taggaの日記: [メモ] 「全然」の記事 4
日記 by
tagga
大枠として、よく知られているけど、
文献調べて、時代を確定しているという点で前進:
なぜ広まった? 「『全然いい』は誤用」という迷信(佐々木智巳 2011年12月13日 『日本経済新聞』)。
元ネタは、
新野 直哉、橋本 行洋、梅林 博人、島田 泰子
「言語の規範意識と使用実態―副詞“全然”の『迷信』をめぐって―」
(日本語学会2011年度秋季大会 2011年10月23日)。
;; ああ、ポスターなんだ。なんか写真、変だと思った。
けど、1930-40年代でも「全然いい」だと 肯定かどうかではなく文体の問題で許容度が低いと思う。 あと、2ページ目の表のまとめ方に少し違和感がある。 2つの問題の切り分けがよく分からない。 1つ目。 次の時代に作られた規範意識だと、全然が《否定的表現》を修飾することになる。 ところが、「迷信」としては《否定》を修飾するということになっている。 このズレが表からはみにくい。 2つ目。 肯定のときに、元々の意味の"完全に"の意味で使っているのかどうかが、 全く分からない。 いわゆる強意語には maximizer と booster という区別をすることがあるのだが、 この下位区分での意味変化が関係しているかどうかを調べてみる必要があると思う。
いずれ何か印刷物になるだろうから、 そのときに授業のネタに使えるか考えよう。
現代だと、結局は誤用が多い気がします (スコア:0)
> 肯定のときに、元々の意味の"完全に"の意味で使っているのかどうかが、 全く分からない。
「全然いい」は、「全く然り→よろしい」と言う全方位的で絶対的な肯定ではなくて、
「以前に比べて→よい」「思っていたよりずっと→よい」と言うような、
「断然いい」の誤用で使われいる場合が多いと思うのですが、
如何でしょうか?
Re:現代だと、結局は誤用が多い気がします (スコア:1)
そこが問題なので、この研究に文句をいっている訳です。 この班の成果は、次の 2つです。
そこで (1) という言説がどうして生じたのかを問う必要が出てきます。 通常の説明は「全然」という強意語 (intensifier)が、 最大型 (maximizer) "完全に" の意味だけでなく、 増大型 (booster) "とても" という意味で使う人がでてきて、 これに違和感を感じた人がいたということです。 これを検討するには、 2ページの表の「全然+肯定」を意味で分類をする必要があります。 ただし、それは非常に困難な仕事です。
ところで、これでは説明しずらいことが 3つあります。 1つ目は、「全然いい」のような増大型の用例は古くから拾えますが、 広まったのは 1990年代以降です。 このタイプが問題になさっているものです。 しかし、当時、拒否反応を起こさせるくらい使われていたという説得力が ある証拠がありません。 2つ目は、言説が広まり、 肯定的な最大型が規範でないという意識が広まる中でも、 否定的な最大型、例えば「全然駄目だ」は規範であるとされたことです。 なお、現在では、このような形に違和感を感じ「誤用」と判断する人が増えています。 3つ目は、当時からすでに使用頻度が否定および否定的表現に偏っていることです。 これらのこと説明するには、より一層の研究が必要です。
なお、 多くの言語学者は、 「誤用」が社会的な概念にすぎないと考えています。 何が「誤用」と思われているか、 何が「誤用」と言われているか、 そういうことは社会寄りの言語学をやっている人が 関心をもっています。 しかし、何が「誤用」であるかを問うことは科学的に無意味です。 想像してみてください。 「水は 0度から凍るので、過冷却は誤りだ」という物理学者は 確実にトンデモです。 現象は存在するだけです。正誤はありません。
Re: (スコア:0)
> 1つ目は、「全然いい」のような増大型の用例は古くから拾えますが、 広まったのは 1990年代以降です。 このタイプが問題になさっているものです。 しかし、当時、拒否反応を起こさせるくらい使われていたという説得力が ある証拠がありません。
> 2つ目は、言説が広まり、 肯定的な最大型が規範でないという意識が広まる中でも、 否定的な最大型、例えば「全然駄目だ」は規範であるとされたことです。 なお、現在では、このような形に違和感を感じ「誤用」と判断する人が増えています。
> 3つ目は、当時からすでに使用頻度が否定および否定的表現に偏っていることです
Re:現代だと、結局は誤用が多い気がします (スコア:1)
明治期の規範意識については、 上田萬年 [wikipedia.org] という学者の事績が参考になると思います。 研究者というより「国語」に関する政府のブレーンだった人です。 規範を作り、守らせることを非常に重視しています。
「全然」という語の実際の変化については、 『日本国語大辞典 [nikkoku.net]』の 項目を参照してください。 大き目の図書館なら置いてあるはずです。