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日記

kondouの日記: 野菜探検記 2

日記 by kondou

大村智 ★★★
昨年のノーベル賞を受賞した大村智の伝記。ただ、この本は受賞前に書かれているのがポイント。淡々と業績や人柄について記述されている。研究者として海外で論文を発表し、細菌が生成する化学物質を単離して特許をとり、特許料収入をベースに北里研を立て直し、絵画趣味で美術館を作る。最も成功した科学者と呼んでもよい。すごいサクセスストーリーながら、人生訓など見習うべきところも多い。

経度への挑戦 ★★★
緯度を計測するには北極星の高さを測る。経度を測るには時差を測る。そのためには正確な時計が必要。本書は航海用クロノメータを1700年台に最初に作ったジョン・ハリソンの伝記。独自の様々な工夫で飛躍的に時計の精度を向上させた。
クロノメータ以外の方法として、太陽以外の天体のを時刻基準とする方法もある。最初に使われたのが木星の衛星の食、それ以外に月と天体の位置関係。木星の衛星の食の周期性は光速を求めるのにも使われたのが興味深い。

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? ★★★★
勤務先で推薦されていたビジネス書。外資系やり手ビジネスマンのお話。筆者は私と同じ年である。主題は発想法ということになっているが発想法としてはあまり目新しく無かった。(大きな)目標を立て、(考えぬいた)戦略を立て、(死ぬ気で)実行する、というただそれだけを必死にやって、USJを立て直した話。教科書どおりだが、それをやり切ることが、いかに難しくて、やったら結果につながるかが、USJという身近なパークを通じてよくわかる話。我が身を振り返えると、目標小さいな、とか、あんまり考えないでエイヤーで戦略立ててるな、とか、そんなに必死になってないな、とか思う。

オキナワ海人日和 ★★★
息子が図書館で借りてきて薦めてくれた。内容はタイトルどおり。11人の海人の取材記。とてもわかりやすく、ふりがなもふられている。

ルワンダ中央銀行総裁日記 ★★★★
1965年から1971年にかけて、筆者はアフリカの独立したての小国ルワンダの中央銀行総裁として赴任して、中央銀行の立ち上げばかりか、ルワンダの経済的自立と発展のための基礎を築いた。銀行家としての高い能力、職務に対する責任感、ルワンダ国民が自走して発展できることを目標においた経済政策の実行、など筆者の素晴らしい業績がよくわかる。リーダーとはこう有るべき、というビジネス書としても読める。

結晶とはなにか ★★★
ブルーバックス。格子の理論、対称性の理論からなる結晶の構造を論理的にごまかさずに説明している。しかも、今まで見た中で最もわかりやすく書かれている。それでも私には難しかった。

地底の科学 ★★★★
めちゃくちゃわかりやすくて、小学生でも読める。わりと最近の地底遠隔探査の成果を幅広く、専門家が解説する。もうすこし掘り下げてもらえると、私にとっては楽しかった。

野菜探検記 ★★★★★
生物学者が野菜を語る。そもそも、野菜は生物であり、おいしく食べられると絶滅してしまう。食べられないための工夫をしていたり、タネを遠くに運んでもらう工夫をしている。それを飼いならしたり、調理方法を工夫したり、体質的に問題なかったりで、人間が美味しく食べているのが野菜。随所い登場する、他の生物屋との会話も面白い。語り口は軽いが、今食べている野菜の起源や成り立ちをマニアックに知ることができる。

ジャパンメイドトゥールビヨン ★★★★
日刊工業新聞社。独立時計師と由紀精密とOSGが組んでオリジナルの機械式腕時計を作る話。時計の歴史に関する部分は冗長に感じたが、時計のメカニズムと加工方法について丁寧に説明されているのは非常に良い。今だと、もうすこし簡単に作れそうだ。https://www.youtube.com/watch?v=aT2S6sMtEbA

DNAが解き明かす日本人の系譜 ★★★
学術書。非常に硬く、データの正確さを第一とし、わかりやすさにたいする配慮は殆ど無い。ミトコンドリアDNA(母系)とY染色体DNA(父系)のデータによって、アフリカから出た人類がどのようなルートをたどって日本に入ってきたか、ということを考察する。日本人は、北方系と南方系からなるが、両者とも、アフリカからは南アジアをたどってきて、そこから南方系、北方系にわかれた、という現在の定説となるデータが紹介されている。なかでも、日本列島は、出アフリカした三大系統全ての遺伝子群が存在する、人類拡散ルート上の稀有な地域であるということが、大変興味深い。

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  • by Anonymous Coward on 2016年03月12日 19時17分 (#2979589)

    必死にやりさえすれば成功する状態にあるのならそれはもうほとんど勝っているのであって
    どうすればそのような状態に持って行けるかが難しいんだな。
    本当に辛いのはどうすればうまくいくかも分からない状態だ。
    必死にやったからうまくいったんだなんてうれしそうに語る奴を見るたびに思う。
    必死にやるのは誰でもできる。

    • おそらく、USJの本に対する私の感想にコメントいただいたのだと思います。

      必死にやりさえすれば(Do)成功する、という状態はほとんど勝っている、というのは共感できます。しかし、USJはそれまで勝てていませんでした。
      さらに、Do前に、目標を立てて(Vision)、それに対する計画を策定する(Plan)、ということを必死にやること重要だということが主張されています。その段階の必死さは、現在の私に足りていないことだと思いました。「どうすればそのような状態に持って行けるかが難しいんだな」と書かれていますが、もしかしたら、ヒントになるかもしれません。

      読み様によっては、たんなる成果自慢と感じるかもしれませんが、興味を持っていただけたら、ご一読されてはいかがでしょうか。USJの経営の内幕が垣間見えるだけでも面白いですよ。

      親コメント
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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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