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日記

hylomの日記: 退職(およびスラド編集長からの退任)のご挨拶 87

日記 by hylom

突然ではありますが、このたびスラドおよびOSDN(OSDN.net/OSDN.jp)の運営会社である株式会社アピリッツを退職することになりました。書類上は7月中旬まで同社に在籍していることになっておりますが、いわゆる「有休消化」という扱いで、6月30日が最終出社日となっています。ここスラドには「編集長」という立場で関わってきましたが、退職に伴ってその肩書きもなくなります。読者の皆様、長らくスラドをご愛読いただきありがとうございました。

今後は、OSDN部の部長であるkazekiriこと佐渡さんがスラドの最高責任者という形になり、平常の編集者業に関してはnagazouさんとheadlessさんが担当する形になります。書類上の退社日が過ぎたあとについては、編集者権限は残るものの特権ユーザーではなくなり、毎日の編集作業に関しても基本的には手を引いてボランティアベースでの関わりとなります。

ということで、以下はいわゆる退職エントリとなります。

hylomってナニモノ?

松島浩道(Hiromichi Matsushima)と申します。OSDN(現・アピリッツOSDN部)には2008年5月に入社したので、12年ほど在籍していたことになります。スラドでは掲載する記事の選抜や編集をしたり、タレコミをしたり、さまざまなユーザーからの問い合わせに対応したり、削除依頼申請の窓口をやったりしていました。また、オープンソースソフトウェアの開発・ダウンロードサイトであるOSDNでも編集長という肩書きでOSDN Magazineの記事企画や執筆、さまざまなコンテンツ制作などをやっていました。そのほかの業務内容としては次のような感じです。

  • さくらインターネットが運営する「さくらのナレッジ」というサイトから依頼を受けての技術記事の執筆
  • スラドの新システムの設計と実装
  • IT・テック系の広告記事の企画・執筆

ちなみに、OSDN(現・アピリッツOSDN部)入社前はSBクリエイティブという会社でPC/IT系雑誌の編集をやっていましたので、編集者歴としては15年ほどとなります。

皆様の興味は、ぶっちゃけ「なぜ退職したの?」という話になるとは思います。明確に何か1つの理由があるのではなく、いくつかの理由が重なって退職に至ったわけですが、それを説明する前に、まずはそのきっかけとなった、現在のスラドとネット広告の現状についてお話ししたいと思います。

現在のスラドとネット広告の現状

スラド(およびOSDN)は、(少なくとも私が入社したころからは)広告収益による運営を目指しています。実際2010年代中頃までは、広告収益だけでサイトの運営と成長に必要な十分な収益を得られていたと認識しています。しかし、ここ5年ほどは広告収益に関しては下り坂で、SEO支援などの「サイドビジネス」でそれを補う構造になっていました。

広告収益の減少に関してはとても理解しやすい2つの理由があります。1つは広告単価の減少、もう1つはサイトのページ閲覧数の減少です。

今から10年前の2010年ごろは、ネット広告プラットフォームに多様性のある時代でした。広告配信ネットワークサービスを手がける企業はたくさんありましたし、広告代理店もネット広告の営業に熱心で、掲載先サイトを紹介する分厚い「媒体資料集」を配って広告営業を行なっていました。当時はスラドもその媒体資料集に掲載してもらい、それなりの頻度で広告代理店経由での広告掲載を受注したり、また複数の広告配信ネットワークを組み合わせて収益性の向上を目指すといった試みも行なっていました。OSDNやスラドは比較的小規模なサイトではありますが、その結果として一定の収益性を保つことができていました。

しかし、2020年現在、スラドやOSDNが過去に採用していた、もしくは利用を検討したことのある広告配信ネットワークのうち、少なくない数のサービスが消滅しています。今では広告代理店経由での受注もほとんどありません。その代わりに幅を利かせているのがGoogleの広告ネットワークです。現在、少なくとも一般消費者向けのサイトにおいては、Google以外の広告ネットワークをメインの広告枠として使うことは考えにくい状況にあります。スラドに広告を出したいという広告主も、現在ではそのほとんどがGoogleの広告配信ネットワークに対し、サイト指定で広告を出すという状況になっています。そして、Googleの広告配信ネットワークにおいては、近年そこで配信される広告の単価は下落傾向にあります。

また、ページ閲覧数の減少の大きな要因はGoogle経由での訪問者数の減少です。直近の数字ではサイト閲覧者数のうち半分ほどがGoogle経由での訪問者です。各種SNSやブックマーク等で直接サイトを閲覧してくださるユーザーの数は(その増え方に増減はあるものの)ずっと増加傾向ではあるのですが、それでも未だにサイト訪問者数の過半数がGoogle経由での訪問者であり、そしてこの数字はGoogleのアルゴリズム変更によって大きく変動します。特に、近年GoogleはいわゆるSEO業者対策として「低品質なコンテンツ」への誘導を抑え、「権威のあるコンテンツ」への誘導を高める方針を見せていますが、これらはコミュニティベースで無権威なスラドに対しては大きな向かい風でした。

しかし、広告収益が減少したとはいえ、広告収益で運営するネットメディアというものは現在でも規模の追求さえしなければ十分運営できるとは考えています。昨今ではサーバーやネットワークインフラといった固定費の削減がしやすくなっており、数人規模のチームでの運営であればなんとかやっていけると思います。しかし、その場合でもまた別の問題が存在します。「Googleは財布を預けるに当たって十分信頼に足る存在なのか?」という懸念です。

Googleへの不信

GoogleはスラドやOSDN上のコンテンツに対したびたび「不適切なコンテンツである」との警告を出し、修正しないと広告をすべてブロックすると要求してきました。たとえば過去に性的だとして不適切扱いされたものとしては、『TENGA、精子をスマートフォンで観察できる「TENGA MEN'S LOUPE」を発売』や、『美術館で展示されていた黒い穴、黒すぎて気づかなかった男性が誤って落下』といった記事があります。しかし、どちらも記事内容に性的な要素はありません。前者はまだ「精子」などの単語がフィルタに引っかかったのではないかと推測できますが、後者に関してはどこに問題があるのかまったく理解できません。かつては、こういったコンテンツ内容に関する警告に対しては、そのページだけ広告を消すという対応を行なっていました。しかし、最近ではこういった明らかに問題がないページに対し警告が出るケースが増えていることから、基本的にはすべて異議申し立てを行なうことにしています。異議申し立てについてはそのほとんどがそのまま受理されていますが、なぜブロックされたのかの説明は一切ありません。

Googleはこういったコンテンツの審査に対しAIを活用していると言われており、その結果としてこういった誤検出が発生することは理解しています。しかし、こういったAIの誤りによって、突然すべての広告がその収益とともに消え去ってしまうという懸念は常に感じています(なお、こうした警告は日本時間では深夜に通知されるため、弊社広告担当者は一時夜から朝にかけてよく怯えていたそうです)。

また、Googleの広告配信ネットワークではほぼリアルタイムに広告掲出回数やクリック数といった成果を確認できますが、これまで表示されていた成果の数字が突然「なかったこと」にされるといったこともたびたび発生しています。Google側は不正なアクセスを集計から外したとしていますが、何が不正なアクセスなのかという説明はありませんし、掲出回数に関しても、別のデータを元に集計した数字から乖離することは珍しくありません。しかし、これらに関しては、Googleの言っている数字をそのまま受け入れるしかない状況なのです。

検索によるトラフィック誘導に関しても、アルゴリズム変更によってGoogle経由のアクセス数が突然1、2割減るといったことが頻繁にあります。その後アクセス数が戻ることもあったり、逆に突然アクセス数が増えることもあります。もちろん、秀逸・有益なコンテンツはより発見されやすくなるべきだという原則に関しては賛同します。しかし、Google検索の結果は現実にはさまざまな方法で操作が可能であり、そういった手法への対処のための突然のアルゴリズム変更や「Googleの基準」の変更の巻き添えを受けてコロコロと変わるGoogleによる誘導数に一喜一憂する、といった状況には大きな不満がありました。

Web広告ビジネスと収益構造とコスト

こういったGoogle依存とも言える現状から脱出するためにはGoogle以外の収益源を模索するしかありません。しかし、残念なら編集長として私個人レベルではその道筋をつけることはできませんでした。これが、私が退社を決めた理由の1つです。

一方でOSDNという組織としては、こういった状況から脱するための1つの決断が行われました。それが、今年2月に発表した株式会社アピリッツへの事業譲渡です。先日OSDNでは「バナー広告の全面的な廃止」を発表しました。これにより、OSDNはアピリッツにおいて収益源ではなく、オープンソースコミュニティ支援による社会貢献や、それによるアピリッツのブランド・地位向上を果たすための存在という位置付けになりました。

昨今においてはこのようにブランド認知や広報、集客目的で企業がメディアやサービスを運営する例は珍しくなく、むしろIT系分野においてはそういったメディアの方が増えつつあります。ただ、収益を直接稼がない存在となった場合、今度はその存在意義を社内外に対して発信していく必要があり、収益とは別の指標を使った成果も求められることとなります。しかし、現状のスラドはアピリッツに対しどのような貢献ができるのかを明確に定義できていない状況です。

たとえば人材紹介ビジネスを手がける企業が運営するメディアであれば、そのメディアによって自社サイトに人材を誘導でき、そのうちどの程度の割合が人材紹介に繋がった、といった分かりやすい貢献を示すことができるでしょう。人材紹介は成約すれば1件あたり少なくとも百万円以上、案件によっては数百万円の売り上げも期待できる大きなビジネスですから、それによって十分に運営コストを賄うこともできると思われます。しかし、アピリッツの主業はソフトウェア開発業であり、そういった誘導による貢献は難しいと言わざるを得ません。

スラドにおいては現在も広告掲出を続けており、広告収入についてもまだ諦めているわけではありません。しかし、Googleの方針1つでその収益性は大きく変動する状況にあるわけで、そういった事業にリソースを投入することは難しい状況です。

このように、現在スラドは今後どのようなビジネスをしていくのか、不明瞭な状況下にあります。とはいえ現時点ではアピリッツ内にスラドのサービスを終了させようという圧力は存在せず、むしろスラドをどうやって存続させるか、複数の部門や担当者が頭を悩ませながら前向きに検討している状況です。ただ、その際に費用対効果についてはやはり大きな課題となります。

アピリッツは受託開発案件を多く抱えており、それらの売り上げはスラドと比べれば文字通り桁違いです。また、スラドに関しては収益性の面でも先が読めない状況にあります。そうなると、そこに専任の人員を割り当てておくことすら厳しいかもしれません。そう考えると、将来的にスラドの担当者はすべて社内でほかの業務も掛け持ちする兼任担当となる形が落とし所になるでしょう。しかし、もし私がそのような立場になった場合、アピリッツ内で一体私は何ができるのか、ということが問題となります。もちろんプログラミングやアプリの設計をすることはできますが、アピリッツ社内において私と同じような年齢、職歴を持つエンジニアに対しては、一般的にはプロジェクトの管理などの業務が期待されることでしょう。しかし、残念ながら私は商業的なソフトウェア開発のマネジメントに関してはまったくの未経験者であり、即戦力として給料に見合った働きができるとは思えません。それ以外のスキルを考えた場合でも、もちろん個々人が所有するスキルは異なるために単純な比較はできませんが、ソフトウェアの受託開発を主業とするアピリッツでは、社内の同クラスのエンジニアと比べた場合に私の持つスキルを同じようにマネタイズすることは難しいのではないか、との結論に至りました。これが、退職のもう1つの理由です。

もちろんこれに関しては私が個人で導き出した結論であり、社内で私個人に向けた圧力などがあった訳ではありません(社内で「編集」との肩書きが付いた社員は私だけなので、どうすれば良いのか対処に困っていた可能性はないとは言い切れませんが……)。

幸いなことに、アピリッツという「後ろ盾」ができたことで人材の選択肢は増えており、また資金面においても突然運営資金が枯渇する、といった状況はあまり考えられなくなりました。そのため、私が抜けた後の運営に関しても、そんなにひどいことにはならないだろうとの見通しが立てられたことも退職理由の1つです。現在アピリッツ社内ではスラドの開発担当エンジニアの社内公募が行われており、ここでエンジニアをチーム内に引き入れることができれば、ここ数年私が片手間でやっていた新システムへの移行作業に関しても大きく進むことでしょう。また、編集作業に関しても社内でいくつかのアイデアが出ています。スラドにおいては、社内においてうまく立ち位置を見つけることができれば今後も持続的に運営・発展が続けられるのではないかと思っています。

スラド・OSDNの思い出

長くなりましたが、以上が私が退職を決めた理由となります。心残りとしては、やはり新システムへの移行を完全には片付けることができなかったことでしょうか。スラドの運営だけでなく記事執筆活動なども並行してやっていたこともあって進捗は芳しくない状況でしたが、ここ3か月ほどで既知の課題はほぼ潰した状況になっていますので、後任の開発・運営担当者さえ見つかればすんなり移行作業は進むのではないかとも思っています。なお、スラドのシステム開発においてはデータベース設計が悪いと開発のどの段階でもそれが原因のトラブルに繋がるということを十二分に体験でき、ソフトウェア開発者としては非常に大きな勉強ができました。

スラドやOSDNの運営に携わってきた中で、印象的な出来事も多くありました。定期的に話題になる水関係の装置について取り上げた記事に対し弁護士名義でお手紙がやってきたり、商標関連の話題を取り上げたら直接伺って話をしたいという連絡が来たためにオフィスに刺又が配備されたり、コメントでのユーザー間のトラブルに介入したところ死ねと書かれたメールが私宛に送られて来たり、巫女エンジニアの話題を取り上げたところ某研究員の方から「あれは絶対創作ですよ」と詰められたりと、一般的には面倒そうなものが多かったような気もしますが、毎日のサイト更新という基本的に平坦になりがちな業務において良いアクセントになっていたような気もします。なぜかInteropにOSDNが出展して特に何を展示することもなく単にブース内に座って日常業務をするという、なかなかない体験もさせていただきました。

後任の方はまずデータベース構造を理解するのが相当に大変でしょうが、このシステムを触れるようになれば概ねどのようなPerlのシステムでも触れるようになると思いますので、(社内の人がこれを読んでくれているかは分かりませんが)ぜひアピリッツ社内の公募に応募していただければと思います(今更Perlかよという感じもありますが)。また、アピリッツでスラドのシステム開発をやりたい、スラドやOSDNの運営に携わりたいという方がいらっしゃいましたら、常時アピリッツは中途採用を受け付けておりますので、スラド右サイドバーに表示されている人材募集バナー経由で応募していただければ幸いです(そのバナー経由で応募すると、スラド経由での求人応募といういうことになり、社内的にスラドの評価に繋がります)。

私のこれからですが、7月前半は早めの夏休みというていでお休みさせていただくことになっています。また、その後の転職先もすでに決定しておりますが、そちらは編集職ではありません。15年続けてきた編集者という職種を離れることには不安もあり、メディア系の企業の選考もいくつか受けておりましたが、私のスキルについて評価をいただき、給与面でも現状と比べて遜色ない金額を提示されたことからそちらのお世話になることに決めました。そちらについてはまたどこかで告知するかもしれませんし、しないかもしれません(なお転職先はGoogleではありません)。ともあれ、今後ともスラドとOSDN、そしてアピリッツをよろしくお願いいたします。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • お疲れ様でした (スコア:5, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2020年07月01日 17時09分 (#3843683)

    皆様の興味は、ぶっちゃけ「なぜ退職したの?」という話になるとは思います。

    や、「なぜ記事に誤字や嘘を混ぜ込んだりしてたの?」だと思います。

    • by hylom (27448) on 2020年07月01日 21時59分 (#3843872) ホームページ 日記

      誤字に関しては、単純にそれを修正するコストをかけられなかったというだけです。ほかの編集者の方については分かりませんが、私の場合1記事あたり編集にかける時間は原則15分まで、基本的には10分以内に片付けるというルールでやっていました。その時間内で見つけきれなかった誤字は当然あるだろうとは思っていますが、時間をおいて再びチェックする余裕もありませんでしたし、そこは割り切って作業していました。

      「嘘」に関しては意図してやったことはないと断言しておきます。もちろん私が解釈を間違えた、勘違いしていたというケースはあるでしょうが、記事公開前にそれを第三者の視点で厳密にチェックするというリソースはありませんし、そういったことについてはコメントで指摘・反論されるでしょうから、コメントツリーまで含めたコンテンツとしては最終的に正しいものになるだろうと期待していました。

      指摘されても修正しないというのは、そもそもその指摘を私が認識していないのが原因です。少なくともここ5年ほどは編集後に公開した記事のコメントを見ることはほとんどありませんでしたし、誤字に関しては基本的に見つけた人(編集者やサイト管理者)がその場で修正するという運用にしていました。

      コメントを見なくなったのは、そういった作業をしている余裕がないというリソース的な問題が大きいですが、本題とは関係なしに私を名指ししての冷やかしやネガティブな内容の投稿がそれなりにあり、そういうものを見るのが嫌だったというのもあります。そのため、誤字や記事内容の間違いについての指摘はTwitterで指摘してくれると対応しやすいとしていたのですが、そこまでの手間はかけたくないのか、それとも匿名でしか指摘したくないのか、全然Twitterでの指摘はありませんでしたね……。

      そのため、実は新システムでコンテンツの問題点について通報できるシステムを作ろうと考えていたのですが、現時点では実現に至っていません(仕組み的には簡単にできるでしょうが、新機能追加については現状優先度は低い状況でしたので)。

      ちなみに、Webメディアにおいて誤字や内容の正当性を事前に厳密にチェックできる体制を取ることは、よほどの収益性があるところでない限り難しいと思っています。例えば雑誌編集では、原稿を編集部内3、4人で回し読みしてチェックした後にそれを修正し校正に出すのですが、それでも校正者からは少なくない数の赤字が入ります。文字校正は編集とはまた別のスキルで、プロに任せない限り事前にそれらを100%無くすことは不可能でしょう。

      あと、現時点のGoogle検索が評価に使う「コンテンツの品質」は、いわゆる「日本語としての品質」とは別です。そのため、日本語として成り立っているのか怪しいような文章でもGoogleが「高品質」と評価する可能性は十分にありますし、逆に日本語が正しいからといって高品質と評価されるわけではありません。日本語としての品質の良い記事や、嘘が含まれているコンテンツを評価してくれるようになると本当に良いとは思うのですが。

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      • by Meth610 (31617) on 2020年07月01日 23時56分 (#3843950)

        誤字や記事内容の間違いについての指摘はTwitterで指摘してくれると対応しやすいとしていたのですが、そこまでの手間はかけたくないのか、それとも匿名でしか指摘したくないのか、全然Twitterでの指摘はありませんでしたね……。

        これは、単にアフォーダンスの問題だと思います。
        記事に誤字があって、そこにコメント欄があれば、コメントに書けば気づいて直してもらえることを期待するのは自然な動き…… かと。
        もちろん指摘された側の対応や修正をするかは完全に自由なので、指摘が反映されなかったとかでガヤガヤ非難するつもりはぜんぜんないです。

        あと個人的には、各記事で必ず1箇所は誤字がある状態だったので おそらくわざとだろうと真面目に指摘しなかった感じです
        (ガチで指摘する=釣られた宣言 になっちゃうから、コメントで茶化す感じに話題にするに留める という動き)。

        まあ何にせよお疲れさまでした。Webメディアの収益化は昨今どこも課題ですね。既存事業とのシナジーでもなきゃ慈善事業になってしまう。

        親コメント
        • なるほど、確かにそういう心理は分かります。やはり誤字・誤りの修正通報ボタンはさっさと作っておくべきだったなあと反省しています。

          そういえば昔ほかの編集者の方で定期的に自分のハンドル名でサイト内を全文検索して自分宛のコメントを拾っているという方もいらっしゃいましたね。さすがに私は精神的ダメージを受けるのが怖くてやれませんでしたが……。

          Webメディアの収益化については、正直なところ個人的には広告だけでは厳しい時代だと感じてします。社内では本気なのか冗談か分からないのですが「これからは動画広告だ」という話もあったりしましたが、そちらもごく一部のみが稼げるだけの世界ではないかと。

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      • Re:お疲れ様でした (スコア:2, すばらしい洞察)

        by Anonymous Coward on 2020年07月02日 12時52分 (#3844204)

        正直なところ、Hylom氏の編集したストーリーに書いてある内容が信用できないので、タレコミとソースとコメントを一通り読み、ファクトチェックしなければいけないのが辛かったです。ネットにジャンクで役に立たない情報を増やさないよう、半ば義務感でチェックしていました。スラドのコミュニティ全体が疲弊していたかどうかは分かりませんが、少なくとも私は大いに疲弊していました。

        IT系ライターの西田宗千佳氏はこう述べています。

        ギャラの低い原稿を増やすことは、ライターを疲弊させるだけでなく、ネットにジャンクで役に立たない情報を増やすことになり、害悪です。

        https://twitter.com/mnishi41/status/1273481734076559360 [twitter.com]

        編集者としてのギャラがどれほど低いのか、あるいは再びチェックする余裕もないほどに何か他の高給な仕事をしていたのかは分かりませんが、できればnagazou氏には同じ轍を踏んで欲しくないと思っています。

        親コメント
        • ファクトチェック、ありがとうございます。ちなみに、ファクトチェックした結果問題があった記事というのはどれくらいの頻度で発生していたのでしょうか。その時点で手に入る情報で最低限の内容チェックはしていますが、時間的な制約もあり内容に問題のある記事が皆無だったとはもちろん考えていません。最近は記事掲載後はほとんどそれらを振り返ることを行なっていなかったため、その辺りには非常に興味があります。

          ちなみに、私の業務時間は「スラドの編集業務」「スラドの編集以外の業務(システム開発や問い合わせ対応、タレコミなど)」「スラド以外の業務(各種コンテンツ制作やOSDN関連の編集業務、そのほか雑務)」におおむね3分の1ずつ割り振っておりました。1日8時間労働と仮定すると、それぞれ2時間40分ずつという配分になります。平日におけるスラドの記事掲載数は基本1日12本としていたので、そこから逆算するとおおむね1記事の編集に使える時間は10〜15分という感じになります。ということで、スラドの編集に時間をかけられなかった理由としてはどちらかというとリソースが限られていたということの方が大きいです。

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      • by kei100 (5854) on 2020年07月01日 22時45分 (#3843915)

        誤字や記事内容の間違いについての指摘はTwitterで指摘してくれると対応しやすいとしていたのですが、そこまでの手間はかけたくないのか、それとも匿名でしか指摘したくないのか、全然Twitterでの指摘はありませんでしたね……。

        今更ですが、FAQが更新されていてTwitterの事が書いて有る事に気が付きました。
        もっと早く知ってればTwitterでDMしたのにと思ったり。
        FAQ [srad.jp]も更新されて、nagazouさん [srad.jp]宛て(Twitter不明)に変わるのか、今後もhylomさんが担当されるのか有るとちょっと安心出来ます。

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        • 他のコメントでも言及していますが、やはりシステム的に指摘ができるようなUIを用意するのが最善策ではないかなと思っています。Wikipediaのように誰でも(もしくはログインしているユーザー限定で)記事を修正できるというアイデアを実現できないか考えたこともあったのですが、悪意のある操作に対しすぐに対応することが難しいという理由でお蔵入りしていたりします。

          親コメント
      • by headless (41064) on 2020年07月02日 1時58分 (#3843975)
        最初にhylom氏からスラドの編集にと誘っていただいた時、1時間~1時間半の作業で5本掲載という話でしたから、1本あたり15分前後ですね。私は10年経ってもその速度ではできません。このコメントを書くだけでも30分以上かかっています。最近は平日に掲載されるストーリーの半分以上がhylom氏の書下ろしになっていたので、マシンだと思っていましたが、コメントを読んでマシンではなかったとわかりました。

        長年お疲れさまでした。ありがとうございます。今後のご活躍をお祈り申し上げております。
        親コメント
        • こちらこそ、headlessさんの編集やタレコミにはだいぶ助けていただけました。ありがとうございます。

          他のコメントでも書いていますが、スラドの編集以外の仕事もあるのでそちらが忙しくなるとそのぶんスラドの作業のためのリソースは減ってしまうので、正直なところ15分前後を超えての時間がかけられないといった方が正確かもしれません。

          今後もスラドを宜しくお願いします。

          親コメント
    • by simon (1336) on 2020年07月01日 18時15分 (#3843742)

      不治の病である「推敲すると死ぬ病」に感染している
      もしくは
      娘を人質に取られて「必ず誤字を入れろ。さもないと娘の命はない」と脅迫されていた

      親コメント
  • by tamaco (19059) on 2020年07月02日 6時58分 (#3844004)

    長い間、sradへの貢献ありがとうございました。
    誤字(笑)は全く気にならかったといえば嘘になりますが、あのペースで記事をアップ、かつタレコミとの比較をすればほぼゼロから書き直しているのも多いことを考えると「まあ、しょうがないだろうな」(自分もそうですし)と思っていましたよ。

    何はともあれ、新天地でのご活躍お祈り申し上げます

    p.s.
    この内情は興味深い+5を与えたくなりますね。
    特に北米のSlashdotがどのような運営形態であるのか日米比較で知ってみたいところではあります。

    • ありがとうございます。こちらこそ、頻繁にタレコミをしていただけて助かりました。

      北米のSlashdotについては、今はマーケティング会社に譲渡されてそこが運営している状況ですが、多分運営コストをすごく下げた感じになっているのではないかと推測しています。米国では他サイトのテキストをそのままコピペ引用してもセーフなので、編集コストも多分少ないです。とはいえ、10年前に比べたらコメント数も大幅に減っているので、だいぶ厳しいのではないかとも思っていますが。

      親コメント
  • hylomさん、大変お疲れさまでした & ありがとうございました。
    新天地でもご活躍されることを折っております!

  • なんと…お疲れ様でした
    さらなる活躍をお祈りしております

  • by kawakazu (45966) on 2020年07月01日 22時01分 (#3843874) 日記
    タレコミがなんとなく可笑しくなったりしててちょっと・・・ってなったりしましたが
    長年お疲れ様でした
    さらなる活躍をお祈りしております
    • こちらこそタレコミありがとうございました。

      出版社時代には原稿は編集者ががっつり手を入れろと教わっていたので、ずっとそのノリで容赦無く編集してしまっておりました。その点では不満に思う方もいらっしゃったかとは思いますね。正直読者あってのサイトですので、今後もご協力いただければ幸いです。

      親コメント
  • お疲れさまでした.
  • 長い期間のsrad編集長、お疲れさまでした。
    新天地でのご活躍をお祈り申し上げます。

    --
    脳味噌腐乱中…
  • by nenoneno (28388) on 2020年07月03日 14時17分 (#3844990) 日記

    hylomさんおつかれさまでした~

    退職エントリ見ました。(スコア:5, 参考になる)

  • おつかれさまでした。1日12本は多すぎたかもしれませんね。
    スラドは表のストーリーだけでなく、日記や、採用されなかったタレコミも含めて幅広い情報を収集できるところだと思います。もちろんコメントも含めてですが、全部読むのは(多すぎて)無理ですね。モデレートで上がってないコメントにも有用なものがいっぱいある。
    収益性(広義)は微妙な舵取りが必要だとは思いますが、今後ともスラドが永久不滅である事を願っています。

  • by katu256 (7538) on 2020年07月05日 9時24分 (#3845918)

    長年、お疲れさまでした。
    新天地でも、お元気で。

    誤字に敏感な人が多くて、びっくり。
    無料のネットメディアの誤字なんて、サンマの腸みたいなモンだと思ってました。
    あると邪魔だけど、無いと物足りない。偶に食べるとなかなか旨い。

  • by Anonymous Coward on 2020年07月01日 17時12分 (#3843686)

    誤字入れろよ

  • 12年間、大変お疲れ様でした。新天地でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

  • by Anonymous Coward on 2020年07月01日 17時44分 (#3843716)

    日記だけではもったいないです(参考になる情報が多い)。
    せめて表のストーリーに出してはいかがでしょうか

  • お疲れ様です。
    寂しい限りです。これが斜陽と言う事か。

    どこかのオンラインメディアでお会いできることを期待しています。

  • 動画サイトのアカウント停止などはよく話題に上がっていましたが、
    広告でもこういう話が来るのですね。怖い話です。

    このサイトの維持、不十分な情報でのタレコミの編集など、
    お世話になりました。
    ありがとうございました。

  • 長らくお疲れ様でした。
    OSDNのInterop出展というとこの記事ですね。覚えています
    https://slash.srad.jp/story/12/06/13/0134216/ [slash.srad.jp]
    この頃の/.Jでは私はまだAC専でしたかね

  • 長期間編集長としての活動、ありがとうございました。
    Oliverさんが居なくなり、Slashdot(緑)からsrad(茶)になりと、結構長い期間だなぁと。

    ところで、超今更ですが、Hylomさんは、なんと読むのが正しかったのでしょうか。
    ヒロミさんと脳内で読んでたのですけど。

    • 冷静に考えると、スラドの今までの歴史のうち半分以上は私が責任者としてやっていた形になりますね。正直なところそろそろ世代交代して若い人に任せたいという思いもありました。

      「hylom」は「ひろむ」だと思っていますが口に出して呼ぶことはほとんどないので個人的にも不明です(笑)。

      親コメント
  • オリバーさん以後、スラドが今日までスラド足り得たのはhylomさんの尽力も大きかったと思っています。 長い間お疲れ様でした。ありがとうございました。
    • そう言っていただけると幸いです。
      オリバーさんやmhattaさんはサイト設立の関係者ですが、私は単に1ユーザーだったものがOSDNに入社したというだけで責任者になった訳で、なかなかその意味で当初は難しく考えていたこともあったのですが、なんとか慣れることができました。こちらこそありがとうございました。

      親コメント
  • 一度もタレコめなかったですhaha

  • by AC0x01 (24904) on 2020年07月02日 14時16分 (#3844269) 日記

    新編集者登場を受け3人態勢かと思いきや、退職されるのですね。お疲れ様でした。
    スラドは名前が変わったりしつつも、今では少なくなった2000年ごろから続く古参サイトとして楽しませて頂いています。
    編集者が変わってまた色が変わったりするかもしれませんが、hylom氏とスラドのさらなる発展を願っていますm(__)m

    • こちらこそ長らくスラドをご愛読いただきありがとうございました。タレコミも度々拝見しております。
      ここ十数年では予期せぬトラブルなどもありましたが、なんとかサイトを生き残らせることができたことは良かったと思います。
      私も、1ユーザーとして今後の運営に期待したいと思います。

      親コメント
typodupeerror

身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

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