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交通

route127の日記: 東海岸バス映画

日記 by route127

週末に『30年後の同窓会』を見てた。
アムトラックに乗る映画だというのは事前に知っていたのだが、他にも劇中で長距離バスが出てきた。
イラクで戦死した息子の遺体が空輸されてくるデラウェア州ドーバーの空軍基地まで男3人が海軍基地の町ヴァージニア州ノーフォークから北上していくのだが、遺体受領時にされた戦死時の状況説明に不審を感じ、南下してアーリントン墓地へ葬ることはせず、北上して海軍刑務所があり故郷でもあるニューハンプシャー州ポーツマスに葬ることを決める。
そんな中、3人のうちのミューラーは早々に自宅へ帰ろうとヴァージニア州リッチモンドへの長距離バスを待つのであった。

北米の長距離バスというとグレイハウンド位なら聞いたことあるけれど映画に出てきたのは聞いたことのないピーターパンバスだった。
実在するバス会社なのだがgoogleでデラウェア州ドーバーからヴァージニア州リッチモンドへの経路検索をしてみても、グレイハウンドばかりでピーターパンが出てこない。
経由地であろうデラウェア州ウィルミントンのターミナルのHPを見てみるとピーターパンバスの路線は去年2017年秋に廃止になっていたようだ。
劇中では2003年なので当時は存在した路線なのかもしれないが、むしろ「ピーターパン」であること「結局バスに乗れないこと」にベトナム戦争時代の冒険の日々には戻れえぬことの含意があるような気がした。

別に中年のおっさん達も今更ベトナムでぶっ放したい訳でもないし、彼ら自身にも「政府は嘘をついてい」て「ベトナム戦争に意味はなかった」ということへの理解はあるのだが、さりとて海兵隊員として従軍した自身の青春を否定し切ることもできないようなのである。
そんな心持ちがポーツマスへの途上、マサチューセッツ州ボストンに住むベトナムで戦死した戦友の家族に真実を打ち明けようとした際の一時のためらいとなり、その隙に「政府の嘘」が入り込んできてしまう。
ただ、その時、許せない、不愉快であったはずの「政府の嘘」が非海兵隊・非男親に対して青春の秘密を守るアリバイに転倒する瞬間の情けなさと安堵感というのはこの映画のひとつの眼目だと思う。

なんかアメリカ映画でも最近の北東部が舞台の映画はストロング父親主人公というよりも寂しいおっさん主人公が多い気がする。
自由な西部とか灼熱下メキシコ人と対峙してる南部なんかとは違って、いち早く工業化され歴史に名を遺す町々ではあるものの時代の流れに取り残されつつあることの傍観者でしかいられないみたいな。
『マンチェスターバイザシー』とかもだし、『フォックスハウンド』は…ちょっと違うけど近いか。
タカヤナギの人が撮影監督した『ファーナス』とかちょっと時代設定違うけど『ブラックスキャンダル』みたいなのも雰囲気が似てる。
『ジーサンズ』も北東部の話だろうけどだいぶ感じが違うのは主人公たちに後悔とか後ろめたさみたいなものが足りてないので自分の中ではまた別のジャンル。

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