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phasonの日記: フェルミラボ,標準模型を超える粒子を発見     か? 2

日記 by phason

アメリカのフェルミラボにあるTevatron(陽子と反陽子を逆向きに加速して衝突させる加速器.それぞれを約1TeVで加速できることからこの名がつく)にて,謎の新粒子が見つかったかも?との報告.

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arXivの論文

現時点での積算では,質量120-160GeVの領域に3.2σ(確度0.9986)で新粒子が存在.この質量域だとまずHiggs粒子の可能性が考えられるものの(ただしこの質量域,いわゆる「軽いHiggs粒子」は他の実験でほぼ否定されている),検出されている崩壊パターン(*)は標準模型においてこのあたりの質量域にある(かも)と言われている粒子とは異なることから,何らかの標準模型を超える物理に指先が引っかかっているのではないか?という話が出ている.

(*)加速器実験では,衝突により生成した粒子そのものを見ることは出来ない(それらの寿命が非常に短いため).生じた粒子は多段階で崩壊していき,崩壊点からはより安定な粒子のシャワーとして放出される.最終的にある程度安定(検出器を通り抜けられる程度の寿命)な粒子として放出される.検出器では主に磁場中での(種類が既知の)荷電粒子の軌跡が検出でき(実際には荷電粒子以外を検出するための検出器も多数ある),その曲がり方から粒子の速度がわかる.そこから逆算すると一段前の衝突点と衝突時間,粒子のエネルギーが推定でき,その結果を集めるともう一段前がわかり……として最初に生じた粒子を推定していく.実際には元々の粒子のエネルギー(質量)を求めるにはもっと面倒な手順が必要なのではあるが.どんなエネルギーでどんな崩壊パターンの粒子なのか,という情報を理論とつきあわせることで粒子の種類が確定できる.

素核の分野では確実に粒子があると主張するためには5σが必要だそうで,そう言う意味ではまだ確定した事象ではないものの,標準模型で説明できない粒子の可能性が出てきたことから非常に反響を呼んでいる.
#物理は既存の理論を超える実験事実により発達して来たため,説明できない事象は歓迎される.

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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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