先週末あたりから一部界隈のついったらを騒がせている「ゆっくり茶番劇」なるワード、どうやら脇の甘い商標ゴロが出たらしい。
前提知識1:ゆっくりとは
2chで流行したアスキーアートのキャラクター。
東方Projectの博麗霊夢、霧雨魔理沙の二次創作派生キャラクターの一種。
詳しくはニコニコ大百科のゆっくりしていってね!!!を参照
この件を受けて調べてみて知ったのだけど、元になったAA作者、それを元に最初にイラストに起こして素材化した人なんかも判明していて、東方Projectの二次創作ガイドラインに沿って利用可能なキャラクターであることが2020年10月に確認されていたようだ。
前提知識2:実況キャラクターとしてのゆっくり
調べてみてびっくりだったんだけど、wikipediaにゆっくり実況なんて項目が存在していた。
ゆっくり実況はゲーム実況動画に古くからある形式で、音声解説を使って仮想キャラクターに実況解説をやらせるタイプの元祖とも言える。
音声はSoftalkというフリーの音声合成ソフトが広く使われていて、ゆっくり実況のような動画を作成する専用のフリーソフトも存在する。
そこから、時事ネタを解説したり、トリビアや小咄をやらせたりとさまざまな形に派生して現在でも広く使われている。
最初はニコニコ動画で人気を博したジャンルだったが、youtubeにも多数投稿されていて、過去には、Youtubeで「ゆっくり解説」系動画の収益化剥奪相次ぐなんて事件も発生していたりする。
本題:ゆっくり茶番劇騒動の経緯とか
発端になったのは5/15のこちらのツイート
「ゆっくり茶番劇」動画で収益化している投稿者に対して年間10万円のライセンシーを徴収するするという内容で、5/15の時点で商標登録の異議申立期間が過ぎている。
商標登録のパテントトロールと言えばベストライセンスやのまネコ騒動なんかが過去話題になってるけど、この件がこれまでの類似事例と異なるところは、当人がCoyu.Live所属のYoutuber名乗っているところ。
ちなみに、Coyu.Liveのサイトはこの件のせいで落ちているようで5/16の10時現在アクセス出来なかった。それと、件のライバーを警告処分にしたというツイートが当日中にされている。
状況から見るに、ネットミームよく知らない企業がやらかしたのでもなければ、水面下でグレーゾーンライセンス商売をしようというわけでもない。
この件はすでに東方Projectの作者であるZun氏の耳にも入っているらしく、こんなツイートがされている。
なお、東方Projectのガイドラインに抵触する件については当人は「東方Projectのキャラを使わなくても成立するからノーカン」という旨の主張をしているようだ。
該当ツイート
あとあとツイ消しされる可能性があるので、内容についても紹介しておくと。
#拡散希望
商標に関してそもそも「ゆっくり茶番劇」って「東方project」のキャラクターを用いなくても「市販のキャラクター素材」のみで成立します。
その為、東方projectのガイドライン違反と申されている方々が居られますが、本件商標は「東方Projectガイドライン」に「一切違反しておりません」。
午後8:31 · 2022年5月15日·Twitter Web App
とのこと。
この件他にもいろいろ不自然なことが多い。まず、ゆっくり界隈でよく使われているのは「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」といった用語であって、なぜ「ゆっくり茶番劇」というあまり使われていない用語をチョイスしたのかも謎。
申請時にすでに広く使われている用語は審査が通らない恐れがあるのでわざと使われていないものを採用したのかもしれないが、Youtuberとしての活動で商標取ることにメリットが見いだせない。
炎上商法だとすると、事務所サイドから即日警告もらうなど腋の甘さが目立つ。そもそもYoutuberでそんなことしてたら通報祭になってもおかしくないわけで、無意味にヘイト買ってるだけに見える。
ではパテントトロール的な活動ではどうかというと、今現在「ゆっくり茶番劇」という単語を使って動画投稿している投稿者も、商標である以上別の用語に変えてしまえばよいわけで、ライセンス商売は事実上出来ないと思われる。
一度これだけ注目を浴びてしまった以上、類似の用語を追加で登録しようとしたら監視に引っかかって速攻で異議申し立てされるだろうし、今回のように異議申立期間が過ぎるまで潜伏するなんてやり方はまず通らなくなる。
ゆっくり解説系の動画コンテンツって、動画版まとめサイトみたいな側面もあって、民度がよろしくない層も少なからず存在する。なので、こういう連中が出現するというのもあり得るかとも思うんだけど、じゃあなんで手間暇かかってる割にこんなに脇が甘いんだという……。