を意図している事は隠しようがない。それならば、真っ直ぐ接近させれば総被弾時間は最短となり、防御の必要な攻撃の総数は最小となる。ただし、攻撃密度は極めて高くなるわけだが。

その全てを捌いてみせた―― 1E-2C からの対空砲火は二基の[慣性平準化防盾\IAS]の自動反応に任せ、四発[電離線衝動推進器\ローレンツスラスター]の高機動力で支援機の周囲を自在に飛び回り、群がる敵小型無人機を二門の K-87a で片端から狙撃。八腕 MAMAF でなければ不可能な護衛方法だった。

1E-2C の近接防衛圏へ侵入成功。正面で向き合うように着地。

装備変更、八腕全て[慣性平準化防盾\IAS]、非選択[連続\コンティニュアル]モードで作動。[障壁球殻\バリアスフィア]の大気が分子の動きを止められ瞬時に[非晶質\アモルファス]化、それ自体が[障壁\バリア]であるかのように透明なドームを形作り、両脇二機の支援機を同時に包む。1E-2C は近接防御を開始、三対の脚の間を潜って、機尾の低空近接防御砲塔群から殺到する弾頭や[粒子束\ビーム]が、その表面に次々と突き刺さり、慣性結合による運動量交換と共に運動エネルギーを奪われ静止。

反重力場防盾発散機作動。精密射撃[粒子束砲\ビームガン]の銃眼として、照準と同期して[慣性平準化防盾\IAS]障壁球殻に微細口を形成、[断続照射\パルス]射撃開始。

小出力の粒子束は、当然それだけでは[反重力場防盾\AGS]を貫けない。だが、どれ程強力な[防盾\シールド]であろうと、重力乃至反重力を利用して運動エネルギーを受け止める以上、反作用による相応の[偏倚\バイアス]が発生する。[防盾\シールド]制御系は[帰還\フィードバック]制御でこれを平準化するのだが―― 1E-2C の強大な[反重力場防盾\AGS]は、強大なるが故にこの制御が粗く、[遅れ\ラグ]も大きかった。

高精細センサー群により[偏倚\バイアス]状態を精確に把握する発散機は、これを拡大するのに必要な外乱、即ち[粒子束\ビーム]照射を、その強力な演算能力で瞬時に算出。精緻なパルス変調パターンを[粒子束砲\ビームガン]に乗せる。初め暫くは何の変化も無いかに見えたが、[防盾\シールド]の変形は動き出すと急激だった。

光学放熱でエネルギーを逃がす[慣性平準化防盾\IAS]と違い、[反重力場防盾\AGS]は防御による反作用を機体全体に分散させて受け止めている。固体の[構造材\ストレスメンバー]を持たない 1E-2C の機体は、反重力場防盾の[偏倚\バイアス]が拡がり、制御が発散しつつあるのに伴い、次第に、絞られるように捩れていく。変形に抵抗せんとする強塩基流体装甲の電場制御は出力最大、帯電する大気が不規則に脈動する[反重力場防盾\AGS]と干渉、咆哮めいた唸りを生じる。

機体主軸回りに機首が百八十度以上捩れ、前脚が上向きになるに至り、機体崩壊の危険を防ぐ安全装置の作動により、反重力場防盾は機能停止。

[防盾\シールド]を失った 1E-2C は、機体形状を元に戻しながら、近接攻撃の全ての[制限機構\リミッター]を外す。自射弾被弾も砲身過熱も機関焼損も、友軍無人機への同士討ちをも厭わず、全門乱射。[慣性平準化防盾\IAS]への火力の集中が限界を超え、光学放熱が追いつかなくなり、残留運動エネルギーが障壁球殻の[幾何形状\ジオメトリー]を次第に歪め始める。非晶質化した固体大気に次々とひび割れが走り、障壁球殻の消失と同時に硝子の様に砕け散る。

だがその時には既に、青軍[代表戦士\チャンピオン]は障壁球殻の中心には居なかった。推進器セットを再装備して急加速、1E-2C の脚の間を抜け、腹部の下に潜り込んでいる。反重力場防盾発散機は被弾するにまかせ、捨て置いた。限界作動していた量子計算機が役目を終えて、既に自らの演算熱で[熔落\メルトダウン]している。元々そういう使い捨て設計の兵器だ。

装備再変更――第一腕に GLm-03 短距離自動擲弾筒。対強塩基流体装甲強制中和弾 GA-450NB を装弾。自動擲弾筒は数世紀前に進化の止まった種類の兵器だけに、照準用に[調律光射点指標器\レーザーエイムポインター]が付いている。照準連動する[擬似視覚重畳表示\QVSID]を使う現代戦には無用だが、気紛れに作動させてみた。赤い光点が細波にうねる流体装甲の表面を滑る。

強塩基流体装甲は、貫入する弾体乃至[粒子束\ビーム]に反応し、その運動エネルギーを相殺する方向に電位差を生じる事で構成流体を亜光速まで加速する、[流体反動装甲\フルードリアクティブアーマー]の一種である。光学兵器に対しては莫大な潜熱によりそのエネルギーを吸収する。[慣性平準化防盾\IAS]に代表される慣性結合防御に比して一世代古い防御手段だが、1E-2C の規模になると、その実効装甲厚は鋼板換算で数ギガメートルに相当する。加えて、それ自体が[構造材\ストレスメンバー]として機体を支え、機動力を担うに十分な駆動系としての性質をも合わせ持ち、耐塩基殻内の制御動力系とセンサー群、そして攻撃兵装を除けば、事実上装甲のみで機体を構成できる。固体の構造材を持つ必要が無い所以だ。

機体中央部の真下に到達。GLm-03 の弾倉内八弾を全自動射撃。射出された GA-450NB は近接信管の作動により、装甲表面から一定の距離に達したところで起爆。緩指向性爆発により目標へ向けて強制中和剤エアゾール噴流を発生。

装甲表面に付着するだけで、運動量を持って貫入はしない強制中和剤エアゾールには、流体反動機構は反応し得ない。排除出来ず、定常対流により内部に取り込んでしまった強塩基流体装甲は、急激に伝搬する中和反応により爆発的に燃え上がりながら結晶化、電場制御を受け付けなくなり、[構造材\ストレスメンバー]としての機能を喪失。自重を支えられず、岩塩状の半透明な破片を大量に撒き散らしながら機体崩壊。塩漬けのように埋もれる内部装備の残骸。

1E-2C 撃破――所要時間十二秒六八。

その後結局、灰軍[代表戦士\チャンピオン]の[遊離導爆弦\PDS]に撃墜され、退却を強いられたものの、次の交戦では十秒を切る短時間で 1E-2C を再撃破。この時は灰軍も[代表戦士\チャンピオン]との連携を図ったのだが、無人機群による飽和攻撃ならぬ『飽和突撃』により妨げられ、貴重な大型無人機の二機目を完全喪失する結果となった。

以降灰軍は、彼女に対しては、装脚機動型誘導弾砲台 1E-2C を直接交戦させることは無かった。

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このシーン、 時間にしてたった 12秒68 なんですけど、 なんでしょーねこの行数ゎ。

んーと、 次は『鼻が七メートルになれば』かな。

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犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward

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