hide.jikyllの日記: 睾丸から万能細胞 39
日記 by
hide.jikyll
胚(胎児)を使わずに万能細胞を生成する方法がさまざまな機関で研究されていますが、その万能細胞の基として睾丸内のGSCs(精原細胞)が注目されているそうです(Technology Reviewの記事、Nature掲載の論文(要会員登録))。通常は分化して精子になるGSCsですが、適切な成長因子を与えることでさまざまな細胞に分化することができるとのこと。
胚を使わないことで倫理面の問題をクリアすることができ、患者本人の細胞を基にすることで拒絶反応を抑えることもできます。また、レトロウイルスを使った遺伝子操作で作られる人工多能性幹細胞(iPS細胞)と異なり、そのような操作を必要としないGSCsにはガン化するおそれがないそうです。
胚を使わないことで倫理面の問題をクリアすることができ、患者本人の細胞を基にすることで拒絶反応を抑えることもできます。また、レトロウイルスを使った遺伝子操作で作られる人工多能性幹細胞(iPS細胞)と異なり、そのような操作を必要としないGSCsにはガン化するおそれがないそうです。
いくつかツッコミ (スコア:5, 参考になる)
基本的に、幹細胞を用いる場合にはがん化のリスクというのはどうしてもつきまとってくるというのが現状で、ES細胞を使った場合であっても問題になりえます。ただし初期のiPS細胞の場合には、それが(1)c-Mycというがん遺伝子を導入すること、(2)レトロウイルスベクターによる遺伝子導入を行うこと、という要因が加わっていたため、相対的に発がんのリスクが高いことが予想されてた、ということですね。ところが、これが(1')c-MycなしでもOKなことがわかった、(2')レトロウイルスベクターでなくても、それこそ一過性の導入でもOKなことがわかった、ということで解決されつつある、というのがここ数ヶ月の流れです。実際にどうなのかは今後の検証を待たないといけないけど、iPSでもESやGSと同程度まで発癌リスクを減らせるかもしれない、という流れです。
それからツッコミの二つ目ですが、せっかくのノーベル賞なんですから「緑色のGSCs」じゃなくて、GFPを発現した(GFPトランスジェニック)マウスのGSCsと呼びましょうよ ;-)
Re:いくつかツッコミ (スコア:1)
> せっかくのノーベル賞なんですから「緑色のGSCs」じゃなくて、GFPを発現した(GFPトランスジェニック)マウスのGSCsと呼びましょうよ ;-)
ご指摘ありがとうございます。以上2点について修正しました。また、精原細胞(spermatogonia)とGSCs (germline stem cells)とを混同しているようなので、その点も修正しました。
Re:いくつかツッコミ (スコア:1)
直しだしたら泥沼にはまってしまったので(そもそも、このあたりの知識がないからなのですが)、間違いがありましたらまた指摘していただけると幸いです。
他人にも移植できたら (スコア:3, おもしろおかしい)
「眠らせておくくらいなら、あなたのその金を世の為人の為に使いませんか?」
#彼女いない暦=年齢なのでAC
Re:他人にも移植できたら (スコア:1, 参考になる)
「金をご提供いただいた方にはもれなく こちら [amazon.co.jp]と こちら [amazon.co.jp]を進呈」
# 女に生まれたとしてもクモの巣が張りそうなのでAC
Re:他人にも移植できたら (スコア:1, おもしろおかしい)
コウガンの美少年にしか役立ちそうにありませんなあ
ようやく (スコア:2, 参考になる)
4-5年前に、精原細胞を培養し続けると万能細胞様の細胞になるっていう論文がでてました。Scienceだったかな?忘れましたが。
その時は万能細胞のマーカだけで追い掛けていて、完全じゃないけど見込みありそうって話でした。
abst.読んでないので判りませんが、そのあたりの問題が改善されたっていうのと、最近のiPS細胞絡みでさっさと出さないと一流誌に載せられないという政治的問題で出てきた話なんでしょうか。
#現役を離れて久しいので、識者の意見を伺いたいです
Re:ようやく (スコア:5, 参考になる)
#正直、専門外だし、追いきれてない部分が圧倒的に多いので、識者からの突っ込み希望。
多能性幹細胞としては、ES細胞がもっとも有名かつ実績がありますが、これを実際にヒトでの幹細胞治療に用いようとする場合、倫理的な問題だけではなく、治療上の問題があります。ES細胞も元々は「他の人のもの」なので、臓器移植と同じく適合性の問題が出てくる。
そこで解決策として、いろんなタイプのES細胞を作ることでカバーしようとか、今あるES細胞を遺伝子操作して、その人にあったES細胞を作ろうという考え方もあるんだけど、ESを作ったり遺伝子操作することには倫理的問題がつきまとってくるし、何よりそれだけ沢山の種類のものが出来たとして、実際に問題が起きるかどうかは(輸血の際、血液型の一致だけじゃ判らないのと同じで)治療に使ってみないと判らない、というのじゃ困る、と。
だからやっぱりなんとかして、治療を受けようとする患者と同じ細胞(同じ遺伝子を持った細胞)で幹細胞治療をしようという試みが何通りか存在してます。
- 核移植/体細胞クローン
- クローン羊のドリーのように、哺乳類であっても体細胞の核を、正常な卵子に核移植してやるとクローンを作ることが可能であることは判ってます。「クローンを作れる」ということは、つまり動物一匹をまるまる作るために必要な、すべての細胞に分化させることができる(=分化万能性がある)ことを指しますので。ただ「あくまで原理的には」患者さんの体細胞をヒト卵子に核移植してやれば……ということであり、ご存知のようにヒトのクローン作製は禁止されてますので実施は困難、というか無理です。これに代わる方法として、ヒト卵子に移植する代わりに、ヒトES細胞に核移植して、患者さんと同じ遺伝子を持つヒトES細胞を作ろう、という試みがなされましたが……韓国で成功したと報告されたけど、これが例の捏造事件でして、今のところ成功はしてません。
- 長所:がん化のリスクは低め。染色体は正常(!)で、体細胞のDNAメチレーションもキャンセルされ、ゲノムインプリンティングも(調べられた限りほぼ)正常。
- 短所:ESや卵子を使うので倫理上の問題が大きい。ヒトでの成功例はない(報告はあったけど……ってやつ)
- 細胞融合
- 体細胞とES細胞などの幹細胞を融合させて一つの細胞にすること(細胞融合)によっても「患者さんの遺伝子を持った万能細胞」を作ることが可能です。しかもこの方法は、ヒトES細胞でも成功してます。ただし、二つ分の細胞の遺伝子を持った細胞(四倍体)になってしまうのが難点。また、患者さんの遺伝子だけでなくES細胞由来の遺伝子も持っているので、移植時に拒絶反応が起きてしまうという欠点もあります。ただ、この拒絶反応については特定の遺伝子を欠如させていけば抑制できるのではないかと考えられてます。なお、ES細胞以外にもEG(embryonic germ)細胞、EC(embryonic carcinoma)細胞などを使っても同様な万能細胞を作ることが可能です。
- 長所:ヒトでの成功例がある。ゲノムのインプリンティングは(調べられた限りほぼ)正常。
- 短所:ESを使うので倫理上の問題がある(→EGなどで克服可能?)。染色体が四倍体化。ES由来遺伝子に対する拒絶反応(→克服可能?)。がん化のリスクは高め。
- ヒトES細胞
- 患者さんから直接ES細胞を作ってしまうというのも「原理的には」可能。ただ、それには患者さんの受精卵/胚が必要なわけで…いわば究極の方法。
- 長所:ES細胞はヒトから作れるし、分化万能性なども保証済みという意味で、一番「成功が確実」ではある。染色体も(受精卵と同じに)正常。がん化のリスクも低い。
- 短所:とにかく倫理的な問題が大きい。女性じゃないと出来ない。
- iPS細胞
- 体細胞に特定の遺伝子を作用させて、分化多能性細胞にしてしまうというもの。有名なので詳細は省略。
- 長所:患者さんの細胞だけを材料にでき、ESや卵子が不要(!)。ヒトでの成功例がある。ゲノムのインプリンティングは(調べられた限りほぼ)正常。
- 短所:がん化のリスクは高め(克服されつつある)
- mGS (multipotent germ stem)細胞
- 今回のヤツ。精原細胞から多能性の精子幹細胞を作製する。
- 長所:患者さんの細胞だけを材料にでき、ESや卵子が不要。ヒトでの成功例がある(今回できた!)。がん化のリスクは低め。
- 短所:ゲノムインプリンティングの状態が精子型のものになっていて、初期化されてない。女性ではそもそも出来ない?
今回の報告でもそうなんだけど、mGS細胞の場合、ゲノムインプリンティングの状態が精子型のものになったままになってるというのが謎な部分で…何で、正常な卵子やESとは違うインプリンティングパターンなのに、そこから正常な個体発生が可能なのかがよく判ってないみたいです。まぁ、やはりいちばんの有望株はiPSなんだけど、もしかしたらiPSに大きな問題点が見つかって、使い物にならなくなるというリスクもないとは言えないわけで。そう考えると、今回のmGS細胞を含めて、いくつかの選択肢があるということも重要になってくるかと。
Re:ようやく (スコア:3, 参考になる)
乗り遅れたのでほんの少しだけ補足を.正確にはインプリンティングは精子型とESの中間のような感じですね.
論文のFig.4dに詳しいですが,oct4はESにとても近いメチル化パターンですが,nanogは半分だけESのようなパターンです.
この図はとても面白くて,確かにもとの精原幹細胞に比べればずっとESに近い遺伝子発現なのですが,個々の遺伝子では精原幹細胞の特徴を色濃く残していることが分かります.(iPSはほとんどESと区別がつかなかいほど似ています)
生殖系列の細胞では(そしてそれらだけが)ES細胞と同様にOct4を発現しているということは知られていたので,今回の内容はヒトでの結果という以外にそれほど驚きはないのですが,ESと同様に万能性を持っている細胞が,その元となった細胞の特徴をこれだけ残していても万能性を有していられるというのが興味深いです.
実は私の個人的な仕事の範囲で,こういった,万能性と由来の記憶の両立という,同じような傾向が見られているので,なるほどなと思わされる部分が多いです.
kaho
去勢 (スコア:1)
日本ではやってないが。
一方男達はそんなことは気にせず幼j(ry となりそうではある。
そりゃさまざまな成長因子を与えれば… (スコア:1)
素のママだって、「卵子」という成長因子を与えれば、男の子になったり女の子になったりするからね。(違っ
fjの教祖様
緑色 (スコア:1)
どうやって採取するのか (スコア:0)
Re:どうやって採取するのか (スコア:1, 興味深い)
# ラクダのは生で食うとまずいらしい。
ソースはDiscoveryChannelにて
Re:どうやって採取するのか (スコア:5, おもしろおかしい)
Re: (スコア:0)
ラストエンペラー、カストラートとかって映画が参考になると思われ。 どちらも悲鳴あげてなかったか?
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
たぶん、太い注射針みたいなので組織を (スコア:1)
なんか、死にたくなるくらい痛そうな気がする。
そういえば、所ジョージさんは、あそこを蜂に刺されたことがあるとか、ないとかテレビで話していたけど、痛みにいては話してなかったですね。
男に生まれて良かった 部門より。 っていうか (スコア:1)
太い注射針って…男に生まれるんじゃなかったってぐらい嫌な目にあいそう。もう泣いたり笑ったりできなくなりそう。
…麻酔されても嫌なものはイヤなんです。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
Re:どうやって採取するのか (スコア:1)
#とりあえず下心はない…が、こんな思考回路なんだから実現しても独身・ずっと相手なしは変わらない気がするID
採取に苦痛を伴う可能性が高い場所よりも (スコア:0)
睾丸の生産物を利用できたら画期的だと思う。
そんなので人助けに貢献できるなら一石二鳥。
Re:採取に苦痛を伴う可能性が高い場所よりも (スコア:1)
アフリカの栄養失調の子供達に
新鮮なタンパク質を!という理由で
ソレを採取するというボランティアマンガ(嘘)があったな~。
ひとつだけならいいか?(生理的に、倫理的に) (スコア:0)
分離だってばさ (スコア:0)
ホムンクルスの実現にまた一歩 (スコア:0)
俺の野望に必要な技術が次々と実現されるぜ。
Re:ホムンクルスの実現にまた一歩 (スコア:1)
思春期とか、なまじ頑丈で手がつけられなかったりして。
「クソ野郎!俺みたいな化け物を無責任に生み出しやがって!オラァ!」(ガシャーン)
「ひぃ、やめるんだホム男!、父さんが悪かった!許してくれ、ヨヨヨヨヨ」
「てめえなんて父親じゃねえ!死ねオラ!」
なんてことに。
Re: (スコア:0)
# コソコソと匿名の臆病者として投稿
Re: (スコア:0)
逆に美味いものだけでも飽きてしまう。
結構精神というか心理的な問題も大きいと思うぞ。
単性生殖 (スコア:0)
女性の世話にならずに子供を生むことは出来るのでしょうか?
頭の悪い質問かも知れませんが、万能細胞を知らない素人に教えてください。
さて、男性の体内のどこで育てるかが問題ですが。
胎児が育つと、格納する場所は大きく伸びますよね。
まさか…。
Re:単性生殖 (スコア:1)
the.ACount
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
Re:単性生殖 (スコア:1, おもしろおかしい)