hawkswatcherの日記: 伝えたくて・言えなくて
今月の初め、彼の携帯に、ある女性からの着信があった。
音は鳴らなくとも、それが紫色に光ってふるえただけで、彼の体は固まってしまった。
なぜなら…2年間、その色では光らなかった携帯だったから。
彼は、気まぐれかもしれないと思って、かけ直すのはあえてやめておいた。
夜中だし、酔っぱらってボタンを押し間違えただけかもしれないし。
本当に用事があるのなら、留守録を残すかメールでも送ってくるはずだし…と、思ったらしい。
1週間くらいして、また、彼の携帯がその色で光った。彼はまた動けなくなった。
今度は、ずいぶん長い間ふるえた後に、留守録が始まった。
留守録の内容を途中まで聴いて、おどろいた彼は意を決して通話のキーを押した。だが、一瞬遅く、通話は切れていた。彼はすぐに電話をかけなおした。
実のところは、今度彼女から連絡がくるときは、たぶんそのひとが結婚するときくらいだろうと思っていた、という。それで、何となく、彼女から何かを告げられること自体が怖かった…らしい。情けない男だ。
だが、今度はそのひとの方が電話に出てくれなかった。
かなり粘っても駄目。
彼は仕方なく携帯にメールを送った。
ごめんね。怒っている?
意外にもメールの返事はすぐに戻ってきた。
ばか…大袈裟だよ。ずっと連絡取れなくなるのが嫌で、電話しただけ。
体は小さいが、人一倍気が強い。十は若く見える。
男あしらいにも慣れているから、始末が悪い。その分、誤解もされやすい。
本当はかよわい。やさしさにうえている。なにより、さびしがり屋だ。
彼はそのことを、たぶん誰よりも知っていると思っている。
さびしすぎてつらいから、いっそ別れた方が楽になれると、何度も涙声で言われたあの頃のことを、彼は今でも忘れることができない。
そんなひとが、ひとりで遠い国へ旅立った。
いつまでもあなたはあなたのままでいて。勝手なお願いだけど。
彼女からの最後のメッセージと同じ言葉を、彼も彼女に送るつもりだった。
This tale is a fiction and that of a real person is not related.
Mac萌え:目の毒やっちゅーの More ログイン