パスワードを忘れた? アカウント作成
585557 journal

kahoの日記: DNAレベルで特別なヨーロッパ人 2

日記 by kaho

Sci-Tech Todayにヨーロッパ人だけ17番染色体に逆位があるという記事があった.これは今週のNature Geneticsの,deCode社の論文を元にしたもの.
deCodeについてはここでも言及したが,アイスランド政府との契約によってアイスランド人全体のDNAタイピングを行っている会社で,それによって疾患関連遺伝子を探そうとしている.

統合失調症の原因遺伝子を探している過程で発見したこの90万塩基ほどの領域は(ここに探していた遺伝子はなかったが),一部のアイスランド人の染色体にあったが公開されているヒトゲノムの配列にはなく,その配列を解析したところ17盤染色体に向きが反転している場所(inversion, 逆位)があったことがわかった.
しかもその遺伝型をもつ女性はそうでない女性よりもわずかに出産する子供の数が多かったという.

この領域に存在する遺伝子は明らかに出産に関わるようなものはない.
この遺伝型を有する比率はヨーロッパ全体およびアイスランドで20%だが,アフリカではほとんどなく,アジア人には全くない.
おそらく1万年くらい前というごく最近にできたのではないかと考えられている.

年代の推測は逆位の中にある配列と通常の配列との比較をすることで計算できる.
これらは配列が異なるので組み替えを起こさない(起こすと17番染色体が異常になってしまう)から,それぞれの配列は独立に進化してきたはずで,その中にある比較的変化の大きい,恐らくは短い繰り返し配列を比較したのだろう.

Stefansson氏は論文の中では語っていないものの,この逆位が長寿とも関わっているとしている.
それというのも95歳以上の女性や90歳以上の男性でこの遺伝型をもつ人の比率が高いからだ.

これは直感的な出産と寿命の関係とは矛盾している.通常長生きする動物は出産数が少なく,短命の動物は出産数が多いという生存戦略をとるからだ.

Nature Geneticsはウェブからのダウンロードができない環境なのだが,この論文はコピーして読んでみようと思う.
特に気になるのはアフリカ人にいるわずかな逆位の期限がヨーロッパから持ち込まれたものなのかそれとももともとの期限がアフリカだったがヨーロッパで増えたのかと言うところで,それによって解釈が異なる.
ヨーロッパでできたものだったとしたら1万年前にヨーロッパで生まれて(その時点でかなりのヒトがいたのに)こんなに早く増えたのは確かに淘汰に対して有利だったのかもしれないという気になるが,アフリカ起源であればどこかの時点でボトルネックがあって偶然に増えた可能性も否定できないからだ.

---追記
論文はこれのことだろうか?
うーん,17番染色体にフォーカスしている訳ではない話だったが・・・

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall

読み込み中...