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ハードウェアハック

route127の日記: 鋳鉄の熱伝導 1

日記 by route127

チャーハンがパラパラになるという魔法のフライパンのHP見てたが単に鋳鉄製のフライパンらしい。
鋳鉄製のフライパンだとスキレットと名乗ることが多いが、そういう「違いの分かる人」向けではなく広く大衆向けに売る為のネーミングということだろうか。
であれば、
「熱効率の良さ」(サーモグラフィで温度上昇を見るだけ)
「鉄鋳物に含まれる炭素には、遠赤外線効果もあります」(フライパンに含まれる炭素からの輻射熱で調理するのか?)
「顕微鏡での炭の分布」(既に使った炭素という語を避けて敢えて炭と表現する感覚)
などと見ていて不安になってくる文言もそれほど問題ではないのか。

それはそれとして鋳鉄の熱伝導率についてあまり気にしたことがなかった。
鋳物の鍋というと重たくて鍋料理なんかに使う印象でその場合問題になるのは熱容量であって熱伝導率ではないはず。
熱伝導率を考えるのであれば鉄鋳物である必要はなく、銅合金のフライパンでもいいような気はするが手入れは大変そうだ。

ステンレスの熱伝導が悪いのは分かるが、軟鋼が鋳鉄に比べて熱伝導が悪い印象があまりなかった。
逆に不純物が少ない軟鋼の方が自由電子の動きが妨げられずによく熱を伝えそうな気がしてた。
昭和34年の日立評論に丁度そんな記事が載っていて、
「黒鉛は常温で鋼よりも熱伝導性が良好」
「黒鉛は熱伝導率を良くし、セメンタイトは悪化させる」
「片状黒鉛鋳鉄の方が球状黒鉛鋳鉄よりも熱伝導率が良い」
「C%が高くなるにつれてセメンタイトのネットワークが発達し、熱伝導率がほぼ直線的に減少すると考えられる」
旨記載がある。
また、
熱伝導率は黒鉛の球状化率が高くなるとともに低下する
ともあり、そこで改めて魔法のフライパンHPの顕微鏡写真を見ると組織中に分散した黒鉛の形状がわざとらしいくらいに球状であるので「軟鋼と比べれば熱伝導性が高い鋳鉄を採用してはいるが、鋳鉄の中では熱伝導性の必ずしも良いわけではない球状黒鉛鋳鉄を採用している」ということになる。

肉厚が1.5mmの鋳物を片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄)で作ったら割れそうな気がする。
そういった成品強度の問題から材質を選定してるとしても一応筋は通るけれども製造上の問題もあるんだろうか。
熱伝導率を上げる為に炭素分を増やすと、炭素当量の上昇につながり湯流れや内部収縮等悪影響があるし、そもそも薄肉だと鋳型に流し込むのが大変な気がする。
冷えるのも速いだろうし黒鉛を晶出させる為の冷却条件をどうやって成り立たせているのだろうか。

等々作り方が気になるがとりたててこのフライパンが欲しいわけではない。

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