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kahoの日記: 実中研がJackson Labを訴える

日記 by kaho

先週見つけて読んでいなかったニュースだが,実験動物中央研究所がJackson Labを訴えるという記事があった.
実中所は川崎にある財団法人で,先日マーモセットにGFPを導入した論文の発表で注目を浴びたが,ここの成果で最も有名なものは免疫不全マウスである.
免疫不全マウスは免疫機能の解析よりも,ヒトなど別の生物由来の組織を移植しても拒絶反応を起こさないことから,ヒト化マウスを作成して実験を行うという需要が大きく,他の研究機関に配布し様々な研究に用いられている.

一方,Jackson LabはMGIというマウスの包括的なデータベースで有名な非営利の研究所であり,こちらも独自に免疫不全マウスを作製し,他の研究機関に配布している.
今回のニュースによると,実中所(免疫不全マウスの特許取得済み)はJackson Lab(免疫不全マウスの特許をとっていない)に対して訴訟を起こしたという話だ.
日本語のニュースが見つからなかったことと,英語の方は法律の用語/手続きが分からないので現状を把握できていないが,Jackson Labが作成したマウスが元々実中研が提供したマウスを(何代も繁殖させた後)使用したものであり,機能を改変させた遺伝子も同じであることから実中研の特許を侵害しているということらしい.
実中研の方は「名誉を求めている」と主張し,Jackson Labのマウスも実中研の試料/技術を元にしていることを明らかにせよということらしいが,今回のニュースに言うようにいきなり訴状を送りつけるような形だったら(実中研側からのニュースがないので真実は不明だが)穏やかではない.
とはいえ,日本人の研究者というのは権利に疎くて他国からはいいように扱われっぱなしというイメージがあるので,ちょっと珍しいニュースだし(実中研が大学などを母体にしていないといった組織上の特徴もあるだろう),今後の成り行き次第では日本の研究機関にとって興味深い実例を提供してくれるかもしれない.

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計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである

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