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kahoの日記: ダウン症解明への道険し 9

日記 by kaho

ダウン症のモデルマウスに関して,Nature Web Newsにニュースが,Scienceに論文があった.
モデルマウスは以前からあったはずだけれど,と思って調べてみたが,単にモデルマウスをつくったというだけのニュースではなく,この分野もこの10年間の進歩が見えて少し面白かった.

ダウン症は700人に一人の割合で起こる先天的異常で,21番染色体が通常は2本のところ3本になる(トリソミー)ことで起きる.これは細胞分裂のときに染色体の分離が失敗したことが細胞生物学的な原因となっている.
他にも染色体のトリソミーによる先天異常はあり,染色体まるごとのものとしては13番染色体(Patau症候群,5000人に一人),18番染色体(Edwards症候群,7000人に一人),性染色体が知られている.(参考:一覧と患者の家族のサイトへのリンク
性染色体のトリソミーはそれほど目立たない(行動に影響が出る程度で重篤な障害を持って産まれてこないことが多い)が,それ以外ではダウン症候群は頻度の多さと13/18染色体に比べて長く生きること(=患者数の多さ)から一般によく知られている.(これは21番染色体が最も短く遺伝子数が少ないので,発生への影響が比較的少なく致死的でないからだろうと言われている)
そういえば,ちょうど明日ダウン症の子供の生涯を扱ったドラマが放送するそうだ

これまでダウン症のモデルマウスとしてはヒトの21番染色体の一部に相当する部分(マウスで言うと16番染色体)が他の染色体に転移したTs65DnやTs1Cje等が知られており(これらは分子生物学的な手法ではなく,偶然得られたマウス),今回の論文のグループが数年前に分子生物学的手法によって作成したマウス(引用元では大げさに「最初のモデルマウス」と書いている)もあった.
しかしこれまではダウン症の一部の症状を示すものの完全ではなく,よりモデルとしてふさわしいマウスを作製しようという研究が続けられてきたということだ.

ここでいうダウン症の症状とは,学習能力や脳波だけでなく,心臓の奇形や早発性のアルツハイマー病,特徴的な顔貌のことで,今回「ここまでやれば完璧だろう」と思ってつくったモデルマウスでも顔貌の変化は再現できなかったという内容だった.(それ以外の表現型についてはかなり類似のものが得られているので,モデルマウスとしての利用ができないわけではない)
その結果として,これまでダウン症の原因遺伝子があるはずだと言われてきた21番染色体の一領域の重複だけではダウン症の症状を全て説明することはできないだろう,という話になっている訳だ.この間の研究の進歩を抜きにするとひどく悲観的なニュースにも聞こえるが,この歴史を見れば決してそういうわけではない.
だから最初このニュースを見たときに,ある一遺伝子に狙いを定めた研究がうまく行っていないのだから単純に遺伝子を増やしただけではうまくいかないのは当たり前では?と思ってしまったが,そうではなくてもっと定性的/定量的に評価できる系が着実に構築されつつあるのだと思うようになった.

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追記:関係ないがこのニュースの画像,マウスではなくてハムスターのような気がするが・・・・

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by MIYU_nee (21900) on 2004年10月25日 23時43分 (#642231)
    記事内容にあまり関連性無く、時々登場します … 多分かわいいから
    家ネズミも小柄なのは上から見ると涙滴型でかわいいです。
    (家ネズミの方は、余りなついてくれませんが)

    全然脈絡無く話を飛ばします。
    カモノハシの性染色体が5ペアだった [nature.com]
    という事が発表されたようですが、多いと何か有利なんでしょうか?
    概要を読んでも、タレコめる所まで理解できなかったので
    放置しましたが、なんだか凄そうな気がしました。
    本当はこういう分こそタレコむべきなんでしょうが。

    # なんだか同じACさんが絡んでいる様な気がするのは私だけですか?
    • > カモノハシの性染色体が5ペアだった [nature.com]

      このニュース知りませんでした.面白いです.記事とできれば論文を読んでみます.
      適応上有利だとはとても思えないのですが,性染色体は元々オスとメスで数が違うので,考えて
      みれば最も染色体数の浮動が起こりうる染色体なのかもしれません.

      ・・・といいつつニュースだけは読んでしまいました.
      「カモノハシがXX/XY型とZZ/ZW型を持っているのは性染色体は独立に進化したのではなく
      もともとは同じシステムだったことの証拠かもしれない」という考察が非常に面白いです.
      ハリモグラで同じ実験をするということですが,こちらは進化の結果どちらかに偏っている
      かもしれないしカモノハシと同じかもしれないしでまだ分かりませんが結果が楽しみですね.

      #ACさんに関しては,うーん,同一人物なのか全く別人なのか分からないので少なくとも最初は
      #紳士的に対応することにしています.それ以上は「愛せないものの前はただ立ち去るのみ」という
      #原則に従って,というところです.私自身が/.Jのレベルを下げてしまわないか心配ですが・・
      --
      kaho
      親コメント
    • 確かに目の感じがマウスっぽくないような気もするけど、マウスも正面から見ると、割とあんな感じに見えないこともないですから、あの写真だけではどっちかを判定するのは僕には出来ないです。
      親コメント
      • 小さいだけに微妙ですよね.
        ただ,実は私が飼っているハムスターの小さいときにそっくりなんですよ(笑)
        しっぽが見えていれば判断がつきますが・・・

        マウスとラットだったらそんなに気にしないのですが,ハムスターはネズミ亜科ですらない [ocn.ne.jp]ので(ハムスターとマウスは3,000万年前に分岐して,ラットとマウスの分岐の倍以上 [miyazaki-med.ac.jp]とのこと)ハムスターの写真をマウスと称するのは科学雑誌のニュースサイトにはふさわしくないな,と.
        --
        kaho
        親コメント
        • マウスって可愛いの?
          こんな [pastorius.ddo.jp] 風な [sakura.ne.jp]イメージが出てきました
          … あんまり可愛くないです。

          でも正面から見ると可愛く見えない事もない、とのお言葉ですので、次に出た時には是非とも捕まえて、にらめっこをしてみようと思います。(納屋が有りますので大きいのも小さいのも出ます。天井裏の配線をかじらない限りあきらめて共存します)

          Wikipedia様にうかがったところ、
          哺乳綱・げっ歯目・リス亜目・ネズミ上科までいっしょで、
          ネズミ科・Mus 属・musculus が、ハツカネズミ・マウス
          キヌゲネズミ科・いろいろ属・いろいろがハムスターでした
          ハムスターというと「どれの話?」というのは当然なのですね。

             # 駆除する対象になってしまっているけど ID
          親コメント
          • 最初の写真はラットじゃないかな。掌からはみ出るくらいの大きさだし、マウスにしては耳の比率が小さい。確かにマウスも生後1年以上経過するとそれくらいの大きさになるけど、写真は見た感じで毛並みもきれいだし、あんまり年経った風には見えないので、若いラットじゃないかと。

            マウスも、系統によって顔つきが違うんですよね。個人的には BALB/c [google.co.jp]は鼻筋が通ってて器量良しだと思う。
            親コメント
          • おまけ

            かわいいマウスの画像というなら、ここらあたり [google.co.jp]でどうかな?
            親コメント
            • この写真かわいいですね.
              しかも無駄に(失礼)大きな画像までおいてあるのでいつか使うときのために保存させていただくことにします.
              でも彼ら(彼女ら)はみんなこの後しっぽを引っ張られてその後ごにょごにょされて火葬されるのだなあと思うと・・・(自分がやるときは何も思わないくせに)
              --
              kaho
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            • by MIYU_nee (21900) on 2004年10月26日 21時33分 (#642709)
              ちゃんとよそ行きにおめかしした感じがして。
              … ちいさい写真の状態だと …

              ちょうど夕方で子供達が遊びに(パウンドケーキの残りを狙って) 来ていた時で、みんなで可愛いね、と言いながら眺めていました。ついうっかり巨大化させるまでは。

              拡大されたそれは、画面設定のせいで 子供達の顔ほどもあり、「大きいと怖い」と言われてしまいました … で、そこから大きいネズミの話になって、日本でも暖かいところには帰化した巨大ネズミであるヌートリア(Myocastor coypus) [ous.ac.jp]がいる という話をしたのですが、不思議な事にこの実際に50~70センチも有る大きなネズミ [baikada-iizuna.com]の方は、画面一杯の大きな状態で見ても「怖くない」そうです。

              田舎なので大きい動物としては牛までいますし、なんで「巨大マウス」だと怖いと感じるのか(私も怖かったです)少し不思議な気がします。バランスがとれていない事に感じる「グロテスクさ」なのでしょうか? 見慣れたものが巨大化する事に対する「怯え」なのでしょうか? 

              きっと明日小学校でこの事を話すんだろうな、 と思ったので、とりあえず今先生にメールしたところです。 (ちょっと前に失敗してるので念のため)

                 # 可愛いというのは微妙なものなのですね
                    私はちいさい方の写真だけいただきます
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にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー

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