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mukk_hosoの日記: トレーダーのセーフティネット(6)

日記 by mukk_hoso
今回は私が出会った非常に印象的な2人のディーラーについて、お話ししたいと思います。 私は、昔 某国のディーリングルームにました。 皆さんはディーリングルームの中を 見たことありますか? 時々 為替相場が動いている時に写る様々なディーラーが 様々なスクリーンでチャートを見たりしている あれです。(円卓を囲んで ヘッドフォン を付けて メモの紙を投げ合ってるのは ブローカーで、ディーラーではありません。) 外人と言うのは 日本人よりはるかに 感情の起伏が激しいいことや、仕事中も非常に ラフな為、ディーリングルームというのは まるで 動物園のようなんですね。(笑) 何しろ「売る」「買う」と言うこと以外 仕事はないので みんなチャートやスクリーン のニュースを見ているだけで暇な時は暇なわけです。 新聞を読んでいる奴、寝ている奴、お菓子を食べてる奴、ブローカーに損切り注文 を出した後、受話器を机に叩き付けて壊す奴、スクリーンに向かって悪態を吐く奴、 価格が思惑通りで 「行け行け!」と叫ぶ奴、鼻歌交じりにウキウキしてる奴、 隣の人間と冗談を言い合ってばか笑いしてる奴 。。。とまあ 人それぞれ。 人間観察の良い場でもあります。 (昔、ディーリングで損をして怒り狂って PCをごみ箱に捨てた奴もいた。。。) さて そんな中で 同時期に、とても好対照な2人と机を並べて ディーリングを した時期がありました。 仮に 一人は ジョージ、 もう一人をビル(次回) と 呼びましょう。 ジョージは 年の頃は40代後半 白髪の紳士で あるヘッジファンドからトラバーユ してきました。 年齢的には ディーラーと言う歳ではないのですが 本人は管理職 より 生涯一ディーラーでいたいということでした。 ジョージはテクニカル分析をベースにポジションを取ります。 さて、まず着任して 僕がたまげたのは 彼は 着任1ヶ月間 何も取引しないのです。 ディーラーは売買をすることが仕事ですから 2,3日「休むも相場」といって 何もしないことはあっても 1ヶ月は普通 自らが苦痛になるか 上司の眼が気になる もの。笑)でも、 彼は 全く動じる気配はありません。ましてや 新参者で 鳴り物入りでヘッジファンドから移ってきたので みんなの注目もあります。 毎日 静かにチャートを眺めながら ノートに様々なデータを書き込んでいるだけ で 後は黙ってスクリーンを眺めることで 一日の時間をつぶしていました。 そして5時になると「Bye!」といって帰ってしまうのです。 ある日 僕は 聞きました。 私:「ジョージ、何でポジション取らないんだい?」 ジョージ:「だって、ポジションを取る 良い機会がないからさ。それまでは じっと待つしかないね。」 答えは到ってシンプルでした。 そして遂に1ヶ月くらいして はじめて彼がポジションをとりました。 僕にとって こんなところで買うなら 今までに いくらでも良い買い場 があったように思えたので なぜ 彼が そこでポジションを取ったのか 理解できなかったので 彼に たずねました。 私:「ジョージ、君は一ヶ月間トレードしなかったけど、何でここで買ったの? もっといい買い場があったように思うけど」 ジョージ:「僕の売買システムが 買いサインを出したからさ。今までは 何もシグナルが出ていなかったからね。」 彼は、毎日 DMI、MACD、などのテクニカル指標とエリオット波分析で 自分なり のルールを作りそれに従って売買をしていました。 さて、はたして ヘッジファンドから鳴り物入りで登場したジョージの 初トレードは 30分後に損切りポイントに達して クローズしました。 僕は 彼の損切りポイントが、とても買い値に近いことに またびっくりしました。 私:「ジョージ、そんなに損切りポイントが近かったら ちょっとしたダマシの 値動きでも 損切りポイントに当たっちゃうじゃない?」 ジョージ:「僕の考えが間違っていなければ あのポイントより価格は下に 行かないはずだよ。だから あそこが僕の 損切りポイントだよ」 その後も ジョージは期待に反して 連敗です。 作ったポジションは 何回か すぐに損切りになったし、中には 結構な益を生んでいるものの 利食わずに 結局売られて、少しの益しか取れないこともありました。 しかし、本人はいたって涼しい顔。 常にMy Pase でリズムは崩れません。 私:「ジョージ、 相場はすごい買われ過ぎて 君のポジションはこんなに 儲かっているのに なんで利食いしないんだい?」 ジョージ「だって強気相場だもの」(強気が相場を支配ひている限り、それに乗る ということ) 「Trend is my Friend!」 だよ。 私:「じゃ 利食いターゲットはいくら?」 ジョージ「 そんなの知らないさ。僕がわかるのは これは強気相場 だということ。 強気相場である限り価格上昇していくそれだけさ。 そして 僕は上昇相場が終われば降りるだけだよ。」 こんな調子で 最初の3ヶ月が過ぎました。 ジョージは何回損切りにあっても 常に平静で 毎日の決まりごと(チャート分析をノートにメモする)を行い そして 5時になると明るく「BYE!」と言って帰っていくのでした。 私の以前の投稿を読んだ方は もうおわかりでしょうが 彼が 利を伸ばし 損切り の早いあのトレーダーなのです。 相場というものは 大体がTrading レンジ で 明確なトレンドは年に数回 あるいは 何年に数回しかでてこないものです。 しかし、彼はこの規律あるトレードで 数回のトレンドで大儲けをしました。 例えば 価格が 100 、110 、120、 200、250、300 400 500 と3年くらいかけて 上昇するとします。 彼なら きっと このポジションを少しづつ買い増ししながら 3年間持ち続けるでしょう。 普通なら 100円で買って120円で売り、 価格が200円になった時に 早い利食い を後悔するのが凡人です。 彼は規律あるトレーダーでした。 感情で気持ちが高ぶることはなく、他のディーラー のように受話器を机に叩き付けることもありません。 勝っても負けても 平時と変わらず、チャートを見ては、何かを丁寧に書き込んでいるのです。 毎日の決まりごとを地道にやっていました。 ちょうど、三振を取った後の野茂もホームランを打たれた野茂も ポーカーフェースを保っているように。イチローなんていうのにも 共通点を感じますね。 彼は その後この会社で7年ほど トップトレーダーとして儲け続けました。 彼は 人間的にも トレーダーとしても みんなの尊敬を受けた数少ない トレーダーでした。 ただ、市場も年々その特性が変わります。 彼のシステムや分析も 徐々に時代に合わなくなってきたのでしょうか。 最近は めっきり 儲けられなくなり、いつしかこの世界から 足を洗ったようです。 本当に ながく生き残っていくのは大変です。
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計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである

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