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longest-one-way-tripの日記: ガーラ支線

日記 by longest-one-way-trip
2005年4月10日に「ガーラ線」に乗っている。以下はそのメモである。

「ガーラ線」というのは、上越線の支線、越後湯沢~ガーラ湯沢間1.8kmのことなんだろうと思う。いい加減な書き方だが、メモなのだから仕方がない。「ガーラ線」ではGoogleでのヒット件数が低い。あるいは「ガーラ支線」が正解なのかもしれないと思って検索するが、それでも低い。結局のところ、正確なところを記したければJRの出版している資料にあたれというところに帰着するのだが、所詮これはメモなのである。

でもなんだか、「ガーラ支線」って書いた方がそれっぽい気がしてきたので、タイトルをなおす。

ガーラ湯沢駅は1990年の12月に開業している。越後湯沢駅の保線基地裏山を利用したJRのスキー場プロジェクトであったそうだ。そういえば、そのころ、Zooが"Choo Choo Train"を歌いながら松明を持ってスキー場を滑り降りてくるCMがあった、と思った。「思った」はいい加減だが、メモなのである。"Choo Choo Train"というのは、「汽車ぽっぽ」ぐらいの意味らしい。電車で行くスキー場という宣伝であったわけだ。

ガーラ線は、上越線の支線である。上越新幹線のそれではないのだが、なぜか標準軌であって新幹線車両しか乗り入れてこない。よって、1.8km乗るにも特急料金を取られるのだが、「特定特急料金」というヤツで、そんなに高くない。すなわち、100円である。運賃についても、特急電車であるからして青春18きっぷは使えず、140円の初乗り料金を支払う必要がある。

ガーラ線のメモは、前橋から始めようと思う。この日は、前橋から12:15の両毛線電車でまず新前橋に出る予定であった。12時過ぎに駅に着く。越後湯沢~ガーラ湯沢間の乗車券・特急券を所望しようと、みどりの窓口に寄ろうとしたら、行列が4~5人。先頭のお客が話しこんでいて、なかなか明かない。さっさと諦めて、一本はやい12:09の電車で新前橋に出る。

新前橋のみどりの窓口でも、やはり2~3人は並んでいるのだが、接続に余裕があって、待てない時間ではない。2~3分で、自分の番が来る。乗車券はすぐに出てきたのだが、特急券が出せない様子。「何時の電車に乗るの?」と聞かれて答えたのだが、時刻表によると、その電車は季節運転が終了していたことが明らかになった。余談だが、この窓口氏は右手の指が、親指を除いて第2関節から先がなく包帯を巻いていた。マルスを親指一本で叩くのが慣れた手つきなのだが、やはり自由度は低い。つまらない趣味につきあわせて悪いと思って、礼を言い、「現地でなんとかします」と言って、辞した。

12:28発の上越線下り。座るとすぐに眠りについた。水上で気づいて、さらに下り電車に乗り継ぎ。すぐにトンネル。暗くなってうとうとするうちに、急に光が差して気づくと、そこは雪景色だった。線路脇には20cmほどの雪の層があった。この景色の移り具合、川端康成の気分がちょっとだけ分かった。

越後湯沢に着く。ガーラ湯沢発17:09の「ガーラ線」電車で越後湯沢に戻ってくる計画にする。わずか2kmほど先なのだから、歩いても良いが、まずはシャトルバスを探す。とはいえ、シーズンが過ぎようとしているこの時期、こんな時間からスキー場に行く客などいるわけがなく、バスも運行していない。やはり、歩きになった。ヨーグルトを飲み、笹団子を買って、シーズンオフ、ちょっとさびれ気味の温泉街を20分ほど歩く。右手には新幹線の高架橋。さらに奥には白い山々がそびえる。

ちょうど、ガーラ湯沢方面にMaxが一編成走ってきた。私が乗りたかった列車だろう。ガーラ湯沢駅で客扱いはしないが、いったん引込み線に入るということらしい。口惜しい思いをしながら、駅に向かう。トンネルをくぐり坂を登って、ガーラ湯沢駅到着。エレベータを待つ間、横の表示板を見ていたら、いかにも爽やかという若い男性が爽やかな声で「何かお探しですか」と声をかけてくる。「駅を」と答えたら、エレベータが来た。

駅は2階。窓口も券売機も準備中。ここで2時間、時間をつぶさねばならない。温泉がいいな、と3階に行くのだが、1,300円は高すぎる。諦めて、おみやげ物やレストランを物色。1時間ほどすぎて、窓口が開いた。新前橋で発券してもらった乗車券をガーラ湯沢発に乗車変更してもらい、あわせて特急券を購入した。

改札口は発車15分前に開く。まだ30分も前なのに結構な列である。20~30mほどにも伸びている。飛行機の搭乗前みたいだ。余談だが、首都圏で生まれ育った私は、改札○分前にならないと改札口が開かない駅があるなんて、つい数年前まで、聞いたことがなかった。青森・北海道で体験したわけだが、それを新潟でも確認することになったわけだ。

16:55に改札口を抜ける。ピンク色のラインが入ったMaxが2番線に停車中。12両目から見ていって、1両目に乗り込む。自由席・禁煙車。2階、左方に席を取る。乗車率は低い。一桁パーセントである。午後の一番列車でこれであるから、客扱いする列車が少ないのは当然かもしれない。

列車は静かに滑り出す。新幹線の乗り心地。これを気分がよいと思える私は、まだ精進が足りないのかもしれない。思えば、Maxは初代しか乗ったことがない。2階席からの眺望がすばらしい。3分で越後湯沢駅到着。駅に着いても、去りがたく。でも、あわただしく降りた。

30分ほど待つ。越後湯沢駅のおみやげ物屋の一角に酒風呂というのがあった。800円。高いが、1,300円の後に聞けば、入ってもいいかなという気になるが、もう営業終了である。

在来線列車に乗る。越後中里駅前にはブルートレインの休憩所が並ぶ。どんどん日が傾く。土樽駅の手前で検札。「ループ線って、もう過ぎましたかね?」と車掌さんに聞く。突然の質問がよく聞こえなかったらしく、もう一度、大き目の声で繰り返す。「あれは、土合を過ぎて、右側だね」と教えてもらう。「あんまり見えないけどね」とも言われた。

土樽でスキー客が4~5人乗り込んできた。通路にスキー板を置いてふさぐ。ドアにもたれかかる。あああ、ループ線を見る場所を取られたと思っているうちに、彼らは土合駅で降りた。

ドアの前に陣取ると、もうひとり、近くの乗客がドア前に陣取った。白髪の、50歳ぐらいの、男性。長いトンネルを抜けて、右側に景色が広がった。線路が見えた。「これですね」と、その男性は喋りかけてきた。私は「は、はぁ」と応じてカメラを向けた。すでに日は沈んでいたのだが、雪景色と、よく除雪された黒い線路はいいコントラストを成していて、はっきり分かった。ただ、写真はブレにブレた。

水上、高崎と在来線を乗り換えて、上野に着いたのは22時前になった。この翌日に雨で散ってしまうことになる上野公園の夜桜は、あまりよく見えなかった。
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