mujiの日記: 秋の河童
2002年3月の国立劇場第229回歌舞伎公演は「花形若手歌舞伎・国立劇場新作歌舞伎脚本入選作品集」と銘打っての2本立て。そのうちの1本がタイトルの「秋の河童」。
新作歌舞伎脚本募集の第1回入選作だったそうだが、主人公にしか見えないという河童をどう表現するかでなかなか上演出来ず、ようやく当時の最新技術であったモーションキャプチャとホログラム投影によって実現した、との旨の解説と当時の制作過程及び舞台写真が伝統芸能情報館の展示室に。河童役の役者がモーションキャプチャ用のセンサを身体中に張り巡らして、舞台袖でホログラムスクリーンを見ながら演技するという手法で舞台上の役者との共演を可能にした、てのがいかにも国立らしい。復活狂言だけじゃなくて所謂斜め上のこともしばしば試みてきてたからねえ国立は。最近新作歌舞伎も実験的手法もとんとご無沙汰だけど。
#15年前は舞台袖に人が必要だったのが今やキャプチャは別撮りでプログラミングではめ込んで合成音声つけて動かせる時代だからねぇ…(遠い目
#河童は超歌舞伎のご先祖様とでもいうべきか。
この「秋の河童」に、ならず者徳蔵で出演していたのが信二郎当時の錦之助。ならず者(笑
主人公の飾り屋の職人常次が翫雀当時のがんじろはん、常次の女房おすがが芝雀当時の雀右衛門。他に亀鶴、宗之助、竹三郎、寿治郎、京蔵など。ああ、そうか、15年も経つとメインの3人は全員襲名して別の名跡になっているのか…などと思いを馳せたり。
国立劇場50年の歩み展の一環として、上映コーナーで見られる記録映像のうちの1本として「秋の河童」が入っていて、しかも上映時間(70分)を見るにノーカットだなこれは期間中に見ないと! と思いつつ早50周年最終月になってしまったので特に予定を入れていなかった今日やっと見に行った次第。伊賀越終演後だと時間遅くなっちゃうしね。
上演コーナーに行ったら旅行客らしき先客がいて、見ていたのがまさに秋の河童。途中からか、まあ見終わったら出るだろうからそしたら最初から、なんて思ってたら途中からといっても結構最初の方っぽかったし見終わってから次の映像選択してるしそれが終わってからもまだ次の予定まで時間があるっぽい会話してたし、おいおいまだ居座る気かとか思ってたら茶しばきに移動していったんで心置きなく(ぉ)最初からセレクト。
主な登場人物のおおよそのあらましをメモ代わりに挙げておく。
- 常次(つねじ)[翫雀]…主人公。飾り職人。お人好し。網にかかった河童を家まで連れて帰ってきて「たろう」と名付けて世話をしている。亡くなった親方の娘であるおすがとは形だけの夫婦。罵倒されてもおすがに頭が上がらない。
- おすが[芝雀]…常次の親方(故人)の娘。常次を見下していて、形だけの夫婦になってはいるが一つ床にも入ったことがない(なんて台詞があった)。徳蔵といい仲。
- 徳蔵[信二郎]…上総無宿。おすがの情夫。又の名を蟷螂の徳蔵。酒とバクチ好き。おすがにたかって小遣いやら何やらせびってはバクチで全部すってくる。
- おちか[宗之助]…常次達と同じ裏長屋の住民らしい娘。阿漕な伯母に吉原に売り飛ばされそうになる。
- おろく[竹三郎]…おちかの伯母。因業婆。
- 伝七[亀鶴]…同心。三幕目の狂言回し。
- おけい[京蔵]…常次達と同じ裏長屋の住民らしい女房。伝七曰く「裏長屋の勘定奉行」。
- 助八[寿治郎]…目明かし。
- たろう…河童。常次の網にかかって連れてこられた居候の身。といっても常次にしか見えていないらしい。原作では常次と一緒に花道を下がる設定だったらしいが上演時には常次とおちかが一緒になるのを見届けてから女房子供の待つ堀へ帰っていくようになっていた。
一幕目、常次が留守の間に転がり込んで差しつ差されつのおすが徳蔵、なんてところから始まるというねw錦之助の得意分野であるところのチンピラだめんず全開で困ったものである(褒め言葉)。
(つづくー
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