ozumaの日記: 『怒りのブレイクスルー』
Hドクターから借りた、中村修二氏の「怒りのブレイクスルー」を読んだ
いやー、面白い本だった。自分が今ちょうどやってることにカブるから、ってのもあるだろうけど、GaN(窒化ガリウム)の高輝度青色LEDへの製品化のくだりなどはドキドキものだね
ところでこの本の中でも述べられているけど、GaNの成長技術には大きく2つのキモがあったと言える
- ツーフローMOCVD
- 低温バッファ層
ツーフローMOCVDの方は以前にボンちゃんが教えてくれたので置いといて、低温バッファ層というのはツーステップ成長法と呼ばれる手段である
一般に成長を低温で行うと、表面での拡散が抑えられて表面はよりガタガタになってしまう。熱エネルギーが高い方が表面の原子は動き回ってくれて、段差を埋めて滑らかになってくれるわけだ
だからちょっと考えると低温バッファ層とはすごくムダに見える
が、GaNは一般に知られているように格子定数が合ってくれる適当な基板が存在しない。一番近いと言われるSiC(シリコンカーバイド)で5%、安価な故によく用いられるサファイア(Al_{2}O_{3})では15%近いズレがある
このような場合は、まず基板上に低温でバッファ(緩衝)層となるGaNをちょっとだけ成長する。ちょっとだけ、というのは時間にして秒オーダー、厚さにして数原子層である このように低温バッファ層を導入し、この上にあらためて高温でGaNを積んでいくと、低温バッファ層に出来た核が中心となって良質の結晶が得られるのだ
つまり低温バッファ層によるツーステップ成長法は、この核を作るために導入された手法である
しっかしこの辺のことがM1の今ごろになってようやく書けるようになってきたというのはやはりマズいのだろうか やっぱり理論屋になりたかったなぁ
『怒りのブレイクスルー』 More ログイン