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日記

glassgrassの日記: 結局の所どっちなんだろう 1

日記 by glassgrass

防火設備はガソリン火災を減災しうるか否か、攻撃的な物言いが多いくせに理論的にも実験的にもどうという話が出てこない。
とりあえず考えたことをメモ程度に残しておく。

ガソリンの燃焼速度について

1. 火花点火機関の火炎伝播 / 燃焼速度
2. 可燃性気体の爆発・火災現象と影響度評価
3. Gasoline-air mixture Explosion in a Semi-Confined Space with a 90° Bend

1.では常温常圧下におけるガソリンの層流燃焼速度を0.4m/sとしており、2.ではこれに火球の膨張率を乗じれば火炎伝播速度が求められるとしている。肝心の膨張率は見つけられなかったが・・・。
また3.の実験記録を見ると1.2mの直管を40ms程で通過しているので、拡散方向が一次元に制約された状態での火炎伝播速度は30m/sとみられる。

正直言って、調査前の想像からすると意外と遅いなという印象。
まあ、衝撃波を伴う爆轟を比較対象において考えるのはフェアじゃないか。
とはいえ火災の進行速度として考えるとやはり驚異的で、仮に建屋内全体を踏破するほどの火球体積を形成したならば、数秒で火炎が行き渡ってもおかしくない計算になる。
火球がそのようなサイズになりうるかは別途調べてみる必要がある。

ガソリン爆燃の爆風圧について

4. Explosions of gasoline vapor/air mixture in closed vessels with different shapes and sizes

3.の曲げ付き半閉鎖管で19.8kPa、4.の全閉鎖容器だと形状次第では932kPaとも。
20kPaは大したことないけど900kPa超えはかなり強いなぁ、木造建築なら粉砕してもおかしくない数字かもしれない。
現場が完全な密閉環境ということはないだろうし、至近距離で爆風を浴びたはずの犯人でも風圧による負傷については全く報道されていないので、流石に900kPaは出てないと思うけども。

初期爆燃について

5. ガソリンエンジンの必要空気量の計算方法

初期爆燃で燃えたガソリンって実は全量に対してごく一部なのでは?という仮説の元計算してみる。
純オクタン1molの燃焼に対して空気約59mol=約1322Lが必要。
オクタン1molが114g、液体ガソリンの密度が0.75g/cm^3なのでガソリン40L=30kg=約263mol。
だからガソリン40Lの燃焼に必要な空気は約350,000L=350m^3。
小学校の教室一部屋分使い切ってまだ少し足りない程度か。
見取り図の長辺が70mなら一応は初期爆燃でも全量燃焼が実現できなくもない・・・か?
とはいえ貧酸素環境である火球内で新たに揮発する分子が爆発に寄与することはないだろうし・・・
これも実験なしでは正確なことは言えないか。

6. 種々の散布条件におけるガソリン蒸発拡散挙動

科学警察研究所の論文。撒いたガソリンはどれくらい離れた位置から着火できるかについての研究で、アブストではガソリン放火に言及している。
条件設定からして防犯にも犯罪被害軽減にも結びつかなさそうに見えたが、どうやら火元を特定するための研究のようだ。
30分待って散布面より上方40cmが可燃範囲になる、という辺り飽和するそう(放火するぶんには30分も待つことはないと思うが)。
散布面積がわかれば点火時の空気-ガソリン混合気体の量が推定できるだろうか。

防火設備の耐久性について

7. 防火設備の遮炎性能試験

1時間遮炎試験の温度がセ氏945度なので、1500度で炙られる想定をしてテストされないのはまあ間違いない。
防火戸が鋼製なら融点は1536度だから融けることはないだろうけど、だいぶ軟化するはずなので自重で歪むのはありうるか。
完全遮炎できないときの開口部面積と延焼速度に関する研究があればどれくらい性能劣化するのか見積もれそうだが・・・。
なんだかんだいって随時閉鎖型だとクローザーが破裂して閉まらなくなるなんてこともあるかも。

圧力を見る限り、鋼製防火戸が爆風で破砕される可能性はさすがに考えなくても良さそうか。

専門家に聞いてみた

いくら考えても仕方がなかったので消防研究センターにメールで質問してみた。

この度、お問い合わせをいただいたところですが、本事案は、現在、地元をはじめ多くの機関・団体が対応中の事案になりますので、回答を控えさせていただきます。

検証中の間は確信のない情報を無責任に流布するわけにはいかない、というニュアンスでいいのかな?
先行研究も多くはなさそうだし、証拠付きの統一見解はまだないと考えるべきか。
事故調査はせっついたところでいい結果が出るものでもなし、落ち着いて調査の完了を待つ以外にないか。

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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

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