mukk_hosoの日記: 知っていても損をしない豆知識(2)
◆知っていても損をしない豆知識(2)「証券取引の『今』『昔』」
ネット証券の普及により、個人投資家の証券取引の方法が大きく変わってきていることは周知の事実です。情報も昔と比べ物にならない早さで入手することができ、ネット証券の株式取引画面においてはほとんどの証券会社で「板情報」を見ることができます。これら、証券会社の情報サービスの発展とともに便利になったこと、逆に注意しなければならないことなどを踏まえながら、証券取引の『今』と『昔』を比べてみたいと思います。
1999年の株式委託手数料自由化により、ネット証券の成長が始まりました。それまでは、いわゆる「4大証券(1998年からは3大証券)」を中心とした「総合証券会社」が多くの個人投資家の証券取引窓口として利用され、一部の玄人投資家は「地場証券」といわれる仲介専門の証券会社に足しげく通うといった光景が見られました。
この頃の熱心な個人投資家は、証券会社の開店時間(寄り付き時間の少し前)に来店し、なじみとなった社員や他の熱心な投資家と、その日の相場を占いながら株価ボードを睨み、「クイック」端末を操作していたものでした。
この「クイック」端末は、銘柄コードを入力し「ENTER」キーを押すことでリアルタイムの株価を見ることができる情報端末で、1990年代におけるその画面は濃いグレーの背景に緑色の文字と、あまり目にやさしいものではありませんでした。また、今と違って「板情報」の表示が無く、現在値に一番近い「売り気配」と「買い気配」のみが表示され、しかも「ENTER」キーを押し続けないと最新の株価に更新されないといった代物でした。
そして、画面の下には、ニュースの見出しが表示されており、時々重要だと思われるニュースの見出しが表示されると「ピー」というかん(・・)高い音が流れ、注意を促していました。
さらに、注文をする際に「板情報が欲しい」というリクエストをすると証券会社の社員は少し面倒な作業をする必要がありました。証券会社の各支店には「場電」と呼ばれる電話があり、それは証券取引所に設置された各証券会社のブースと直結されていました。その「場電」を使って、取引所でしか見ることのできなかった「板情報」を口頭で受け、メモ書きにしてお客様に渡していました。そういえば、この頃取引所には、「場立ち」と呼ばれた人が「手サイン」を使ってやり取りをしていました。
これらのことを考えると、とてつもなく便利になったような気がしますが、反面恐ろしさを感じることもあります。
ネット証券を利用することにより、通信速度の環境に若干左右されるものの、ほぼリアルタイムでの「板情報」の入手や「注文執行」が行なえるようになっています。これが何を意味するかといいますと、誰もが入手できる「板情報」画面に、故意に執行する気の無い「板」を表示することが可能だということです。
いわゆる「見せ板」といわれるこの類の板は、自分のポジションを有利に持っていくために、あえて自分の本当の意思と反対の「板」を出し、他の投資家の「油断」や「誤った判断」を誘うことを目的としています。何も知らずに「見せ板」に誘われて売買を執行してしまうと、直後に「あったはずの板が無くなっている」ということでちょっとしたパニック状態になり、冷静な判断ができなくなるようです。
ただ、このような姑息な手段も最終的に良い結果に結びつくことは少ないようで、株式市場の大きなトレンドを無視すると自ら墓穴を掘ることになるようです。
昔であれば、このような「見せ板」を置く意味があまり無く(多くの投資家が板情報を見れないので)、株価に近い「板」は売買を執行する意思を持ったものでした。
ネット証券の成長は、多くの意味で投資家に利便性をもたらし、なくてはならない存在となりました。しかし、このような「見せ板」に関して言えばネット証券成長の弊害が出たと言わざるを得ません。
現在、様々な情報が迅速に入手できるようになりました。これは喜ばしい反面、非常に大変な世の中になったということも言えるわけです。なぜなら、情報を持っているだけでは株式投資に役立たせることはできず、それらの情報を分析し、投資に対する正しい判断を下して初めてその情報が役に立つわけです。
情報が多ければ多いほど、その分析と判断をしなければならず、そういう意味では大変な世の中になってきたと言えます。
目先の情報が重要でないとは言いませんが、大局(トレンド)を見失わないようにすることがより重要ではないかと思います。そのためには、投資家自身が「できるだけリスクを排除でき、根拠を持って判断することができる武器」を持つことが大切です。