kazekiriの日記: カラス貝の恐怖 3
実家の目の前は海でした。何しろ漁村ですので、小さな頃から海は魚を獲ってくる場所という意識が強く、子供たちは自然と釣りを楽しむようになります。私も随分と小さい時から投げ竿を買ってもらい、年間かなりの日数を釣りに費やしておりました。
投げ釣りでは、3本針の仕掛けでシロギスやコチを狙い、サビキでアジ、カマス、フクラギあたりを狙うといった感じで、大量の時にはいっぱしの漁師のようになったつもりで得意気に帰ったことを今でも思い出します。ただ、この釣りという遊びには一つ問題がありまして、小さな子供がもらえるお小遣いから比較するとコストが過大すぎるのです。オモリとなる天秤と3本針やサビキが必要なわけですが、どちらも数百円かかりますし、何しろ未熟でしたので投げを失敗してちょくちょく天秤ごと仕掛けを飛ばして無くしてしまうわけです。天秤については船着場あたりによく捨てられていたのでそれを使ったりできたわけですが、それだけでカバーできるわけではありません。
そんなお金の問題もありまして、投げ釣りではなく手釣りをすることが多くありました。手釣りと言いましても漁師が一本釣りするようなゴツい仕掛けではなく、10mぐらいの釣り糸と適当な安い釣り針に噛み潰しのオモリを付けただけのような仕掛けです。エサは50円分のアオイソメを町の釣具屋で買ってくるのが定番でしたが、これであれば投げ釣りよりもかなり安く、手軽に長時間遊べたわけです。
船着場やテトラポットの隙間に仕掛けを入れ、それを適当にしゃくっていただけですが、当時はいろいろな魚がそんな仕掛けでも釣れました。タカバ(石鯛の幼魚)、メジナ、タナゴ、真鯛、黒鯛、ウグイ、アイナメ、カサゴ、ベラあたりが釣れた記憶があります。特にタカバはバケツ一杯に釣れたことが何度かあって、学校から帰ると即タカバを釣りに行くという時期があったことも思い出します。
コストパフォーマンスの良かった手釣りですが、一度に50円とか100円分のイソメしか買いませんし、そもそも釣具屋は町まで出ないとありませんでした(不思議ですが、村内の漁協では釣り餌は売ってませんでした)ので、度々まだ釣りたいのにエサがなくなるというケースがありました。そんな時にはその場で使えるものを使うということで、カニやエビを捕まえて潰してみたりしたこともしましたが、多くの場合、貝をエサとして使いました。よく使ったのは我々がカラス貝と呼んでいた貝です。やや青がかかった黒色の二枚貝で、5cmから10cmぐらいのものがテトラポットの隙間によく群生していました。それを採取し、石で割り、むき身にしてエサとするわけです。カラス貝は身が柔らかく、そのおかげで針から外れやすいという難点がありましたが、特に鯛系の魚は非常に食い付きがよく、むしろイソメよりよく釣れたような気がします。撒き餌としても有効でしたので、調子にのってカラス貝をどんどん割り、船着場を真っ黒な貝殻だらけにしてしまって漁師のおじさんに怒られるということもありました。村の中ではカラス貝を採る人は子供以外にはいませんでしたが、私にとってカラス貝はその場に落ちてて無料なのに素晴らしい効果を発揮するエサだったわけです。
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話は飛びまして、つい先日、家族でビュッフェスタイルのレストランに行った際、嫁様が海鮮のトマトソース煮とやらを皿に入れておりました。それには殻付きのムール貝がふんだんに入っております。それを見て
俺「そのムール貝を見ると、昔、釣りエサとして採っていたカラス貝という貝を思い出すんだ。本当にそっくりでね...」
と、つい呟いてしまったしまったところ、
嫁「え?カラス貝?同じものか調べてみるよ」
俺「え?あ、そう。ありがとう」
(スマホでぐぐり...)
嫁「あ、ムール貝とカラス貝って同じものらしいよ」
俺「え?」
という流れになってしまいました。記憶を辿っていろいろ調べたところ、私が富山でカラス貝と呼んでいた貝は、ムラサキイガイという戦前に日本へ入ってきた外来種の貝のようでして、ムール貝と呼ばれている貝の範疇に入るもののようです。
この業界に長くいますと、秋葉原の焼肉屋「たんきよ」に連れて行きたがるクラスタと共に、ベルギービールの店に連れて行きたがるクラスタに出会うことが多いわけですが、そこではよくムール貝の白ワイン蒸しが出されることがあります。元Sun Microsystemsの人に赤坂のベルギー料理屋で初めてムール貝を食べさせられた20年ぐらい前以降、私はずっとムール貝を見て、「釣り餌のカラス貝によく似た貝だけど、(カラス貝と違って)旨い」という感想を抱き続けていたわけですが、私の中ではただの釣り餌であって人間が食べるものではないはずの貝をムール貝と呼んで食べていたということに微妙にショックを覚えました。端的に言えば、私にとってカラス貝はアオイソメと同じ扱いだったのです。アオイソメは食べませんよね?
嫁様のちょっとした行動で数十年間誤解していた事実を知ってしまったわけですが、まあ今後もカラス貝... ムール貝は食べると思います。美味しいので。
貝毒に御注意 (スコア:1)
火力発電所の給排水トンネルにびっしりついて流れを妨げるので時々駆除されるそうです。
ちゃんとチェックしないと身に貝毒を蓄積していることがあるとのことで、食用にはされず
産業廃棄物になるとか。昔TVでみました。
ID見るまで本気でspamかと思った (スコア:0)
ご丁寧に最後に怪しげなURLのインラインリンクまでついてるし。
Re:ID見るまで本気でspamかと思った (スコア:2)
怪しげなリンクって何のことだろう?アオイソメ?
まあ、カラス貝の恐怖というspamが本当に存在していたら是非読んでみたい。