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日記

kondouの日記: 賢者の石、売ります 1

日記 by kondou

完訳 日本奥地紀行 ★★★
『ふしぎの国のバード』元ネタ。バード一筋20年の研究者が訳した。第一部(横浜〜新潟)、第二部(新潟〜青森)読了。
バードが書いた部分は率直な紀行文として非常に興味深いが、さすがにマンガの方は味付けされていて、文章の方は単調だ。同じような繰り返しが見られる。本書の半分は訳文で、半分は注釈。さらに訳者による解説文もたくさん付いてくる。原著者の書籍の訳書というより、訳者の研究論文である。昔、コンピュータ関係の書籍の翻訳者に岩谷宏と言う人がいたが、そんな雰囲気だ。

賢者の石、売ります ★★★★
朱野帰子、2冊目。相変わらず不愉快なまでに現実の生活が思い出される。主人公は科学が好きだが、家電メーカーでマイナスイオンドライヤーの企画をしており、商人たろうとしていて、疑似科学が大嫌い。周りの登場人物は、科学の研究者、家電メーカでマイナスイオンドライヤを企画してヒットした人、事業部長、疑似科学が大好きな家族。ぐらいまでは書いてもネタバレではないだろう。疑似科学に対してキレすぎな点、STAP細胞という時事ネタ、描写や最後の風呂敷の畳み方は改善して欲しいが、筆者が書きたかっただろう話題に対しては、自分も考えるところがある。
マイナスイオンが人気ならばマイナスイオンドライヤーを売っていいのか?水素水が人気ならば売っていいのか?癌患者に対して病院を否定して安心と疑似科学を売りつけてよいのか?

火星の人 ★★★★
映画『オデッセイ』の原作。映画も面白かったが原作も面白い。映画オリジナルの表現も良かったが、映画では省略されていたり、変更されていたり、ひとコマしか出てこなかったりしているストーリーも大事である。著者にとっては本作がデビュー作、ネット公開→電子書籍→紙の本→映画と、すごいスピードで大人気になった。シン・ゴジラもそうだが、人間ドラマや恋愛要素なんて無くても、科学的な考証を積み上げることで面白い話は作れる。
見て見て!おっぱい!ー>(.Y.)

言ってはいけない ★★★
行動遺伝学という学問分野があって、それの主張は、身長や皮膚の色などの形態的な特徴だけでなく、性格や能力などの精神的なものも遺伝する、ということ。ある種の精神疾患が器質的なものであると言われている以上、取り立てて騒ぎ立てることもない説であるが、それをセンセーショナルに言っている本。

よくわかる人工知能 ★★★
人工知能、とくにディープラーニング方面の最先端の研究者へのインタビュー集。最先端の研究者がどのような未来を見ているのかがよくわかる。その研究がなされている背景については筆者(インタビュワー)の解説が補われている。

戦争中の暮らしの記録 ★★★★
雑誌「暮らしの手帳」の昭和43年の特集号の保存版。主に戦時の記録記事と体験記事の投書から構成されている。皇国でも反戦でもない本当の生の声だ。後記にも書かれているように、永久に読みつがれていって欲しいものである。
映画「この世界の片隅に」の副読本として。映画の再現率が非常に高いことがよくわかる。

激安食品の落とし穴 ★★★
やまけん氏のブログとほとんど同じ主張だが、2015年時の細かい数値データを元に検証しなおしている。食料生産者の苦しい状況がよくわかる。提案されている解決策については、家計の問題もあり、全面賛成はしづらいが、違いがわかる消費者になって本物の食品を買おう、ということなのだろう。

下級武士の食日記 ★★★
幕末生活もの。バードは東北を旅して日本食をボロクソに言っているが、江戸の判四郎は楽しく生活し、旨いもの食べて昼から飲んでいた様だ。

宇宙はなぜこのような形なのか ★★★
宇宙の曲率の話ではなく、NHKの「コズミックフロント」という番組の書籍化。最先端の天文学の解説ドキュメンタリーだが、それが100回以上も続いていることが近年の宇宙論の発展を示している。
一番興味深かったのがマゼラン雲の話。銀河系の伴銀河ではなく、マゼラニックストームを伴って銀河近傍を通過中の、銀河系とは関係ない大規模星生成領域だということ。
本書は最新の科学的知見の紹介に注力してまとめてあるが、テレビ番組番組は開発者や失敗過程も描いているという。そちらも興味深い。

脳が壊れた ★★★
脳梗塞で脳の一部が壊れた人のセルフレポート。壊れた箇所が運動野ではなく認知や感情を司る高次機能であることが興味深い。先天的な発達障害や、そこから復帰しない痴呆の状態の苦しみは、健常状態と比較して語られることが無かったが、もともと健常で、障害になり、復帰できた振り返りとして解説されている。余計な情報をフィルタリングして肝心なことに集中すること、優先順位をつけること、感情を出すことや抑制することなどにも、対応する脳のハードウェアが有り、それが壊れたらその機能が失われること、リハビリにより代替回路が構成され回復することが素晴らしい。
リハビリの有効性も再確認したが、現状の医療において、制度、器具の発展、本当に必要な人(リハビリすれば生産性が向上する人)への届け方などの課題も確認できた。

いやな気分よさようなら ★★★
鬱の認知療法の古典的教科書。診断がある人は、素人療法に頼らず、医者にかかるべきだが、一般的な対処方法を知っておくことは無駄にはならないだろう。薬物に関する非常に詳しい資料集も付いている。

働かないオジサンの給料はなぜ高いのか ★★★
タイトルの勝利。サブタイトルの通り、人事コンサルタントが日本の会社の人事評価の仕組みについてまとめた本。コアとなる主張は、若手は専門スキルを磨きたがるが、それは出世とは関係なく、偉くなる人とうまくやれる人が偉くなる。もし私が若かったときにこれを知っていたら、専門スキルの習得に割いた時間を部落内での評価を獲得するために使っただろうか、それとも、本能のままに専門性に向かっていただろうか。

手紙屋 蛍雪編 ★★★
勉強する意味を見失っていた高校生が、勉強の意味や将来の希望を見つける話。図書館で予約が詰まっていたが、私は、どこでこの本のことを知り予約したのだろう。文体やレイアウトのせいか、内容のわりに説教臭さが無い。わりと、スッと頭に入ってくる。子供にも読んで欲しいが、どうだろうか。

うつヌケ ★★★★
鬱とそれを脱出した経験談をマンガ形式で。どういな人が鬱になりやすいのか、鬱になったらどういう自覚症状があるのかなどが、非常に具体的にわかりやすく書かれている。誰しも鬱になる可能性があり、基本的な知識として知っておいたほうがいい内容だ。脱出方法は人それぞれだが、仕事をやめるのは、わりと共通している様だ。鬱は「心の風邪」ではなく、死に至る病なので仕事どころではない。

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  • by Anonymous Coward on 2017年03月18日 13時46分 (#3178672)

    今もTech Crunch Japanの翻訳者として(その翻訳調も含めて)健在ですよ。

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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

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