kahoの日記: またもやゲイの遺伝子
ミンククジラについてニュースになっていないかと思ったがまだみつからない.まあ閉会後にでも見ていたらそのうち出くわすだろう.
今日のReuterで遺伝因子が男性のホモセクシュアリティに影響するという記事がでていて,「またか」という気分になったがそこで書かれている論文というのが見つからない.著者というAndrea Camperio-Ciani氏は遺伝学の研究者ではなく,哺乳類の進化などをやっているようで(しかも偏見をいえばイタリアの研究者で),連鎖解析の結果だと言われても全く信用できない.
これまでよりもサンプルサイズを大きくしたという以外,1993年にScienceで報告されたのと同じX染色体を見ていて新規性も感じられない.
論文自体を見られないのでちゃんとした評価はできないのだが,LODスコアがどうなのか,自分で実験結果を再現できているのか,はっきりと言える訳ではないがこのニュースが日本で紹介されないことを望みたいところだ.
ゲイの遺伝子に関して私が辛辣にならざるを得ないのはそれがアメリカの政治的な争いに巻き込まれ,ゆがめられてメディアに載ることが明白だからだ.つまり,おもしろおかしくニュースにしたいメディアと,同性愛者への差別を正当化するための根拠をほしがる不寛容な保守派の存在故にだ(確かめてはいないので噂レベルだが,こういう研究は軍がよく助成金を出すらしい).
日本語でよいサイトが見つからなかったが,Is There a "Gay Gene"?というサイトにうまくまとまっていた.このサイトではバスケットボーラーになる遺伝子という比喩でゲイの遺伝解析の話に対する相対化を行っている.
また科学的にも,HamerらによるX染色体の関連領域は他の研究では再現できなかったし,自身もScientific American誌の「ゲイは遺伝か?」という質問に答えて
"Absolutely not. From twin studies, we already know that half or more of the variability in sexual orientation is not inherited. Our studies try to pinpoint the genetic factors...not negate the psychosocial factors."
超訳:
絶対に違います.双子で調べた結果で,性的傾向の大半は遺伝しないということは分かっています.私たちの研究は遺伝的な要因を示そうとしていますが,心理学的な影響について否定しているのではありません.
と言っているそうだ.
実際,行動と遺伝に関してはその間にあまりにも多くのステップが絡むので簡単につなげることはできない.にもかかわらず一般人の関心は非常に高いので(天才の遺伝子が6番染色体にあるとか),曖昧な結果や限定的な範囲の研究でも簡単に採り上げられてしまう.
UFOや幽霊のニュースを流すのが恥ずかしいことだと思っているメディアは,こういうニュースに飛びつくのも遠慮してもらいたいものだ.
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