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otiakの日記: 裁判に行く

日記 by otiak

というとまぁ、「被告か?参考人か?」とか言われたりしますが、もちろん傍聴人としてです。ええ。しかし一方で、今回の事件は、いつ何どき、恣意的に行使された公権力に無実の罪を問われて被告の立場に立たされるかもわからないという危惧を抱かされる事件であると言えます。

そんなわけで、2003年7月14日に東京地方裁判所第528号法廷にて行われた、いわゆる「松文館裁判」の公判を傍聴してきました。

この日の証人は二人で、憲法学者の奥平康弘氏と編集者の藤本由香里氏。いずれも、弁護側証人です。証言内容詳細については、他のサイトでいろいろと言及されると思うので割愛。

以下、個人的印象について。私は被告人を応援する立場をとっておりますので、そういうバイアスがかかっていることについてはご容赦を。

1人目の証人の奥平氏は74歳というご高齢にもかかわらずまさに矍鑠としていて、証言する際の声も張りがあり、また、大変な情熱がこもっていました。尊敬を込めて「先生」と呼びたい人物に出会ったのは随分久しぶりだったような気がします。
「内容が専門的で素人にはわかりにくい」「早口で何を言ってるのか聞きにくい」というような声を休廷時間や他のサイトで耳にし、あるいは、目にしましたが、一緒に傍聴した※やんと私の共通見解(と私が思っているもの)は「2時間という短時間で表現の自由について(今回の証言で期待されていたところを)あますところなくかつわかりやすく説明された」といったところです。補足として「話がいろんなところに飛ぶのでちょっと大変」とは※やんの言。※やんはもともとこの方面に造詣の深い人なのでともかくとしても、平均よりはおそらく興味を持っていたとはいえ高校卒業後法律を学習する機会など皆無であった私が十分に理解できる話について、↑のような感想が散見されてしまうあたり日本の教育の、それも市民が遵守すべき法律に対しての教育の程度の低さを露呈しているような気はします。しかもわざわざ傍聴に来邸するという敷居を超えた人々がですから。(とかいうと叩かれそうだな)

奥平先生の証言は、本来「あたりまえに理解されていてしかるべき」ものであったような気がしますが、残念ながら日本ではしかるべく教育されていないように思われます。
証言を拝聴していて、そこに込められた意志と情熱、そしてかくも立派な人物が存在することに涙してしまいました。しかし、一方で、自由というものをどこか忘れていた自分の恥ずかしさと、このようなこと(証言内容)が法廷で、しかも法曹であるところの裁判官や検察官に向かって改めて講義するかのように(もっとも奥平先生からすれば法廷に居並ぶ法曹はある意味格下ではありますが)語られなければならないことに対する悲しさも、あるいはそのことこそが涙になってしまったのかもしれません。
また、前述のように、法廷で法曹に対する講義のような証言がおこなわれたというのもまぁ、別の観点から興味深いところではありました。

奥平先生には、紙媒体だけではなく、音声や映像媒体でも、広い対象に向けて語っておいていただきたいと強く思う次第です。

藤本由香里氏の証言では1度だけではありますが、「萌え要素」という言葉がでてきました。法廷でこんな言葉を聞くとは思っていなかったので思わず吹きそうになりましたけれども。速記がどのように記録におこされるのかは寡聞にして知らないのですが、「もえようそ」という発音が正しく「萌え要素」と表記されるのかどうかはちょっと気になるところではあります。
ところで、猥褻という言葉は、社会通念という言葉と合わせて語られることが多いように思われます。猥褻とされた「密室」について藤本由香里氏はその内容についての詳細な証言をされたのですが、法廷という比較的厳格な場であり、また、社会通念上性的なものがあってはならないとされるのではないかと思われる場において、赤裸々に語られたその内容は、性的な感情や嫌悪感を引き起こさせるようなものでは全くありませんでした。あの場においてもっとも猥褻であると思われたのは、証人にたいする検察官の尋問でありました。表現の自由と聞きたくないものを聞かない自由を実現することが法廷において許され、社会通念上公に存在することを許容しがたいものを許容しない権利(もしそんなものがあるのだとすればですが)を最大限行使できるのだとすれば、検察官を黙らせることこそが、道徳や社会通念といったものを支持する立場からは妥当であったような気がします。(私がそういう立場にたっているということでは必ずしもありません)

検察官は過去の公判においても、「密室」を猥褻だと思うか、あるいは、これを読んでいやらしい気持ちになるかと、証人に尋問をしているそうだが、証人が質問の意味をくみ取れず「猥褻とは何か」あるいは「何を持って猥褻であるとするのか」と聞かれると一貫して明言をさけていると聞いています。検察官には検察官の立場もあるのだろうとも思いますが、このような尋問が繰り返されることが嘆かわしいと思う一方、検察官が哀れにも思えてくるのが余計に悲しいところではあります。

しかし、アレですな。長文書いてると酔っ払ってきますね。
困ったものです。

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UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

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