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日記

mociの日記: 山田奨治「日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか」人文書院 2

日記 by moci

人文書院刊、山田奨治著「日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか」を読んだ。正直、タイトルだけで買った。

著者は「著作権擁護派のひとが読んだら、きっと激しい反感を持たれる部分もあるに違いない」と書くが、著作権擁護派でなくとも、激しい反感を持った部分があった。「第2章 それは権利の侵害です?!」中、「原画作者が作る『バッタもの』」の節がそうだ。

「キャンディ♥キャンディ」および「宇宙戦艦ヤマト」の例を取り上げ、「原画作者が『バッタもの』の作者にもなってしまう」、「原画作者が『バッタもの』を作るというねじれた事態」と主張して、「著作権という権利の複雑さと奇怪さを象徴している」と結んでいる。しかし、両者ともに関心をもって見てきたが、著者が述べるような異常事態とは思えない。実際には、なんのことはない。絵を描いた人が著作者というわけではない。ただそれだけのことだ。

松本零士は著作権の保護期間については「日本の強過ぎる著作権」をさらに強化しようという立場をとっていることでも有名だが、著者はそんなことは書かない。

著者の言う「キャンディ♥キャンディ」の作画者がフジサンケイアドワークと組んで高額で販売していた「リトグラフ」なる代物は、実のところはオフセット印刷の安物であり、原作者は「読者をあざむくような“にせ版画”の製作販売をしないでほしい」と述べている。だが著者はそのような原作者側の説明にはいっさい触れず、「真の理由はわからない」とうそぶく。本当にわからないまま表面だけをなぞって、日本の著作権のせいということにしてしまったのだろうか。いや、そんなことはない。著者が「『キャンディ♥キャンディ事件』のウォッチャーのファンたち」とまわりくどい言い方しているファンのサイトでは、原作者には出席の打診もせず一方的に作画者を擁護したため、欠席裁判と称されたあるフォーラムについて紹介されている。パネリストとしてまず作画者の名が挙げられているが、続けて見ていくと、問題の名前が見つかる。

山田奨治(国際日本文化研究センター助教授)

とてもよくご存知のはず。

あるいは著者が後の節で述べるように、これは著作権の本来の形での行使ではないのかもしれない。作画者による悪徳商法を防ぎ、大勢の読者を守った。著者が例に挙げた企業による検閲とは異なり、公益に適っていると思うのだが、問題になるのだろうか。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by moci (11748) on 2011年10月06日 16時09分 (#2030482) 日記

    山田奨治 BLOG ご反響御礼 [fc2.com]

    刊行してから2週間あまりで増刷が決まりました。

    売れているらしいです。私も買いましたしね。

    akiraaniの日記: 日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか、を読んで [srad.jp]

    著作者が自分の著作について著作権侵害を訴えられるというあほな事例(キャンディ・キャンディ、宇宙戦艦ヤマト、ひこにゃん)の紹介、

    「白田先生他が大絶賛して」「方々で良書として推薦され」たりした結果として本を読まれた人たちに、「あほな事例」として認識され、広まってしまうというのは、やるせないです。

  • by Anonymous Coward on 2011年09月30日 13時11分 (#2027311)

    「キャンディ♥キャンディ」の一ファンであり、かつ、著作で生計を立てている者です。
    良い調査、誠にありがとうございます。原作者は「リトグラフ」を買おうとしていた「大勢の読者」はもちろん、「清貧で誠実なキャンディ」像を心に留めて愛し続けている、もっと多くの読者のことも守ってくれたのだと、私は思っています。原著作者が作品のイメージを守りたいと願い、そのために著作権を行使するのは、自然なことではないでしょうか。
    山田氏の本を読む時は、ご指摘の諸点に注意しつつ、読むつもりです。

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