nontanの日記: 落穂ひろい
会長、あんた、何を伝えたかった?
そして全部伝え終わったのか?
あんたを思い出すと、さびしそうな顔しか浮かばないなあ。
「もうあの機械は捨てていいぞ。もうお前には必要ないもんな。」
そのころは機械化とスピードの追求しか考えてなかったからな。
あんたの大切にしていた機械はほとんど使わなくなっていたもんな。
でも最近は形を変えて使っているんだ。
どうしても流れのなかで隙間ができてしまう。
その中にあんたの世代の機械を使いやすいようにしていれているんだ。
あんたが生きていればな。。。
毎日驚かしてやれたのにな。
でもこんなもんじゃあいつらをものづくりで追い越せないといつもいらいらしているんだよ。
あんたは話し好きだったけど口下手だったんだなあと最近思うよ。
いつだったか社員全員の前で「今の若いやつは機械を使うだけで汗をかかない。」と怒っていたよな。
オレはあんたがアホになったと思った。「現代の生産工場は実際の作業は機械が行っていて人間は
生産の管理をする。だから汗をかく必要はないだろう。」だからとうとうあんたも焼きがまわったなと思ってた。
そうじゃなくてただマニュアル通りに機械に素材を投入してただ加工が終わるのをまっているだけの
単なる作業要員になりはてた若いやつらを見かねたんだろう。
異常な音をだしている機械のそばにいても気がつかない、おかしな振動がおきても気がつかない。
不良品の山をだしてもなんとも思わない。そんな人間に腹をたてたんだろう。
それを黙って見ている管理者に腹をたてていたんだろう。
もう一線を退いていたから下手に口出しすると経営の後継者のじゃまになると気兼ねをしていたんだろうな。
もどかしかったんだろうな。
おしゃべりだけど口下手な職人、それがあんただった。
いつだったか。あんたが他の職場の人間の仕事のやり方が悪いとさんざん怒鳴った後。
「あんまり怒らないでください。彼らも一生懸命やっているんです。」
とオレが言ったら、
「お前の言い分は分かる。だけどオレは経営者として見過ごすことはできない。」
そう言ったっけ。
その時は経営者の顔だったなあ。
今つくづく思うけど、あんたは伝えたいことをすべて伝えたのか。
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