kahoの日記: 環境ランキング
Nature Web Newsで紹介されていて原文(PDF)もダウンロードしてきたのだが,世界の各国の環境持続性のランキングが公表されたという.これは国際機関がやっている訳ではなくて,イェール大学のグループが中心になって行った研究だ.
彼らの指標は明確な環境持続性を方針を提供するものではないが,(1)より正確な分析による環境保護政策の意思決定を進めるためのツール(2)GDPや開発指標の代わりに国の進歩の度合いを示す指標(3)比較のための有用な方法,を提供するものだと言われている.
この報告で用いられているEnvironmental Sustainability Index (ESI)は76のデータを21の指標とし,5部門に分けて評価を行っている.その5部門というのは
- Environmental Systems
その国の環境が健康なレベルで維持されているか.状況がよくなっているか悪くなっているか
- Reducing Environmental Stresses
人為的なストレスが環境システムを壊さない程度に低いか
- ・Reducing Human Vulnerability
環境の変化によって公共の福祉が侵されやすいか
- Social and Institutional Capacity
災害に対応する制度や技術,ネットワークが整備されているか
- Global Stewardship
他国との協力や他国に対して深刻な被害をもたらしていないか
という大きな5つのカテゴリーから成る.
結果についてざっと見てみた.
フィンランド,ノルウェー,ウルグアイ,スウェーデン,アイスランドが上位5カ国だが,これらは多くの天然資源や低い公害密度を有している
最下位国は北朝鮮,イラク,台湾,トルクメニスタン,ウズベキスタンで,これらは自然のあるいは人為的な多くの問題に面しているにもかかわらず政策的な処置がとられていない.
日本についていえば全体で30位,OECD諸国内では12位で人口密集国の中では最高ランクで,次にドイツが続く.
部門ごとにみると1.と2.が低く,3.が中程度,残りは高いとなっている.
気になる人もいるだろうから他の極東諸国についてもあげると,韓国が122位(OECD国中最下位),中国が133位,台湾が145位,北朝鮮が146位で最下位となっている.なんというか,あからさまにアジア人軽視だ.南米諸国が高いのも直感に反する.多分植民地は植民後のことしか評価に入れていないからヨーロッパ人が移民した時点は「完全な自然」と考えているのだろう.先日オーストラリアの砂漠化の話を紹介したが,入植以前に大きな規模で環境が変化していたかもしれないし,逆に日本のように長く文化が持続していると,知らなければ自然に見えるものも人為的な操作によるものだということが知られるということになる.(杉林とか)
細かく評価基準を見ると,Environmental Stressは大気汚染や生物多様性,未開拓地比,水質/水量といった客観的なデータを使っているのでいいのだが,Reducing Environmental Stressでは出生数が低い方がいいだとか,Social and Institusional Capacityでガソリンの値段が安いと駄目だとか民主主義度を数値化したりとかはちょっとどうかと思う.
こうやって腐していると文面からも分かると思うが,こういったランク付けはもともとあまり私は賛成しない.
それは違うグループがやっても同じ結果が出せるものでないと,結局主観的な基準の押しつけというか統計の嘘になってしまうし,数値で客観的に示せるのでなければ政策的な目標にもしづらいからだ.今回のデータで言うならEnvironmental Systemsだけはなんとか意味のあるものとして受け入れられる.(そうすると日本のランクがかなり下がるが)
それに,現在の値だけではなくて変化もみているのは,同じデータではないという気もしてしまうし.
日本が不当に低いとか高いとか言いたいわけではなくて,政策や政治体制について数値化(=一次元評価)できるわけもないので入れるべきではないと思うし,反対に「我が国は制度がしっかりしているのに不当に低くなっている.正しく評価すればランキングが高いから努力しなくていい」とかいくらでも言い逃れされてしまう.
完全な民主主義国が大量に環境破壊するという批判も簡単だ.
もちろん客観的な数値だけでは判断がつかないものもあるのだが,それは別の指標として分離しておいた方がよいと思う.
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