masakunの日記: 「環境における人工放射能の研究2011」
気象研究所では、1954年以来、50年以上にわたり大気及び海洋の環境放射能の研究を実施して参りました。その研究成果を、関係省庁の担当者の方々及び大学や試験研究機関の研究者の方々に広く周知させていただくために、「環境における人工放射能の研究」と題した論文集を発刊して参りました。本論文集「環境における人工放射能の研究2011」は、この二年のあいだに出版された論文(主に英語論文)を、過去から現在までの成果と最近のトピックスに関するテーマ毎に分類し、各テーマの冒頭に簡単な日本語の解説を加えて、一冊にまとめたものです。
この論文の第1章によれば、1950年代以来の核実験によるグローバルフォールアウトは1990年代以降「降下量を容易に数値化できなくな」るほどに低下した。
1990年代以降、90Sr、137Csの月間降下量は数~数10 mBq/m2で推移して、「放射性降下物」とは呼べない状況が福島事故発生まで継続した。
しかし2000年代にはいってから進行した砂漠化により、日本にも影響を及ぼす大規模な黄砂が頻発。微量ながらつくばの降下物に反映されていた。
137Csを横軸とし、137Cs/90Sr比を縦軸としてプロットしたとき、つくばの表土、つくばでの降下物、大陸表土は異なる領域にプロットされることがわかった。つくばでの降下物は、つくば表土と大陸乾燥領域の表土の混合によって表現でき、また1990年代春季の降下物に比し、2000年代春季の降下物は、特に137Cs/90Sr比が増加する傾向にあり、大陸の相対的に湿潤な領域からの表土の寄与を受けていることが示された。
そして福島の事故。
2011年3月11日の東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所の事故により、新たに大気環境へ放射性物質が大量に放出され付加された。この大規模な汚染によって、大気環境中での人工放射性核種の濃度水準も大きな影響を受けた。関東地方においても表土の汚染は顕著であり、これまで黄砂のトレーサーとして90Sr、137Csに着目してきたが、環境における人工放射性物質の分布は大きく変わってしまった。今後の大気降下物の観測データに、関東地方よりも小さな領域スケールでの再浮遊の状況が大きな影響を及ぼしていくのは間違いないことであろう。
以下、略。
「環境における人工放射能の研究2011」 More ログイン