kahoの日記: 髪はヒトの長い友
Science Blogから体毛と頭髪は同じではないという記事があったが、新しい事実の発見があったわけではなかったのでちょっと拍子抜けだった。
人間の毛包は体毛と頭髪で解剖学的に同じなのだが、頭髪と体毛では毛の伸び方が異なる。体毛は数週間で伸びなくなって抜け落ちるが、頭髪は数年にわたって延び続ける。
頭の薄毛の治療方法としてまだ残っている毛包を毛のない部分に移植する自毛移植という方法、もっと一般的には植毛、があるのだが(例えばこことかこことか)、これは移植元が頭皮の毛包でなければならない。全く同じならば体毛の毛を移植してくれば良さそうなものだが、それでは頭髪として伸びてくれない。
その一方頭髪の毛包を足などの体表に移植するとその場所の体毛よりも長い毛が生える。
これらの観察から頭髪と体毛は異なる性質を持っていることは明らかなのだが、これはヒトに特有な性質で、ゴリラやチンパンジーとは異なる。
以前よりヒトが殆ど体毛を失っていることは生物学上の疑問だったのだが、類人猿の中でヒトのように体毛を失った種が存在しないことから実証が難しく、未解決の問題だった。
これまでに何種類もの仮説が提案されており、この記事でNeufeld氏が語るように性淘汰が働いたのだろうとは考えられるのだが、いったいどのような性淘汰なのかまでは誰も確証を持っていない。氏は共著者のConroy氏を比較に挙げ、「ハゲの私とフサフサのGlennの間にどんな(性淘汰における)違いがあるか知りたいものだ」と実例を挙げて(?)話している。
解剖学的に違いがない以上分子生物学的な手法が必要になるが、ここでは解明に体毛の毛包と頭髪の毛包の遺伝子発現を比較すれば分かるのではないかという提案がされている。確かにそれは有効かもしれない。ただし実験方法で言えば、他の細胞の混ざらない純粋なサンプルの取得が難しそうなのと、得られた結果をどう解釈するかが問題になって決着がつかない可能性が高いが。
もし遺伝子発現に差が見られた場合,体毛の毛包に手を加えることで頭髪用に変化させることはできるだろうか.もしそれが可能であればビジネス的にも成立しそうだが,(少なくとも今は)当然保険は利かないからカツラの方が経済的なのは変わらない.
私には想像ができないのだが,自毛にこだわる人はどれくらいいるのだろう?
それが「元脇毛」でもかまわないというくらい強い願望なのだろうか?
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