故意を否定しているのではなく、故意を肯定する要素を否定しているのです。
つまり、故意を肯定する要素の一つを否定しているだけで、それが決定的な根拠になることはないと合意していただけたようです。
警察は「落ちるはずのないサーバが落ちたのだから」という理由で、検察は「プロならわかるはず」という理由で、被疑者の故意を推定したわけで、それらを否定することは最も重要な要素です。故意を証明する「決定的な証拠」も存在しなかったのですから、サーバ側の欠陥は最も重要な証拠です。意味、わかりますか?
警察が故意を疑ったのは、アクセスを遮断されたら他からアクセスしたとか、他の要素も入っていて、サーバーのバグなんて話は、そういう要素の否定にはなってないわけです。
だからこそ警察や検察が批判されているのです。故意の推定に最も重要な要素「サーバのバグ」について捜査することを怠った。
やっている本人が「このアクセスでサービスが落ちるなんてことは考えられない」と思いこんでやっていた場合には、過失を主張できます。
その通りです。実際その通りだったそうです。
その通りだったそうです、ってのは、本人がそう言っているという話ですよね。それで、はいそうですか、と警察や検察が納得したら、世の中に有罪になる事件なんて存在しなくなりますね。
あなたは、自分が痴漢に間違えられて逮捕されるとき、その考えを貫きますか?
仮に、「サービスが落ちてるけど、それはサーバーのバグのせいで自分は悪くない」などと開き直ってアクセスし、実際に何回もサービスを落とした人がいたら、それは故意の業務妨害で有罪です。
その通りですがこの事件に関係ありません。
関係ないかどうかは、調べないとわからないことです。警察や検察が勝手な判断でその可能性を排除して捜査しなかったら、そっちの方が問題です。そのパターンなのかどうか調べないわけにはいかないでしょう。
逮捕して調べたところ、そのような兆候を示す証拠は何も得られなかったというのが、今回の事件です。知りませんでしたか?
あなたはどうですか? あのような仕組みと性質のバグのことを知っていましたか?(事件が明るみになる前の時点で。)
なんらかの条件を満たしたアクセスによってリソースを使い尽くしてしまう類のバグは DoS 攻撃では一般的に利用されてますよね。通常のアクセスでもリークを起こすようなタコなプログラムなんて、珍しくないでしょう。
本物のDoS攻撃用のツールが起こすアクセスと、今回のアクセスの、技術的な違いを知らないのですか? 違いを考慮しないで十把一絡げに語ろうとするのは、あなたに何の能力が欠けているからでしょうか。
「世の中のサーバーのリソース管理はまともなところばかりで、アクセスが一定量を超えたときにリソースを使い尽くして死ぬものはない」、なんて主張する人がいたら、そんなわけないだろと返事します。もちろん、事件が明るみになる前の時点の話ですよ。
今回のアクセスの方法であれば、通常、落ちないはずと考えるものです。なぜなら、たとえばひとつには、既に検索エンジンからのクローラアクセスを受けているはずだからです。
あなたはどうですか?事件が明るみになる前の時点で、「世の中のサーバーのリソース管理はまともなところばかりで、アクセスが一定量を超えたときに死ぬものはない」なんて主張する人がいたら、ああ全くその通りと大賛成したんでしょうか。そんなわけないでしょ。
今回のアクセスの方法であれば、ああ全くその通りと大賛成したでしょうね。事件が明るみになる前の時点で。
サーバ側の不具合の可能性を疑い始めたのは勾留された後、取調中にアクセスログを見せられてですよ?
と、本人が現在言ってますという話ですね。
何か不足が? それ以外の証拠、つまり、本人の故意を推定させる証拠は、何も見つからなかったことが明らかになっています。
技術的にはそれに気づくだけのベースがあったことは間違いないわけです。
根拠がありません。逮捕勾留という異例の事態に追いつめられ、アクセスログを見せられて、ようやくその可能性に思いが至ったと考えるのが普通でしょう。
だったら、なんでその前に気づかないのかと。サービスが落ちているのに気づかなかったのは本当ですか、という疑問が生じるわけです。
あなたも一度、痴漢冤罪で逮捕されてみてはいかがですか?