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kosmicの日記: 中山隧道

日記 by kosmic

中山隧道の話を聞くと泣けますね。

新潟県山古志村の小松倉集落の人たちは四方を山に囲まれ、半日かけて峠を
越えないとふもとに着けない不便な場所に住んでおりました。特に冬は
数メートルの積雪に阻まれ、医者も呼べない陸の孤島。そこで集落の人々は
自分たちの手で固い岩盤につるはしを入れ、トンネルを掘ることを決意した
のでした。戦争をはさんで16年、ついに1km弱のトンネルが完成したのが
昭和24年。4年半前に新しいトンネルが出来るまではそこが国道291号線の
トンネルとしても認定されていました。

今回の旅のひとつの目的はその中山隧道を見に行くこと。R291に入って快走
すること10分ほど。山古志村の境にある(新)中山トンネルの入り口に車を止め、
脇の上に登る道を1分歩いていよいよご対面です。

話には聞いてましたが小さなトンネル、というか鍾乳洞の入り口のような
雰囲気です。現役当時車幅1.4m、車高1.5m規制がひかれてたわけですが、
ここを軽トラとかが全速で走りぬけたってのが信じられません。そして
真っ暗の中に入っていきます。すぐ脇に照明スイッチってのがあったので
つけてみました。ところがずっと先に灯ってた裸電球が消えました。そう、
照明は100mおきぐらいに周囲5mをぼーっと照らしてるこの電球しかないのです。
しょうがないので暗闇に身を任せて歩き出しました。

暗闇の足元はいくつか水溜りがあります。手で掘った壁はつるはしを入れた
回数分だけのうろこ状になっています。断面は卵型で天井は2mから3mほどは
あるのですが、超細なので道の真中をきちんと歩かないと頭を擦りそうな
感覚に陥ります。外は残暑厳しい30度以上なのにこのトンネルは冷蔵庫の
ように涼しい、いや寒く、真ん中では吐く息が白くなった気がしました。
照明の間ではまったく真っ暗。出入り口の方向を見ればわずかに外の日差しが
見えるくらい。歩いていくうちに方向感覚を失いそうになりました。

そうこうしてるうちに貫通点、そして出水個所を抜けてトンネルの反対側に
抜けました。山古志村のほうは駐車場や看板が整備されていて訪問ノート
とかもあります。この中山隧道を映画化した「掘るまいか」のポスターが
貼られていました。ロッキード事件で逮捕された在りし日の田中角栄が
この話を聞いて涙を流して感動し、再選後新しいトンネルの予算をつけたと
いうのはなんとも皮肉な話ですが、その気持ちは理解できます。今では綺麗な
国道とナトリウムランプまぶしい綺麗なトンネルが通っていますが、この
小さなトンネルの記憶はこの地に確実に残されているようです。

さて帰り道も同じ中山隧道をとぼとぼと歩いていきました。10数分の別世界を
通り抜けてまた真夏のもとへ。何枚かの写真に記憶をとどめまた走り出した
のでした。

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