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kahoの日記: 我らが闘争

日記 by kaho

NYTimeにThis Can’t Be Loveという記事があったが,これはカマキリやクモなどに見られる交尾中の共食いの話でかなり面白かった.

私がこれまで聞いていた説明だと,交尾中のカマキリのオスがメスに食べられてしまうのはそうすることで受精の確率が上がるからだとかメスは単に目の前にある餌と区別がついていないとかいった説明だったのだが,腑に落ちない点もあった.
なぜならカマキリのオスがそうやすやすと食べられてしまうのであればそれを利用した捕食生物(たとえば別の種類のオスカマキリとか)が現れて絶滅するまで食べられてしまってもおかしくないからだ.そうすると結果的にそんな行動をとる種はいなくなり,我々が観察することもないはずになる.

まずここに挙げられていたデータで面白いのは,Chinese mantiasでメスカマキリが食べているもののうち,63%はオスカマキリであったという結果があるということ.
つまりメスカマキリは間違いや飢餓からしかたなしにオスカマキリを食べているわけではなくて,主食として(!)オスカマキリを食べていることになる.

しかしオスは自ら食べられたいと思うものだろうか?
食べられてしまうオスの方が食べられないオスよりも2倍子孫を残す確率が多かったという研究もあるようなのだが,これはメスとの接触の頻度や状態に依存しそうなのでこれで選択がかかったというのは今一つ納得できない.
卵を産むまでのメスカマキリはオスカマキリの栄養がなければ容易に死んでしまうほどの飢餓が常態なのだろうか?あるいはオスの競争は激しすぎて,進んで犠牲となるほど卑屈なオスでないと交尾できないのだろうか?

そこで,ニューヨーク州立大のWilliam Brown氏らは,飢えたメスと満腹のメスを用意して,オスがどうアプローチするかを観察することで共食い行動がオスとメスの協調によるものでないことを明らかにした.
もし進んで犠牲となるのであり,それが性選択の結果であるなら,オスは飢えたメスに近づくだろうし,その逆なら満腹なメスに近づくだろうというわけだ.

その結果,オスはメスが満腹である方に積極的にアプローチし,お腹が空いていると遠くからジャンプして近づいてリスクを最小限にしようとする,と全く別の行動をとることがわかったそうだ.

つまりオスはメスが自分を狙っていることは重々承知で,なんとか生き延びようとするが,あえなく捕まってしまった場合はメスの栄養になってしまうということになる.もちろんメスの方も何とか食べてやろうと思っているわけだ.
こう考えるとオスが離れようとしたらメスが襲いかかることや,golden orb spiderでオスがメスが食事中に寄ってきて交尾しようとするのもよく理解できる.
もうこれは同じ種とはいっても闘争に近い関係だ.

じゃあカマキリのオスも自分を食べるようなメスを避けたり,まずメスに食べ物を提供しておいて交尾するようにすればいい気もするのだが,Brown氏はメスの方もフェロモンでオスをおびき寄せるように進化して,危険と分かっていてもオスは近づいてしまうのではないかと考えているそうだ.
まあなんというか,擬人化すると胸が苦しくなる.(笑)

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身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

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