パスワードを忘れた? アカウント作成
10152671 journal
日記

phasonの日記: 変わり者が好まれる(少なくともグッピーの場合) 1

日記 by phason

"Mating advantage for rare males in wild gupy populations"
K.A. Hughes, A.E. Houde, A.C. Price and F.H. Rodd, Nature, 503, 108-110 (2013).

自然界において,遺伝的多様性は非常に重要である.様々な異なる遺伝子を持つ集団であれば,各種の疾病が発生したり突発的な環境変化があった時でも一部の固体は生き残り,その集団が全滅する事を防げる可能性が上がるためだ.
その大事な遺伝的多様性,どうやって維持されているのかというとこれがなかなかはっきりしない.自然界の集団では,完全にランダムな交配から予想されるよりも多様性が高い事が知られている.そのため「頻度の低い特質を持つ相手を,交配の相手として高頻度に選ぶ」という選択性,つまり「交配の相手には変わり者を選ぶ」という傾向があるのだと予想されているが,これまで自然環境下でそれがはっきりと示された事は無かった.

今回報告されている論文は,グッピーの集団においてそういった「変わり者を選ぶ」という傾向がはっきりと観察できたよ,というものだ.
詳細を省いて実験の内容をざっくり言うと,以下のようなものとなる.
まず,実験にはグッピーを用いた.グッピーは模様が遺伝し,遺伝の仕方もほぼ解明されているので,模様から親が推定でき実験が容易である.二つの川の三箇所に,各箇所5-6個のプールを設定し,それぞれのプールには約10匹の雄のグッピーと,そのお相手となる雌のグッピーを入れておく.
今回の実験では雄を尾びれの模様から二つのグループに分けている.尾びれに色が付いていないグループ(75%以上の面積が無地)と,色が付いているグループ(50%以上に色が付いている)である.それぞれのプールでは,色つきと色なしの比率が1:3,もしくは3:1になるようにしてあり,色つきが少数派のプールと,色無しが少数派のプールの両方が存在する.で,それぞれのプールで,どちらのグループがよりモテたか,を調べたわけだ.なお,この中間的な色づきの雄はあらかじめ除外してある.

結果には非常に顕著な差が現れた.
色無しが多数派であれ色ありが多数派であれ,どちらにせよ,少数派だった個体の方が交配回数は倍程度となったのだ.例えば75%が色ありで25%が色無しのプールの場合,マイノリティで物珍しい個体である色無しの方が顕著にモテる.逆に色ありが25%しか居ない環境であると,今度は逆に色ありの方がモテる.遺伝的多様性から予想されていた「少数派の方がなんかモテる」という選択が確かに働いている事が確認できたわけだ.
今回実験が行われたのはグッピーであるが,現在の遺伝的多様性を鑑みるに,他の種でも似たような傾向はあるのだろうと予想される.変わった奴ほどモテる(傾向がある)わけだ.
#一応言っておくと,変わった奴が全員モテるわけでは無い.

実験結果はこうなったのだが,「どうしてこのような『変わった奴に惹かれる』という特質が生まれたのか?」という点については今後の研究待ちである.
一応著者らが「こんな可能性も有るんじゃないの?」と挙げているものを記すと,
・近親交配を避ける.風変わりな模様を持つ相手であれば,近親交配の可能性は低くなる.
・「新しいものを好む」という一般的傾向の現れ.
・同じ相手との複数回の交配を避ける(その方が多様性が確保される)
・(少数派を好む事で遺伝的多様性が増し)種としてその方が強かったので,珍しいものを好む傾向が進化の過程で強化された.
などである.このあたりは,今後詰めていくにしてもなかなか難しそうだ.

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 分かってたさ… (スコア:2, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2013年11月07日 18時48分 (#2491497)

    > #一応言っておくと,変わった奴が全員モテるわけでは無い.

    orz

typodupeerror

私は悩みをリストアップし始めたが、そのあまりの長さにいやけがさし、何も考えないことにした。-- Robert C. Pike

読み込み中...