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日本

mujiの日記: 歌舞伎座新開場十周年 六月大歌舞伎

日記 by muji

夜の部わくづくりー

「ねんがんのえふりん」に続く「たいぼうのこれもり」。
何せ本興行初役である。筋書インタによれば1990年の巡業以来33年振りとのことであれ勉強会じゃなかったのか←
5/30付讀賣夕刊伝芸面に珍しくインタが掲載されて、33年前は田之助に教わったとかで、ということは江戸和事だったのかと思うなど。今月は無論上方の雰囲気に合わせるちうことだが。

弥助の出をしかと見届けられる位置で弥助を待つ。
揚幕が引かれてすし桶担いだ弥助が楚々と出てきて……首! その足取りにつれてごく小さく揺らす首! ちょっともうその技は何ですかいきなり!
七三でお約束のおこつきのあとですし桶の縄持ち直す、のに、後ろ手の方が空振りしたのもらしすぎるし、門口で天秤棒降ろして一旦すし桶の上に置くのがちょっと手間取ったのもらしすぎて草不可避←

そして何よりらしすぎるのが「たちまち変はる御装ひ」。
期待はしてた。これまでのやつしの役も「実ハ」になるときの切り替わりはごく微かなものでも変わったと判らせる工夫があった。ほぼ話題にならないけど。それが今回はその切り替えをオーヴァー気味にやるつもりってんだから期待しない方がおかしい←
でもって、座敷へ上がって奥へ行こうとする背中から弥左衛門に「まぁず、まぁず」と呼び止められる、その弥助の横顔が客席側へ向き直ったときには、というか向き直る動きからして途端に維盛。何より表情が維盛。

ぞくっ、とした。
33年の積み重ねを、自分の役だと思って他の人の弥助を取り込んできたその蓄積を、目の前に突きつけられたようで。
ついでながら全然オーヴァーじゃない。あんなほわほわした弥助が平家の公達たる凛とした佇まいになるのにわざとらしさがない。右膝立て加減に座って、小袖なのに袖口を巻き込む仕草が大袖のそれに見えて、ってのも大袖を扱わせたら3本の指に入る優だけのことはあるなあと。ここホント難しいよほっとんどの維盛が単に袖口巻き込んでるだけだし。あとこれは役者の解釈にもよるだろうが公達じゃなくてここでもう武将になってる維盛もいたりする。錦之助は後半戻ってきてからは武将だったかな。殊に頼朝の陣羽織に平家一門の恨みをぶつけるあたりとか。ああ、そうか、妻子がいれば武将らしさも出るか…
その妻子が来てから、先に寝たお里の様子を伺うときの姿勢がこれまたもうね! 半身になって片手ずつ突きながらにじり寄る、片手突くのもただ手を置くんじゃなくて一旦順手で軽く突いてからくっ、と手首を返して逆手でぐっ、と体重をかける。ああこれ法界坊の要助とか亀山鉾の源之丞でやってたのの応用か、となるなど。いやどっちが応用か知らんけど。こういう仕草ひとつ取っても公達かつだめんずと知れるからねぇ。

(またのちほどー

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