mametankのコメント: 甜菜(ビート)を栽培する意味 (スコア 5, 参考になる) 32
10年以上前の,カリフォルニアのある大農場で聞いた話です。
現地には,その農場の他にも広大な甜菜(ビート)畑があり,いくつも砂糖工場がありました。
しかし,その時点で,いくつかの砂糖工場はすでに閉鎖されていました。
理由は,南米からサトウキビを原料とする安い砂糖が大量に輸入されていたからです。
その農場の人によると,数年後にはビートを作るのをやめるかも,とのことでした。
日本では,ビートは(ほぼ)北海道だけで栽培されています。
他の作物に比べ,ビートからの利益は少ないので,栽培をやめる人も出ています。
それこそ,いつまで続くか分からないと言われて久しい状況です。
にもかかわらず栽培が続いているのは,作物の輪作体系に組み込むためです。
同じ作物を連続して栽培すると,地力が落ち病気が大量発生します。
畑作を持続させるため,4種類から6種類の作物をローテーションで栽培します。
ビートは一気に植え付け,雪が降る直前まで放置でき,収穫の手間も少ないです。
他の作物と仕事の時期が重ならず,広い畑を埋めることができるので,輪作に組み込むことが簡単です。
さて,アメリカに視点を戻すと,現在でもビートが大量生産されているようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sugar_beet
ただし,砂糖の生産量はブラジルがトップです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sugar
南米からの輸入が増えていることは,容易に想像できます。
アメリカでも輪作にビートが組み込まれているケースはあるでしょう。
そうでなくても,砂糖生産力の維持とか,砂糖工場の維持とか,ビート以外に作る作物がないという状況があるのかもしれません。
今回のニュースは,ビート生産は維持したいが安い砂糖が入っている状況での,現実的な対策でしょう。